荒筋
「私のこと一言で言うなら?」
「嫌い」
短い沈黙
「もう一言許されるなら、死ね」
タイトル:『我慢』
椿だと思っていたけど
「山茶花」のカード刺さってた
タイトル:『感想文』
陽はほとんど完全に沈み
遠くの地平線がほんの少しオレンジで
こちらは一面青黒く薄暗く
周囲の木々の葉の色が
緑であるとはもはや識別不可能で
月だけがやたらに眩しいこの時刻
前方に、暗くてあんまり見えないが
姿勢の良い中年の男が
かしこまって、にこやかに
私を待っているようだ
それに近づくでもなく近づいて今わかった
タイトル:『頭を失くした男』
月を求め、上空を見上げると
月の手前、こちら側には雲がかかり
月は周囲の雲を照らし
雲は月をこちらへ透かし
冷たい風に雲は次々流されて
月の透かし具合は刻々変わる
やはりこの時間の月は異常に明るく
どの街灯よりも眩しいと
何の気なしにそう思った
でもそれよりも今夜の空には
果てしなく超巨大な
ただ一頭のクジラの腹が晒されている
タイトル:『落ちてくるもの』




