1‐7 進展
「コレはいったい……どういうことだ!!!」
ずいぶんと声を荒げてしまった。
だが、それも仕方ない。
入試結果の保留。
そんな例外的な措置が突然、目の前で、それも俺自身に起こったのだ。
目の前では白衣の女が顔をしかめていた。
「うるさいな、静かにしろ」
言葉とともに、拳までとんで来た。
とんでもない迫力の拳だ。
俺は条件反射的に避ける。
「……なぜ避ける?」
「あ、当たり前だろう!!殺す気か!?」
「黙らなければ……仕方あるまい」
「ふざけるな!!」
また、拳がとんできた。
「だから、静かにしろといっているだろう。ユキが起きたらどうするんだ」
ユキは、未だに寝ている。
コレだけ騒がれて起きないのも一種の才能だろう。
「つーか、ハヤト。ここはもっと歓喜するところだろう。チャンスが残されているんだからな」
確かにそうだ。
この保留通知によれば、実技にて再試験を行うらしい。
「だが、なぜだ。なぜこんなことをする?」
わざわざ、一度はふるいにかけ、落とした者を再び拾うなど、不可解極まりない。
「なぜも何も無いだろう。ただまぁ、近頃は従護士がいくらあっても足りない。大量生産したい時期なんだ。成績が悪かろうとなんだろうと、とりあえず可能性のある奴はガンガン聖翔にぶち込みたいのさ」
白衣の女は真剣な面持ちでポケットからタバコを一本出して口に咥える。
「まぁ、コレはタダの建前だが」
「建前だと?」
白衣の女は火も点けていない咥えタバコを踏みにじり、声の調子を変えた。
「いやぁ~、ぶちゃけな。うちの生徒会長が思いつきで企画したサバイバルゲームなんだ」
ぶっちゃけすぎだろう。
先ほどまでの真剣さが一気に消えたぞ。
「もともと、各学年の留年候補者が単位を掛けてやるはずだったんだが……」
遠い目をして、そして、にやりと笑う。
「それなら受験者の中から面白そうな奴も入学保留者として選抜して入学の権利を巡って一緒に争わせようってな」
「だが、それでは学年が低いほうが不利ではないか?特に保留者組は絶望的だろう?」
「私にそんなこと言っても今更、ルール変更なんてできるわけが無いんだ。黙って腹くくりな。まぁ、それに関しては生徒会長も考えたようだから安心して逝ってくるといい」
いまいち、納得できないが……。
どうにもコレを切り抜けなければ入学はできないらしい。
「分かった」
そう、口にすると白衣の女は満足げに笑う。
ベットに目を向けると、ちょうどユキが目を覚ましたところだった。
「あれ?ハヤト、もう起きちゃったの?それにもう立ち直ってる?せっかくハヤトを優しくなじって立ち直らせたり、落ち込ませたりして遊びたかったのに!!!僕様が寝てる間に何があったのさ!?」
ユキは相変わらず寝起きだというのに元気がいい。
「そのことについては、後でゆっくり話してやる。そろそろ帰るぞ」
俺は保留通知の入った封筒を小脇に抱え、保健室を後にする。
ユキが慌てて着いて来る姿が妙に頼もしかった。
更新ペースが落ちていたので、自分に鞭打ってがんばってみました。
それよりも、この物語は相当スローペースで進んでいます。
早く、主人公を最強系、ハーレム系に仕立てたい……
それ以前に学園モノにちゃんとしたい……………