冒険者になる!
毎日更新は無理なのでこれからは一週間毎に一回更新しますが…それでもキツイ場合は活動報告にて報告します。
俺は同級生と共に異世界にトリップし、トリップさせた中年の野郎が言うには異世界から元に戻るには元の世界に繋がる扉を見つける必要があるらしいのこと。あの野郎曰く娯楽らしいのであの野郎に俺は復讐を誓った。
そしてあの野郎の声が聞こえなくなったら場は騒然とした。
「静かにしろ!」
そこへ伊東が生徒達を静めさせた…流石伊東。まだ30代なのにこれだけまとめるのは主任の力だろう。
「これから4人1組のグループを作ってもらう。150組できるはずだ…職業で決めるもよし、好きな奴と組んでもいい。組み終わったらとりあえず、それぞれ75組がゲヴィ王国に、ムーネ王国に向かう。我々教師陣も2組に分かれてどちらにもいくから心配事があればその国にいる先生達に相談しろ。それぞれの国についたら自由行動だ。質問あるか?」
…本当に30代なのかこいつは?あまりにも冷静すぎる。普通だったらここで待機するか一カ国に留まって長い長い職員会議の始まりだと言うのに…独断で決めやがった。しかも生徒達にも不満がないように好きな奴らと組むように指示した…これで他の教師達も文句は言えない。言ったら生徒達のブーイングを喰らう…伊東以上のベテラン教師なら上手くなだめるだろうが若い教師ならそうはいかない…それだけじゃない。一カ国に滞在するよりも二カ国にしたのは、おそらく少しでも情報を手に入れるためだ…
「…どうやらないみたいだし、解散だ!」
伊東はそれだけ言うと生徒達は急いで4人1組のペアを作り始めた。
「あのさ鏑木君…私とペアを組まない?」
田沼がそう言って俺にペアを組むように頼んで来た。まあどうせこいつも俺もボッチだしいいか。
「俺でよければ良いぞ。」
俺はそう言って田沼とペアになった。
「やった!」
そう言えば田沼って残念な女なんだよな…いや見た目は良いんだが田沼はアニメの影響で厨二病にかかってしまって見ているこっちが痛かった…おかげで男どころか女も含めて友達らしい奴はほとんどいない。いるとしても俺を除けば厨二病時代に出来た仲間くらいの奴らだろう。
しかもなまじ美少女なものだからコスプレをしている写真がアニオタやコスプレイヤー達の間で女神の写真と言う名前で出回っている。
そんなことはどうでもいいが多分こいつにとってはこういう展開は待ち望んでいた展開だろう。
「それじゃ後二人探そう?」
全く…これ以上面倒事にならなきゃいいけどな。
…俺達は出遅れてしまい二人が俺の近くにやってきた。
「げっ…余っているのお前らかよ…」
「こらこら、海道君。そういうことは言わない。」
最初の一人は成績トップの海道龍也。所謂エリートで自分よりも成績が下の奴ら…つまりほぼ全員の生徒を見下すムカつく野郎だ。
もう一人は松平雄平。こいつは一見すると爽やかなイケメンだが一切感情がなく目的の為なら手段を選ばない外道だ。
つまり二人とも俺の嫌いな野郎どもだって事だよ。
「てめえら…なんで誰とも組んでねえんだ?てめえらの実力ならなんでも出来そうだがな?」
俺は嫌味でそう言ってやったがあいつらはさらに俺の嫌味を上回る嫌味で返してきやがった。
「どうやら俺のカリスマにやられたみたいでな…鏑木のようにノロノロしているんじゃないんだよ。」
キレても問題ないよな…これ?
「まあまあ海道君。嫌味もその辺にしといて…事情はどうあれお互いにペアが揃っていない訳だから僕達とペアを組まないか?」
こいつらと組むのは嫌だがもう他の生徒達もいないし…どうしようもないか…
「…わかった。ペアを組もう。田沼お前も文句はないな?」
「うん。そういうことは鏑木君に任せるよ。」
田沼もそういったのでペアになることにした。
「おいおい!勝手に…ブベラッ!」
海道は不満を言おうとしたが松平のアッパーが入って気絶した。
「少し黙ろうか。海道君。」
流石松平えげつないな…
「僕達の向かう先はゲヴィ王国で不満はないね?」
松平は伊東同様にキレると手がつけられなくなるので松平がリーダーシップを取ることになった。
「問題はない。」
「うん。」
俺たちは別にどっちに行こうが関係ないのでそう頷き、ゲヴィ王国に行くことにした。そして松平は海道の頭を蹴って起こした。
「松平…てめえな…!!」
海道は松平に掴みかかるが松平は無表情のままだ。
「起きた?」
あの2人本当は仲悪いんじゃないのか?と思ってしまうくらいギスギスしている…あ…喧嘩が終わった。
「それじゃ行こうか。」
笑顔で海道の苦しむ姿を見れる松平が恐ろしい…
「ああ…」
そしてゲヴィ王国に着くと異世界にしては結構豊かそうな国みたいに見えた。
「この国は結構豊かそうな国だね。」
松平も同じ事を考えていたのかそう言った。
「おっ!松平見ろよ!」
そう言って海道がとある場所を指差す。
「あの建物がどうかしたのかい?」
その場所とは少し古びた建物でなんかゴツいおっさんや若い女性色んな人間が出入りしていている建物だった。
「あの建物に行ってみようぜ。どうせ自由行動なんだし行ってもいいはずだ!」
そう言って海道はすぐにその建物に入っていった。
「…海道の感性が全く持って理解出来ん。」
俺はそう呟いた。
「同じく…」
田沼もそれに同意した。
なんでわざわざあんな建物に入っていったのか理解出来ない。そんな建物に入るよりも情報入手が先だろうが…
「仕方ないか…僕達も向かおう。」
松平の意見に同意して入っていった…海道は危なかっしいからな。松平なしだと空気の状態で保存している黄リン並に危険すぎる。
そして建物の中に入ると意外にも見た目よりも広く、老若男女問わず色んな人がいた。そして理解したのはここが噂にいう異世界のギルドらしきところだと理解した。
「すみません、ちょっといいですか?」
松平は早速受付らしき女性に話しかけて海道がどこにいったか聞こうとした。
「どうなされましたか?」
女性は松平の顔を見て一瞬顔を赤くしたが冷静に事務モードになった…見とれるのは無理もないよな。田沼はコミュ障だから見とれることはないがほとんどの女達はこいつに見とれてしまう…なんてことはよくあることだ。
「さっき僕の連れがここに来たんですが…見かけませんでしたか?特徴は…」
松平は海道の説明をして受付の女性に海道の場所を聞こうとした。すると…
「多分貴方の言う彼…タツヤ=カイドウ様なら、ギルドに登録して冒険者となりましたよ?今頃冒険者試験をしている頃です。しばらくお待ちになると思いますのでその間に冒険者登録が出来ますのでどうしますか?」
女性は海道が冒険者になったことを知らせ俺達も冒険者になることを促した。
「じゃあ僕も登録します。僕にいる後ろの2人もお願いします。」
テンプレ通り俺達は冒険者登録をした。まあおそらく松平が冒険者になるようにしたのは俺達が冒険者になった方が色々と動けるからだろう…
冒険者登録を終えて…冒険者の説明をし始めた。
「冒険者登録が終わりましたので冒険者の概要について説明します。冒険者は国などの法人団体や貴族から一般の方々の個人による依頼を受けその依頼をこなし成功したら報酬を貰います。依頼が失敗したら報酬は貰えませんので注意してください。」
まあ当たり前の事だな。もし失敗して報酬貰えたら唯の詐欺じゃないか…
「次に冒険者のランクについて説明します。冒険者のランクは☆1~☆10まであります。☆1のランクは雑用ですがある程度依頼を成功させると昇格試験を受けられるようになりランクを上げることが出来ます。これを繰り返しこなすとランクを上げられます。なおランクが上がる程待遇も良くなり、依頼の受けられる量も増えていきますので頑張ってあげていきましょう。」
「ちょっといいですか?さっき海道君…タツヤ=カイドウが試験を受けているって聞いたけどそれは何?」
…確かに。あいつはさっきまで冒険者じゃなかったはずだ。昇格試験を受けられる資格はない…
「彼は特別試験を受けています。特別試験は所謂飛び級の試験ですがその分内容が大幅に難しくなってします。申請すれば受けられますが受けますか?」
大幅にね…となれば海道は余程いいステータスだったんだろう。あいつは無理をする性格じゃないしな。俺のステータスは普通だし受けても試験に落ちるのがオチだ。
「いや遠慮しておくよ。自信がついたら受けるさ。」
松平も俺と同じようなステータスなのかそう断った。
「俺も遠慮しておく。田沼お前も遠慮するんだろう?」
「えっ!?あ…うん。私も止めておく。」
「さてそれでは冒険者の説明が終わりましたのでユウヘイ=マツダイラ様、シュン=カブラキ様、ハルミ=タヌマ様達は改めて冒険者になりました。これから頑張ってくださいね。」
受付嬢は営業スマイルでそう言って次の仕事に取り掛かった…俺も依頼をこなそう。