第五章 生物と物理
伸也が淀川の土手で寝転んでいる
今日は晴天、青空に雲が流れる
こんな日は、サボるのが一番だ、といっても授業をサボっているわけではない
今日は川原で体育の授業だ、高校生にもなって川原でドッチボール
大田の考えてる事が伸也には理解しがたい
「なに、サボってんの」涼子が話しかけてきた
「違うよ、休憩中」
「へ~雲見てると、気持ちいいわねえ~」
涼子は伸也の横にしゃがみこんで四葉のクローバーを探し始めた
「四葉のクローバーないかしら?」
「この後、物理だからなあ、休憩してないと疲れるし」
「私は生物だから、いいわよ~生物は」
「さ、帰ろうかな、面倒だから瞬間移動使うか」
涼子の前から伸也が消えた
キーンコーンカーンコーン
授業の終わるチャイムが鳴った
朝の静けさは何処へやら
「ざわざわ」
「涼子聞いたあ、柴田先生結婚しちゃうんだって」
「あ~保育所の先生とでしょ」
「結婚~あ~憧れるなあ、涼子はどうなのするの?しないの?」
「そんなの分からないわよ、まだ先のことじゃない」
二年以上の生物選択者は必然的に物理が選択できない、学校の作戦だ
未来はその事について不満があった、校長に何度か異議申し立てをしている
しかし、新米である未来の言うことは無視され続けた
「テストの点を上げるためかも知れないですが、子供たちの将来も考えて欲しいです」
「これは授業の配置上、仕方のないことなんです、分かってください」校長が宥めるように未来に話した
「大学じゃないんだから、すべての分野を均等に配置するべきだと思いますが?」
「これは、決まっている事なんです」
「そうですか、じゃあ仕方ありません手段を執ります」
「一年まではいいんだがな」未来は呟いた
そうなんです何処の学校も一年までは全ての教科を学習するのです、そのころは!
「最近は授業が大学形式的になってしまって、いかん」未来がテレパシーで叫んだ
その声?に伸也は反応して「え、なんで?」
テレパシーを返してしまった