第八章 オタク
「そりゃあっ~、えいやあっ~」
未来がサイコキネシスの訓練をしている、特に必要性もなく。ただ、力を使う時が来るのではないかと思って―――
今週は三者面談の週、伸也も明日母親と三者面談だ
大学は富山大学にしよう、あそこだと二次試験で物理学科希望者は、たしか物理しかない
伸也は多分これから猛勉強したら大丈夫だろうと考えていた
涼子にも富山大学にするよとテレパシーいや、メールを送った
「英語頑張ってね、先ずは単語よ」と返事があった、誰かに以前言われている
未来が以前言っていた「大学レベルの物理はシュレディんガー方程式が理解できれば合格だよ」と
涼子は帰国子女で英語が得意だ「英文学科にすればいいのに」と伸也は思っていたが、どうやら生物学科を専攻したいそうだ
「おはよう、今日も斬れてるねえ」伸也が直樹にトビ蹴りをした
「おお、おはっ」直樹は何処となく落ち込んだ様子で返事した
「あれ?どうしたの」伸也が聞くと
「昨日の三者面談で阪大志望しますっていったら、無理だって」
「いいじゃん、受けちゃえば」
伸也が図書館から借りた本を机の上に置いた、『量子力学』直樹は驚いた
「もうそんな本読んでるの?」
「うん、予習だよ」
「未来先生は職が無いから先生してるんだって」直樹がぼそぼそと喋った
「へ~あの先生、学校の先生というより大学の教授にでもなったほうがいいのに」
「おはようっ」涼子が叫びながら教室へ入ってきた「伸也、富山一緒に行こうね」
「あ~」伸也には、まだその時の涼子の気持ちが分からなかった
「エレキ…なんだっけ」涼子が伸也にボソッと言った
「サイコキネシスのこと?」
「あ~それそれサイコなんとか、そんなの必要あるの?」
「未来に聞いてみなっ」
「へ~あの先生いつもニコニコしてて、いい感じだけど話した事無いから」
「力って何ですかって、聞いてみたらいいよ、その前におまえなんでその本の上に座ってだよ!」
「なにこれ、量…、伸也ってオタク?」
「未来よりはましさ」
もうすぐ夏休みという頃、みんなはしゃいでいた
未来には試練の夏になるだろう