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異世界恋護奇譚 〜聖女のオマケでバグ転移した私、15歳で天然騎士団長と偽装結婚しました〜  作者: 三多来定


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78.第4エラルダ国での尋問

「ああ、それで女性陣は部屋で待機なんですか」


 第4エラルダ国の政務棟の尋問室に向かう途中、リントは納得したように言った。


 結局、あの後、ミコトとセイラは眠ってしまい、マリーには2人と一緒にいてもらうようにしたのだった。


「尋問を見て欲しくなかったからね」


 ロイは真面目な顔をして呟く。


「それで夜通しミコトちゃんを襲ってたの? ロイ君って、結構鬼畜なんだね」


 キダンの言葉に、ロイはガッカリした。


「今の説明聞いてたんですよね? 確かにミコトが眠らないように話しかけ続けましたけど、夜通し襲ってはいないです」


 キダンは「夜通し襲えば良かったのにー」と言う。


 ロイは話題を変える事にした。


「それよりキダンさん、第4の尋問員がいるのに、一緒に来て大丈夫なんですか?」


 キダンは話題の転換に不満気に頷く。


「今日の尋問員は、僕の知り合いなんだよ。昨夜ちょっと買収しておいたから、大丈夫」


 リントは怪訝な顔をする。


「買収って、お金ですか?」


 キダンはニヤリと笑う。


「女の子を紹介する約束をしたんだ」


 ロイとリントは、溜息をついた。

 まあそれなら、ギリギリ犯罪ではない、気もする。


「キダンさんって、顔広いですよね」


 ロイの言葉に、キダンは笑った。


「大体、嫌われてるけどねー」


 そんなことないですよ、とは言えず、ロイとリントは苦笑した。





 尋問室の前に、背の低い、太った男が立っている。


「ヤトラ君!」


 キダンは右手を上げて、その男の名前を呼ぶ。

 ヤトラと呼ばれた男はキダンを見て、ペコリと会釈する。


「こちら、第4エラルダ国の尋問員のヤトラ君。童顔だけど、30歳なんだよね」


 焦茶色の髪と目のヤトラは照れ笑いをする。


「こっちの2人は第1エラルダ国の騎士団長のロイ君と副騎士団長のリント君。ロイ君は国家特別人物でもあるよ」


 ロイとリントも会釈する。


 ヤトラは、2人を見て、目を輝かせた。


「騎士の方は、やはり、カッコいいですね!」


 キダンはアハハと笑う。


「ヤトラ君は素直でいい子だなぁ!」


「あの、本当に、その、紹介してくれるんですか?」


 ヤトラは顔を赤くして、キダンを見る。


「もちろん! ちなみに、どんな子が好みなの?」


 キダンはヤトラと話し始めてしまった。


 ロイとリントは顔を見合わせる。

 この話、長引くのだろうか。


「で、出来れば、年下で…」


「僕、ヤトラ君より年下の知り合い少ないなぁ」


「キダンさんは年上好きですもんね」


 ヤトラは苦笑する。


「も、もう、ハッキリいいますね。若くて、胸の大きい子がいいんです!」


 ヤトラの言葉に、キダンはロイの顔を見た後、ヤトラに向き直った。


「ちょうどいい子いるよー。15歳で、巨乳の子! 顔も可愛いし、スタイルもいいし、性格も素直で真面目…」


 ロイはキダンの胸ぐらを掴んで、持ち上げた。


 リントは呆れている。


「ご、ごめんって! その子、ロイ君の奥さんだったね!」


 ヤトラは持ち上げられたキダンを見て、また目を輝かせた。


「騎士の方はやっぱり力が強いんですね!」


 いい人、なんだろうけど、30歳には見えない、とロイとリントは思うのだった。





「場所は第4のままなんですけど、書類上、犯人は引渡されて第1にいる状態なんです。なので、私はあくまで補助的な調書を取らさせていただきますね」


 ヤトラはそう言うと、尋問室のドアを開ける。


 尋問室の部屋の作りは、第1の尋問室とよく似ている。


「今日はお二人が騎士なので、護衛は不要と伺っているのですが、あの、犯人は自害の恐れがあって、猿ぐつわをはめてまして、このまま、小窓で質問しても、聞けることは少ないかと…」


 ヤトラは続きの部屋の小窓を指差す。


 普通は、あの小さな窓から尋問をするのか、とロイは頷いた。


「ヤトラ君、絶対に女の子紹介するから、これからやることは、うまーく調書に書いてね?」


 本当は第4の尋問員は早々に威圧で気絶させるつもりだったが、キダンは巻き込むつもりのようだ。


 ヤトラはニッコリ笑った。


「キダンさんが話しかけてきた時に、覚悟はしていました。国家特別人物のロイさんもいますし、私に拒否権はありませんね」


 キダンの知人をやっているだけある。

 30歳も嘘ではないようだ。


「ヤトラさん、ありがとうございます。では、猿ぐつわはそのままで、直接犯人と話します」


 ロイはヤトラに礼をすると、続きの部屋のドアを開けた。


 手足を縛られ、猿ぐつわをした細身の男が椅子にうなだれて座っている。


 ロイは男の肩に手を置く。


 リントは手前の部屋の椅子に腰掛け、調書を取る準備をする。


 ヤトラもリントの向かい側に腰掛ける。


「それじゃ、始めるね」


 キダンは男の前に立ち、尋問が始まった。





 およそ30分後、犯人の男が完全に気絶したところで、尋問は終わった。


 ロイは男を床に寝かせると、キダンに先に行くように促してから、手前の部屋に戻り、ドアを閉めた。


 ヤトラは気絶こそしていないが、顔面蒼白でガクガクと震えている。


 リントは昨夜キダンから教わった調書を書き終えて、椅子の背にもたれた。


 女性に尋問を見せたくないと言った意味が理解出来た。


 どんなに黙秘をしても、ロイの前では無意味なのだ。

 キダンの質問に一切答えていないのに、ロイに全て見透かされてしまう。

 見透かされた人間は、精神的に耐えられず、最後には気絶。

 

 この男はよくもった方だろう。




「黒鳥には反応しましたけど、メンバーではなさそうですね」


 ロイの言葉に、キダンは頷いた。


「誰に頼まれたかも、どの名前にも反応しなかったですね」


 リントも調書を見直しながら、呟く。


「ミコトがどうしても必要という意思だけは、ものすごく感じた…。古代魔法にも反応したし、第3とは別の古代魔法研究者かもしれないな…」


 ロイは腕を組んで、溜息をついた。

 

 キダンは「うーん」と考え込む。


「古代魔法研究者が自害までする? しかも攫って連れて行こうとした場所は、第4の地図の場所って、どういうこと?」


 キダンは手紙を出して呟いた。


「あの、とりあえず、第4に出す調書を偽造してもいいですか? ヤトラさんは…無理そうか…」


 リントはヤトラを見て言う。


「第4の調書は僕が書くよ。言ったでしょ、文書の偽造が得意だって。筆跡もすぐ真似できるんだよねー」


 キダンは途中書きのヤトラの字を見て、サラサラと続きを書く。


 ある意味、とてつもない能力だ。


 リントはキダンの書く内容を真似して、第1の調書を仕上げる。


「リント、調書なんて書けるんだね」


 ロイは感心したように言う。


「ロイさんがイチャイチャしてる間に覚えました。本当に臨時尋問員が出来そうですよ」


 ロイは苦笑した。

 イチャイチャは確かにしていたので、反論出来ない。


「リント君は覚えが早いよね。言った事はすぐ理解してくれるし。ロイ君はちょっと…」


 キダンは語尾を濁す。


「すみませんね、覚えが悪くて」


 ロイが拗ねたように言うので、リントとキダンは笑った。


 こんな風に、ロイをからかっても、本当に怖いのは、ロイなのである。


 そして唯一の弱点であるミコトは、とても大きな悪意に狙われているのだ。

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