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異世界恋護奇譚 〜聖女のオマケでバグ転移した私、15歳で天然最強騎士団長と偽装結婚しました〜  作者: 三多来定


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40.結婚式

 ミコトはロイにお姫様抱っこをされたまま、教会に入場した。


 先程までセイラが歌っていたという教会は興奮に包まれていて、かなり遅れての入場と異例のお姫様抱っこにもかかわらず、暖かい雰囲気で2人は迎えられた。


 並んで立たなくてはいけない場面では、ロイがミコトの腰に手を回して、地面から数センチ浮いている状態にしてくれた。


 ゼノマの誓いの問いに、ロイとミコトは誓いますと答えて、神様の御前で正式に夫婦となった。


 教会にはたくさんの来賓がいたが、ロイの家族はなく、ミコトの家族はセイラだけだ。


 そんな中で、ロイとミコトは、偽装とはいえ、家族になったのだった。



 お姫様抱っこで退場し、再び救護班に戻ってきた時には、ミコトの顔は貧血で青ざめていた。


「披露宴は、ミコトは出なくてもいいってアレンさんも言っていたから、ゆっくり休んでね」

「ごめんなさい……」


 ロイはベッドに座ったミコトの頭を優しく撫でる。


 情けない。

 足を斬られた時に、かなり出血していたようだ。


 ロイがシーマにお願いしますと告げて立ち去ろうとしたので、ミコトはロイの騎士服を慌てて掴んだ。


「ま、待って! あの、披露宴が終わったら、また会える? ちょっと話したい事があって、時間は取らせないから、仕事に行く前に……」


 ロイは少し驚いた顔をしたが、ミコトの方に戻ってきて、ミコトを抱きしめた。


「うん。もう遠方には行かないから、終わったら会いに行く」


 ミコトは、ほっとした。


 抱きしめるのは、ロイのクセなのかもしれない。

 懇親会で初めて抱きしめられた時はかなりパニックになったが、大分慣れてきた。


 ロイを見送った後、ウミノとネルは、ドレスから楽なワンピースにミコトを着替えさせた。


「ミコトさん、もう部屋に行かれます?」

「部屋?」


 ネルの問いにミコトが聞き返すと、ウミノはミコトの肩に手を置いた。


「今夜は、初夜ですよ! もう、夜着もメイクも決まってます!」

「あっ!」


 確かに、そんな流れときいている。

 でも、ロイとは偽装結婚なので、ミコトはこの初夜とやらにロイは来ないと思っている。

 そのため、ミコトの予定の中から初夜は自然と省かれていた。


「いいですよ、何もしなくて。ウミノさんもネルさんも、今日は大変だったので、休んで下さいね」


 ミコトが笑顔で言うので、ウミノとネルは愕然とした。


「何言ってるんですか!? ダメですよ!」

 ネルは声を張り上げる。


「え、でも、ロイは来ませんよ?」

 ミコトは首を捻った。


「さっき、会いに行くって、言ってましたよ!」

 さっきのシーンは何だったんだとばかりにウミノは言う。


「そっか、2人はロイをよく知らないから。確かにここに会いに来てくれるとは思うけど、部屋には来ないんですよ、ロイは」

 ミコトは当然という様に笑った。


「な、どういうことなんですか? シーマさん!」

 ネルは先程から黙って隣にいたシーマを問い詰める。


 シーマは困った表情をしながら、ミコトに言った。

「ミコトさん、団長は必ず行かせますから、部屋で待っていてはもらえませんか?」


 ミコトはシーマには、10歳の頃からかなりお世話になっている。

  シーマの頼みを断るという選択肢がない。


「はい。わかりました」


 結局、ミコトは車椅子に乗せられて、ウミノとネルと一緒に国立宿泊所の部屋まで移動したのだった。





 ミコトは3時間程、眠っていたようだ。


 起きると、ウミノとネルにお風呂に入れられ、身支度を整えられていた。


「初夜のメイクは、あどけない少女風なのに、ちょっと手を出したくなる感じでいきます!」

 ウミノはメイク道具を天井にかざしながら、宣言した。


 なんだろう、そのコンセプトは……。


「あの、大人っぽいメイクじゃないんですか?」


 ミコトが不思議そうな顔をすると、ネルはミコトの髪をタオルドライしながら言った。


「あの、変なオジサン、えーと、キダンさん? が、旦那様はロリコンだから、そういう好みだって言ってたんですよ」

「ロリっ!?」

 ミコトは驚きすぎて、椅子から落ちそうになった。


 この世界にも、ロリコンあるんだ!

 というか、ロイは、ミコトと結婚させられるせいで、ロリコン扱いなのか!


「ロイはロリコンじゃないですよ! その情報キダンさんですよね? それ、絶対ないです!」


 ミコトは手を横にぶんぶん振って、絶対ないを主張した。


 ウミノとネルは顔を見合わせる。


「でも、私たちも、そうなんじゃないかと思っていて、試しにこのメイクでいくのもいいかと思います」

 ウミノは明るく答える。


 ミコトは頭を抱えた。

 ロイはイケメンなのに、何故こんなイメージがついてしまうのか。

 キダンは、何を考えているのか。


「大丈夫ですよ! 私たちに任せて下さい!」

 ネルも明るく言う。


 2人のこの明るさ。

 もしかしたら、この世界のロリコンは、別に普通なのかもしれない。

 成人を15歳にしている世界なのだから。


 それに、ロイの場合、ミコトがどんな風にメイクしようが、きっと反応は同じだ。


 ミコトは諦めて、2人にお願いしますと言った。





 披露宴会場で、リントは、シーマがキョロキョロしているのを見つけた。


「シーマさん! 何かありました?」


 シーマはリントを見ると、安心したような顔をした。


「副団長、もう披露宴は終わったんですね。ちょっと団長を捜していたのですが……」

「ロイさんなら、ミコトの様子を見に行くって、さっき出て行きましたよ」


 リントの言葉に、シーマはしまったという顔をした。


「すれ違いましたか。ミコトさん、今救護班にはいないんですよ」


 リントは笑った。


「大丈夫ですよ。ロイさんは、ミコトを見つけるのは得意なので……」

「え?」


 今度はリントがしまったという顔をする。


「あー、他にも報告があるんじゃないですか? 団長代理でききますよ」


 シーマは真顔になって、声を落とした。


「実はキダンさんが先程来ましてね、あ、副団長はキダンさんとは面識はないですかね」


 リントも真顔になる。


「襲撃前に会いましたよ。諜報員のキダンさんですよね」


 シーマは頷く。


「襲撃犯の特徴と生死をきかれました。一方的に知っているとも……。一応、団長にお伝えしておこうかと……」


 リントは頭を下げた。


「ありがとうございます。ロイさんには俺から伝えます。アレンさんにも伝えておきますね」


 シーマはリントを見て、心配そうな表情になる。


「副団長、お疲れですね。顔色があまり良くないです」


 リントは溜息をついた。


「聖女の護衛が大変で……。急に披露宴に顔を出すと言ったり、帰ると言ったり、ロイさんの悪口言ったり……」


「いつもはミコトさんがいますからね」

 シーマは笑った。


 リントもハハッと笑う。

 ただ、今回は聖女に感謝もしているが。


「ミコトさんと言えば……、余計なお世話なんですが、何と言うか、団長の事を全く信用していませんよね……」


 シーマが真顔で言うので、リントは苦笑した。


「あー、それは、ロイさんが悪いでしょうね。ミコトは傷つかない様に、ロイさんへの期待を全部捨てているんですよ」


 シーマはなるほど、と頷く。


「ただ、今回はそれが悪い方に出ました。ロイさんが助けに来るという信用があったら、ミコトはあんな無茶をしなかったんです」


 シーマは首を傾げた。

「でも、助けに来るかどうかは、分からない状況でしたよね」


「ロイさんは、絶対にミコトを助けに行きますよ。どんな状況でも……」


 リントは真顔でシーマに言ったのだった。

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