第十三章 ドップラー効果
「ん~、やはり物理Bのこいつかあ」
伸也は物理Bの名簿表を穴が開くほど見た
『天奨観楽』「てんしょうみらくか~」
いかにも怪しい名前だ。テストはほぼ、いつも満点、今の2年生では2百人以上いる中のトップテン候補ナンバーワン
「こんな奴がどうしてハッカーになってんだろう?なにかあるんだろうな」
伸也は未来にこれを報告したが未来からは、こんな返事が返ってきた「ほっときましょう、時が解決してくれるでしょう」
「大雑把だなあ」伸也は呆れた
次の日の物理Aクラスの授業にて
「え~、物体の重力による位置エネルギーはmghですね、そこに運動エネルギー1/2エムブイの二乗が加わり…」
「先生、パソコンの調子はどうですか?」
「ははは…まあぼちぼちだよ、それよりこの方程式忘れないようにしてくれ」
未来はハッカーの件は気にしてない様子だった
伸也は先読みをその夜することにしたが、なかなか寝付けなかった
「羊が一匹、羊が二匹…羊が三百う~何匹だっけ?」
ストレスが溜まる一方であった
「時がくれば、か」
もうすぐ待望の夏休み、生徒のみんなは心躍らせていた
テストの順番が発表された
一位、天奨観楽
二位、木村涼子
…
五位、風間直樹
…
十三位、伊藤伸也
伸也はこれまでの最高順位を獲得した
「今年の夏も夏期講習があります、希望者は申請書に記入して提出してください」
林田がこう述べた
伸也がこう呟いた「夏期講習か、冷房のある教室だったらいいのに」
今日は朝から雨がしとしと降っていた
梅雨明けも、もうすぐだった
「天奨にコンタクト執って見るか、テレパシーがいいかな、それともネットで…」
「よう、天奨」
「むっ、だれだ?」
「物理の試験流出させたの君だってな」
「物理Aの伊藤か?それがどうした」
「何故、そんな事をしたんだ?」
「遊びの一環だよ」
「それは遊びすぎだろ」
「ザー…」電波が途切れた
「サイコキネシスと先読みで不正を防ぐしかないな」伸也はやけに篤くなった
と言うか
未来がパソコンを使わなければいいだけの話なんだが、そんな事は伸也には言えなかった
未来が夏期講習の下書きを作成していた
(音を観測する物と音源が相対的に近づくとき、音の高さが高く聞こえ、遠ざかるときは低くきこえる。これをドップラー効果という…)




