第四章 五月病
伸也は自転車で登校している、テレポーテーションを使って
学校までは約二十分
家を出て、直ぐに直樹と逢う
学校の門では体育の大田が立っている、遅刻は避けたいものだ
ふぁっとテレパシーが入ってくる「早く来い」
爽やかな初夏の日差しが眩しい「朝は、苦手だな」
未来はその一時間前に出勤しているのだ「さあ、今日も授業を進めなくては…」
「よし」
今日は大事な運動方程式の章であった
「ま、いつものようにβ波で気合を入れてやるか」
「グッドモーニング」英語の柴田が朝から高いテンションで職員室に入ってきた
未来は一瞬いらっとしたが「おはようございます」と柴田に返事してやった
職員朝礼が始まり、教頭の右田が挨拶に立った
「え~本日はこれといって行事はありませんが、いつものように授業を励行して下さい」
割と短い挨拶の後、これからの行事日程を喋り始めた
伸也が教室に着くと木村涼子が近づいてきた「おはよ伊藤君、今朝もぎりぎりね」
「力使ってこれだからな、先が思いやられるぜ」伸也は教科書を机に整理し朝礼を待ったのだ
涼子とは幼馴染で仲は良かった
「先生言ってたよう、『みんな物理選択なのに興味がない様でいかん』って未来が」
「しょうがないよホント興味ないから」伸也がぶつぶつ呟いた
「おはよう」担任で国語担当の林田が教室へ入ってきた
「さあ、出席を執るぞ」
皆ぶつぶついいながら自分の席へと座っていった
五月病、そんなテレパシーが飛び交う季節
「今日の章で大切なのはこの式だけです、後は理論なので各自考えるように」
黒板にma=Fと書かれていた
そして未来は教科書を隅から隅まで読んだ
伸也が考えた「物理ってこんなのでいいのかなあ」
テレパシーを未来に送った
「先生、ホントはやるきないでしょ」
未来はテレパシーを受け取ったが、返事はしなかった