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異世界恋護奇譚 〜聖女のオマケでバグ転移した私、15歳で天然最強騎士団長と偽装結婚しました〜  作者: 三多来定


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185/195

185.古代魔法で治療は出来ない

 第2エラルダ国のミレイの家で、ミレイの世話役兼回復役兼恋人のアサキは、古代魔法の話をしていた。


「よく考えてみて下さい。何もないところから火や水を出したり、風をおこしたり、大地を動かしたり、暗闇にしたり、そんな事が普通の人間に出来ると思いますか?」


 ロイは「はあ……」と言い、ミコトは「夢がない!」と思っていた。

 せっかく? 異世界なのに、ものすごく現実的だ。


「私やチェコさんが持っている特殊能力も、実は皆さんが持っているものなんですよ」


 ミコトとロイは、そうだろうか、と首を傾げる。


「誰しも、時々は勘が働いて、未来が分かることがありますし、手を当てたり、言葉をかけたりして、少しは誰かを癒やしているんです」


「そう言われると、そうかも……?」

 ロイは腕を組んで考え込む。


 ミコトはソマイを思い出していた。

 確かに、妙にモテる人というのは存在する。

 フェロモンだっけ?

 ソマイはそれの強いバージョンということか。


「私もアサキさんの説に賛成なの。古代魔法は300年前にこの世界を滅ぼしかけた5人のみの能力で、どんなに研究しても、私たち人間には使えないものなのよ」


 ミレイもベッドの上でアサキを見ながら話す。


「その説が正しいとして、それでもアサキさんやチェコさんは、古代魔法研究を続けてるんですか?」

 ロイは腕を組みながら、アサキを見る。


「実はもう一説あるんですよ。そちらも捨てがたくて研究がやめられないんですよね」

 アサキは自嘲気味に笑う。


『もう一説?』

 ミコトとロイの言葉が重なる。


「はい。火と水と風と大地と闇、昔の人間はこれらをほんの少し使う能力があった、という説です。実際、そのような文献も残ってますしね」


 ミコトもそう思っていた、と頷く。

 アサキはミコトをチラリと見る。


「でも、このほんの少しというのが、もう本当に少しで、例えば火だったら、すこーしだけ揺らすことが出来る、程度なんです」


「ん? 火なんて、手で仰げば揺れますよね?」


 ロイは手をパタパタと振る。


「そう、まさにその通りなんです。だから昔の人も使い所がなくて、使用していなかったんです。古代魔法適性を計る道具というのは、このほんの少しの力を持った人を探知する道具なんですよ」


 アサキの言葉に、ロイは「なるほど」と言い、ミコトを見た。

 アサキはふふっと笑う。


「このほんの少しの力を持った人を見つけ出して、分析すれば、普通の人間にも古代魔法が使えるようになるのではないか、というのが、今の古代魔法研究の主流なんです。でも、見つからないのが現状ですが……」


 アサキはもう一度ミコトを見る。

 ロイは咄嗟にミコトを抱きしめた。


「ダメですよ! 研究は!」

「わかっていますよ。ロイさんの奥様に何かしようなんて思っていません」


 アサキは肩をすくめた。

 ミコトは、アサキが先程からチラチラとこっちを見ていたので、あわよくばと思われていたことは分かっていた。


「それで最初に戻るんですけど、古代魔法はそういう感じなので、人の治療は出来ないのですよ」


 アサキの言葉に、ミコトとロイは、治癒能力の話をしていた事を思い出した。


「ロイさんは、ミコトさんが使える治癒能力を古代魔法ではないとはっきり言いましたよね。何だと仮定もしくは決定? しているのですか?」


 ロイは抱きしめていたミコトを、ひょいと膝の上に乗せる。

 アサキとミレイは少し驚いた表情をする。

 ロイは妹の前でも膝の上に乗せるのか、とミコトは赤面した。


「ミコトの治癒能力は、元々の素質と人体への知識と人並み外れた体力と精神力があって初めて出来る、魔法ではなく、技のようなものだと俺は思っています」


 やっぱり「技」か! とミコトは目を逸らす。

 

 アサキは口元を手で押さえて「ああ!」と言った。


「私とチェコさんの考えと全く同じです! ロイさんは脳筋だと勝手に思っていましたが、こちら側の人だったんですね!」

「あ、脳筋です。そちら側の人では決してないです」


 ロイは右手を出して、アサキを制するように言う。

 横になっていたミレイが「ちょっと待って!」と言う。


「ミコトさんは、素質も知識も、人並み外れた体力も精神力も持っているということなの!?」

「ああ、そうですよ! 結論そんな方は存在しないというのが私たちの説でして……」

 アサキも続けて言う。


 ロイは膝上のミコトをギュッと抱きしめる。


「ミコトは素質と知識があります。体力と精神力はある方だとは思いますが、人並み外れてはいません。治癒能力を使う際、ミコトは体力と精神力を俺の力で補っています。俺には素質と知識はありませんが、体力と精神力だけは人並み外れてありますので」


 アサキとミレイは、ポカンとする。


「ええと……、2人一緒じゃないと使えないということでしょうか……?」

 アサキは首を傾げる。


「お兄ちゃんの力で補うって、どうやって力の受け渡しをするの……?」

 ミレイはベッドの天蓋を見つめる。


 どうやって力の受け渡しをするのか、という質問は危険だ!

 ミコトが口を挟もうとした時には、もう遅かった。


「力の受け渡しは、キスしたり、抱き合ったり、とにかくイチャイチャします! ね? ミコト!」


 ロイの発言に、アサキとミレイが凍りついたのは、言うまでもない……。

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