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異世界恋護奇譚 〜聖女のオマケでバグ転移した私、15歳で天然騎士団長と偽装結婚しました〜  作者: 三多来定


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183/189

183.古代魔法研究者

 第2エラルダ国のリオの2番目の妻(実はリオの娘でロイの妹)であるミレイの家。


 ロイの言った「ミレイを治して」という言葉に、ミレイの世話役兼回復役であるアサキは、溜息をついた。


「ミレイさんは、専属の医師団から毎日診察を受けているんです。それでも、治療法が分からないんですよ。軽々しく治すなんて言わないでください」


 治療に全く自信がないミコトも、ついアサキに同意して頷く。

 ロイはニコニコとしている。


「軽々しく言ってないですよ。俺、ミコトに2回治療してもらって、はっきり分かったんです。ミコトなら治せる……」

「待って下さい! ミコトさんは医者なんですか? 若く見えますけど、いくつですか?」


 アサキはミコトを見る。

 そもそも医学試験を受けられる年齢が15歳からなので、その後の見習い期間(最低でも5年)を入れると、10代で医者ということはあり得ないのだ。


「ミコトは15歳なんだけど、治療っていうのは……」

「15歳!?」


 アサキは叫んで、ロイとミコトを交互に見た。

 ロイは、ハッと表情を変える。


「あの、俺、決してロリコンではなくて……」

「そんなこと、今はどうでもいいですよ!」


 アサキはロイの言葉を遮る。

 ロイは「ですよね!」と慌てて言っている。


「15歳なら、尚更医者ではないですよね? ロイさんを治療したってどういうことですか?」


 ロイに聞いても無駄だと思ったのか、アサキはミコトに詰め寄る。

 ミコトがロイを見ると、ロイは頷いている。


「あの、私、治癒能力があるんです!」


 ミコトが思い切って言うと、アサキはガタッと席を立った。

 

「ロイさんの、奥様……、そうか、古代魔法!!」


 あ、そっちじゃない!

 ミコトとロイが否定をする前に、アサキは本棚の方へ歩いて行って、本を選び出した。


「噂にはきいてます! 第1の国家特別人物の奥様には古代魔法適性があると! でも、各国の古代魔法研究所がどれだけ依頼を出しても、断られ続けていると……」


 え! そうなの!?

 ミコトは咄嗟にロイを見る。

 ロイは微笑んで頷いている。


 アサキは、ダイニングテーブルに古代魔法関連の本を5冊、ドサドサッと置いた。


「あの、アサキさん、期待させて申し訳ないんだけど、ミコトの治癒能力は古代魔法じゃなくて……」

「はい。治癒魔法と言われているものは、厳密に言うと古代魔法ではありません」


 アサキの言葉に、ミコトとロイは顔を見合わせる。


「魔法と呼ばれるものでは、人を治すことはできないのです」






 アサキは、いわゆる、個人の古代魔法研究者だ。


 冒険者になったのは、同じ村の友人に誘われたから、というだけだったが、すぐにあまり向いていないと感じていた。

 魔物と戦うよりも、古代魔法の研究がしたかったのだ。

 

 しかし研究にもお金がかかる。

 アサキといると調子が良いという冒険者仲間からよく誘われて仕事をこなすうちに、大した実力もないのに、Aランクになっていた。


 アサキの「話すことで他人を少し回復させる能力」に気付いたのは、同じ冒険者のタリスだった。

 


「天啓だと思いました。私はこの力で、人を救うことが出来るのだと……。でも私の力は思ったよりも弱かったんです」


 アサキは自虐的に笑った。


「だからこの力は補助的な物と考えて、冒険者は資金調達のために時々やり、元々やっていた古代魔法研究を本格的にやり、それと同時に、医者も目指すことにしたんです」


 ミコトも治癒能力から医学試験を受けようと思ったので、何となくアサキの気持ちが分かる、と大きく頷いた。


「医学試験に3年前に合格し、医者に弟子入りする前にと、久しぶりに古代魔法研究会に参加したんです」


「そんな会があるんですね……」

 ミコトは思わず呟く。


 アサキは「ミコトさんが参加したら大変なことになりますね」と笑う。


「私はそこで、私より進んだ古代魔法研究をしている方に会いました。しかもその方も特殊能力を持っていたんです」


 やっぱり、けっこういるんだ!

 特殊能力を持った人が!


 ミコトは思わず身を乗り出す。

 ロイは「その方って……」と言う。


「50歳前後の黒髪の女性だったりします?」


 ロイの言葉に、アサキは驚く。


「そ、そうです! ロイさんの知り合いですか!?」


 ロイは、やっぱりという顔をした。


「知り合い……ではありますね。2回会っただけですが」

「ロイ、それって……」

「うん、カラスのチェコさんだよ」


 ミコトはチェコに会ったことはないが、こんなところで名前が出てくるとは! と驚いていた。


「そう、チェコさんです! ロイさんよく分かりましたね」

「古代魔法研究をかなりしていて、特殊能力のある人なんて、そういませんからね」


 ミコトは、やっぱり特殊能力を持った人はあまりいないんだ、と少しガッカリした。

 ロイは真面目な表情でアサキを見た。


「チェコさんの特殊能力って、アサキさんは教えてもらいましたか?」

「ええ、まあ、私も能力を言いましたし、かなり盛り上がりましたので……」


 アサキは少し言い淀む。

 ロイは考える仕草をして「当たっていたら、頷いてもらえます?」ときく。

 アサキは、それなら……と頷く。


「本人の希望とは関係ない、予知能力じゃないですか?」


 アサキは驚いた表情をした後、コクンと頷いた。


「よ、予知能力!? すごい!!」

 ミコトは興奮してロイとアサキを交互に見る。


 アサキはその様子を見て、苦笑した。


「それが、私と同じで、あまりすごくないんですよ。いわゆる予知夢というものなんですが、予知を自分で選ぶことが出来ないのです。一番多い予知はその日の夕飯のメニューだと笑っていました」


 なるほど、知りたい未来が見える訳じゃないのか。


「でも、時々、重大な事も見る、という感じですよね?」


 ロイの言葉に、アサキは曖昧に頷いた。


「まあ、チェコさんの特殊能力の話はこれくらいで……、肝心の古代魔法なんですが、チェコさんと私の結論では、300年前にこの世界を滅ぼしかけた5人が使用していた、火と水と風と大地と闇を操る力、これが古代魔法なんです」


 アサキの言葉に、ロイとミコトは目を見開いて「それが……?」と呟いていた。

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