1-1 夢
人類は地上からは文明ごと消え去り、地下での生活を余儀なくされていた。
その原因は未だ分かっていない。
ただ、地上は人間にとって危険な地帯となっていることだけは分かっている。
獰猛な動物たち、未知のウイルス、劇的な環境の変化。
どれもこれも平常の人間では一日として耐えられるものはいないだろう。
しかし、地下都市の閉塞感に耐え切れず、外で生活をしようとする者達が現れた。
重犯罪者たちだ。
彼らの大半は死に絶えたが、彼は地下都市に逃げ帰ることもできずに細々と生活を続けた。やがて、彼らは子を産み、繁栄し、街を造った。
一方、地下都市国家は彼らを開拓者と呼称し、それに続く公認開拓者たちを〝従護士〟と呼んだ。
現在では、従護士以外の開拓者は存在しないものとされ、従護士以外の者が地上に出ることは許されなくなった。
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「幼い頃から、俺は本物の空に憧れていた。
おそらくは父親の影響だろう。詳しいことは分からないが、父は地下都市を極端に嫌っていた。また職業上、地上の自然環境を研究していた事もあって、その一部を俺にも見せてくれた。
今でも覚えている。大きな木やそれを取り巻く木々の神秘さ。また、そこを根城にする奇妙な動物たちのたくましさ。特に、いかようにでも表情を変える空の雄大さと、優雅で自由気ままに飛ぶ鳥たちに魅入られた。
幼く、小さな体でもこの地下都市の閉塞感を敏感に感じ取っていたのだと思う。父が昨年に実験中の事故で死去してからは、偽者の〝鉄の空〟を見て思い出すことしかできなくなってしまった。」
一呼吸置いた。
既に試験官の目は俺を食い入るように見ている。
こうなれば、奴らは観衆と同じだ。
「〝もう一度、あの青空を見てみたい。〟その想いは父がいなくなってからより一層、強くなった。そのためには、まず地上に出る必要がある。俺はそのためにこの聖翔学園に入学し、従護士になる。」
俺は気持ちよく言い放った。
試験官は面を喰らったように顔を見合わせ、うなずいた。
世界観
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面接試験
となっております。
つたない文章ですみません。
今後ともよろしくお願いします。