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異世界恋護奇譚 〜聖女のオマケでバグ転移した私、15歳で天然最強騎士団長と偽装結婚しました〜  作者: 三多来定


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178.聖女の遊びとは

 騎士団の応接室にリントとマリーが行くと、木剣を振り回すセイラと、逃げ回るロイと、呆然とそれを見つめるタリスが目に入った。


「あ、リント、マリー、助けて……!」

 ロイはすがるような目で2人を見る。


 リントとマリーは深い溜息をついた。


「ストップ! 聖女様!」

 リントはセイラの木剣を奪う。


「セイラ、もうやめてあげて」

 マリーはセイラの腕を掴む。


 セイラはマリーを見ると、うわーと泣き出した。


「だって! ベッドで目を覚ましたら、コイツが意識のないミコちゃんを押し倒してるんだもん! 婦女暴行罪だよ!」


 セイラの言葉に、ソマイとタリスは「うわ……」とロイを見る。


「いや、誤解だって! 俺の治療をしたミコトが意識を失ったから、寝かせようとしただけなんだって!」


 ロイは慌てて叫ぶ。

 まあ、ロイの言う通りなのだろう、とリントとマリーは頷く。


「何で今日もミコちゃんがアンタの治療をするの!? 私はミコちゃんと遊ぶ約束してたのに!」


「待て! 暗殺者ごっこじゃないだろうな?」

 リントは思わずツッコミをいれる。


 ソマイとタリスは「暗殺者ごっこ?」という顔をする。


「そうだよ! せっかく広い練習場があるから、そこで適当な団員に悪者役をやってもらって遊ぼうって言ってたの!」


 リントは頭を抱えた。

 ミコトの露出を他の団員に見せるつもりだったのか!

 いや、そもそも、聖女のする遊びとは思えない。

 マリーは笑いを堪えながらセイラを見た。


「セイラ、暗殺者ごっこは、聖女の部屋だけにした方がいいわ」


「えー、なんで……」

「あの、暗殺者ごっことは何ですか? よろしければ私が聖女様のお相手をしますよ」


 ソマイの提案に、セイラは顔をしかめた。


「ソマイちゃんが悪者役でもいいんだけどさ。ミコちゃんが起きていないと意味ないんだよ! 女暗殺者のミコちゃんが、お姫様の私を助けに来るっていう遊びなんだから!」


「女暗殺者なのに助けに来る……?」

 タリスは呟く。


「あの、聖女様なのにお姫様? なんですか?」

 ソマイもよく分からないという表情をする。


 ロイは、その遊びか! と顔を覆う。


 リントはセイラとソマイの間に入った。


「聖女様、暗殺者ごっこは、騎士団内では禁止です。ソマイさんも相手をしなくていいので……」

「えー! じゃあ他に何したらいいのー!?」

「何って……」


 今度はマリーがセイラとリントの間に入る。


「ねぇ、セイラ。ノエルちゃんに来てもらいましょうよ」

「うー、ノエルンは好きだけど……」


 マリーはソマイを見てニッコリ微笑む。


「実は見習い騎士団員にノエルって子がいるんですけど、ソマイさん、稽古をつけていただけないかしら?」


 ロイとリントは、何故ソマイに? と首を傾げる。


「それは、いいですけど、何故私に? ロイさんやリントさんでは……」

「ロイとリントは、この後会議ですもの。私、ノエルを弟のように思っていまして、ぜひ広い見解を持って欲しいんですよ。恋愛方面でも……んんっ……」


 セイラはマリーの「恋愛方面」という言葉に、素早く反応した。


「ノエルンを呼ぼう! リント! ノエルンを呼んで!」


 リントは顔を背けて「分かりました」と言うと応接室の外に出て行った。

 

 ロイは「恋愛方面……」と呟き、顔を背ける。

 

 タリスは、昨日の女の子みたいな騎士か、と顔を思い出す。


 ソマイはノエルと昨日会っているが、顔を思い出せないでいた。


「ソマイさん、ノエルはとてもいい子なんですよ。きっと気に入っていただけると思いますわ」


 マリーの悪い笑顔に、ソマイは首を傾げながらも「そうですか」と頷いた。






 

 ロイとリントは、政務棟の会議室に向かって歩いていた。


「……リント、ノエルのこと、良かったのかな……?」

 ロイは前を向いたまま、リントに尋ねる。


「……もし、そういう事になったら、ハリーさんに女性でも紹介しますよ……」

 リントも前を向いたまま、ロイに答える。


「……それより、ロイさんはもう大丈夫なんですか?」

「ああ、うん。ミコトが疲労回復をしてくれたからね。まぁ、ミコトはまた倒れちゃったんだけど……」

 ロイはベッドで眠るミコトを思い出していた。

 

 リントはロイを見る。


「一人でやるつもりですか?」

 

 ロイは頷く。


「実はもう、拠点に見張りを兼ねて後処理班を配置してるんだ。今夜中にかたをつける」


 離れた闇組織4拠点を、一人で一晩でやっつけるということか……。

 本当に手伝えることがないな、とリントは笑った。


「リント?」

「いえ、こちらは任せてください。ミコトにもアホな行動はさせませんので」


 ロイは「アホって……」と苦笑する。

 でも、ミコトを任せられるのが、一番だ。


「リント、いつもありがとう」

 

 ロイは心からの感謝の言葉を述べていた。

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