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レ・シエル!  作者: 安眠丸
第1章 入学
5/8

1-4 付人

さて、前回のそのまま続きとなっています。

今回はユキとの絡みありですが……

 目も閉じ、もう思うように体も動かせない。

 ユキはそんな俺を受け止めてくれた。

 「もう、本当に可愛いんだから―――」

 まだ(ワズ)かに聞こえている。

 が、もうなにを言われたのか意識することもできない。

 腹に、広く、暖かな丸みを感じる。

 ただ、心地よいばかりで意識は加速度的に沈む。

 突如、浮遊感を感じ、その後体がバウンドする。

 ベットに投げ出されたのだろう。

 しかし、そんなことはすぐにどうでもよくなった。

 おそらく、布団かなにかを掛けられたのだろう。

 左半身に心地よい温もりを感じている。

 春の穏やかな日差しにも似た―――。

 しかし、質量のある暖かさ。

 本当に心地よい。

 一度は覚めかけたが、再度意識が沈む――――。


□ □ □ □


 徐々に、意識が覚醒してくるのを感じた。

 温もりの中、心地よく浮き上がってくる感覚。

 リアルにをより強く感じるようになる目を開け――――。

 左肩の(クボ)みにフィット感のある重みに気がついた。

 暖かく、緩やかな丸みを帯びた心地よい質量からは(ホノ)かに甘い香りすらする。

 (アワ)い期待感。強い願望が胸に押し寄せてくる。

 天井から、目を肩の辺りに向け、その事実を確認する。

 ユキだった――――。

 言葉も無い。

 そこらの女よりも可愛らしさを感じさせる〝少年〟を肩に乗せ、ベットで寝ている俺――――。

 それは、ただの変態ではなかろうか。

 そんな、信じがたい事実を()の当たりにしている、俺。

 が、しかしそれ以上に、信じがたいことが起きた――――

 「おはよう、いい朝だね。顔色が悪いけど安心して!!ハヤトは今日も(たくま)しいビートを叩いてるよ!!!」

 ――――――――――目が合ってしまった。

 俺は声も上げられず、ただ心臓の音だけが大きく聞こえる。

 ユキは俺の胸の上に手を置いて

 「どうしたの?硬くなっちゃって……ふふふっ」

 当然のように、自然に話しかけてくる。

 おかしい。

 コレはおかしい。

 「もしかして――――。」

 にやりとユキが笑う。

 「ボク様のこと意識してる?意識してるよね?ボク様可愛いもんね!しょうがない、しょうがないよ!!特別にボク様の胸を貸してあげるから元気だしなって!!!」

 「借りるか!!!」

 ユキは、依然としてニヤニヤしたままだ。

 「えぇ~でも、本当は借りたいでしょ?触りたいでしょ?抱きつきたいでしょ?ボク様、素直なハヤトがいいなぁ……」

 「既に素直だアホ!!!自分がなに言っているのか分かっているのか!!!」

 「分かってるよ!!!だから、こんなにも楽しいんじゃないか!!!!!」

 「………」

 そうだな、そうだったよ。お前はそういう奴だ。

 「でもさ」

 ユキは続けて珍しく、不満げな顔をする。

 「何でボク様が女みたいなポジションにいるんだ!!!ハヤト、代われ!!ボク様は男だ!!男でありたいんだ!!!」

 「断る!!!」

 「なんでさ!!!男のボク様に恥ずかしいことをさせてるんだぞ!!」

 さっきまでとは打って変わってユキが暴れだす。

 「さっきまでノリノリだったろう!?」

 「そんなこと言ったってしょうがないじゃないか!!」

 ……BGMが流れそうだ。渡る○間は○ばかりのあのBGM。

 「そもそも、一緒に寝なきゃいい話だろう!なんで、俺とユキが一緒のベットで寝ているんだ!!」

 「そ、それは……ぽっ」

 「なぜ、そこで顔を赤らめる!?」

 「そんなこと言ったってしょうがないじゃないか!!」

 「またか!!」

 二度目のネタは寒いだけだ。一度目も寒かったが。

 「ボク様にはまだ早すぎたんだ!!」

 「なにが!!」

 「あんなに硬くてでっかいの……」

 「だからなにが!!!!」

 「ハヤトのベットだよ!!なんであんなに硬いのさ!!!」

 「じゃあ、なんで顔を赤らめた!!!」

 「!」

 「なぜ驚く……」

 「いや、今日のハヤトは鋭いかな?って」

 「ユキお前、バカにしているだろう?」

 あはは、バレた?とユキが笑う。

 俺はどっと疲労感を感じる。

 どうせ、ユキのことだ深い意味は無いのだろう。

 「でも、ハヤトが悪いんだよ?」

 「なにが?」

 意味が分からない。

 「ほら、ボク様との約束忘れていたでしょ?」

 「約束?」

 すぐにはピンと来なかった。

 「まだ、思い出さないのか……じゃあ、ヒント!オ・カ・ネ!!!」

 「金?金……あぁ、金を返したら……」

 「おお、思い出した!?」

 ああ、今のでピンと来た。

 昨日の仕返しだ。

 「お嫁さんにしてやるんだったな。しかし、いいのか?お前はこの約束で()を捨てることになるぞ?」

 一番いい笑顔で答えてやる。

 どうにもユキは絶句しているようだ。顔を赤らめて(ウツム)いている。

 相当に悔しいのだろう。

 これで、昨夜の(アダ)は返してやった。

 まあ、コレで(カネ)が返ってくるようだったらさらに嬉しいのだが……。

 「そうだね……そうだったね………」

 沈んだ声で答えるユキ。

 まぁ、当たり前だろう。本来の約束を忘れられている上に自分が仕返しの心算(ツモリ)で吐いた嘘がそのまま自分の首を絞めているのだ。

 ユキは、黙ったまま立ち上がり、部屋の隅にあった小さな袋を俺の目の前に置く。

 「じゃあ、コレ……」

 「なんだ?コレ?」

 「お金だよ。返す。」

 ユキにしては珍しく淡々とした声で反応した。目も合わせようとしない。

 「ユキ、怒ったのか?」

 「………」

 反応しない。

 相当、ご立腹のようだ。

 さすがにやり過ぎたようだ。

 「なぁ」「ねぇ」

 俺たちは同時に口を開いた。

 奇妙な沈黙が流れる。

 最初に沈黙を破ったのは俺だった。

 「悪かった。」

 「な、なにが?」

 「約束のことだ。昨日は忘れてて悪かった」

 「うん」

 ユキは少し、顔を俯け息を吐いた。ため息ではないと思う。

 「いいよ。その様子だと思い出しているみたいだね」

 「ああ」

 ユキは許してくれたのか、元気を徐々に取り戻りだしてきた。

 「じゃあ、約束をちゃんと果たしてよ?」

 「そうだな」

 「日給は5万円だよね?」

 「違うな」

 無理に決まっている。どさくさにまぎれて何を要求している?

 「じゃあ3万」

 「無理だ」

 それも無理だ。聖翔の従護士見習いにはなるが、学生で稼げる金は限られている。

 「じゃあ――――」

 「1万だ。」

 「オッケ~。商談成立!!!」

 ガッツポーズを取るユキ。

 少し、割高にしすぎたか?

 まぁ、いい。

 今回はやり過ぎたようにも思える。詫びのしるしだ。

 話がまとまったところで、二人は部屋を後にした。

更新遅くなってすみません


やばいです。眠くなってまいりました。

安眠丸の名は伊達じゃないです。

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