表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界恋護奇譚 〜聖女のオマケでバグ転移した私、15歳で天然最強騎士団長と偽装結婚しました〜  作者: 三多来定


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

170/193

170.ロイの傷

 襲撃のあった聖女の部屋で、タリスの「ロイの母親が亡くなる前に第2の代表であるリオを見た」発言に、誰もが息を呑んでしまっていた。


 最初に声を絞り出したのは、ソマイだった。


「な、なんでリオさんが……? 見間違いでは……?」


 タリスはハァと息を吐いた。


「俺、キダンさんが言った通り、人の顔忘れないんです。これ、相手は俺のこと忘れてることが多いから、結構キツイんすよ……」


「ごめん……、タリス……」


 忘れている代表のロイは謝っている。


「ロイ先輩は、当時から忘れっぽかったから、あまりショックではなかったんすけど……。ああ、リオ、さんの話ですよね。俺、冒険者の仕事で第2に行った時、なんかお祭りやっていて、リオさんを見たんです。ちょっと老けてたけど、コイツだって分かりました」


「それ、何年前の話?」

 キダンはタリスに質問する。


「2年前です。北の大地が、ロイ先輩のせいで儲からなくなったんで、別の仕事受けたんです」


「本当ごめん……」


 またもやロイは謝っている。


「なるほど、それでリオの2番目の奥さんを調べたんだ?」


 キダンの言葉に、タリスはうつむいた。


「はい、まあ、俺の調査力じゃ何にも分からなかったんすけどね……」


「何故、リオさんの2番目の奥様をしらべるんですか!?」


 ソマイはガタッと席を立った。


「ソマイ君って、2番目の奥さんに会ったことある人? ミレイさんで合ってる?」


 キダンはソマイを真っ直ぐ見る。

 ソマイは、サッと目を逸らした。


「私はロイさんとは腹を割って話しました。ですが、これ以上は第2のことで何かを言うつもりはありません!」


 ソマイの断固たる態度に、ミコトは、アレンが言っていたことを思い出した。

 

 リオを決して裏切らない。

 

 ソマイはミコトを助けてくれたが、味方ではないのだ。


「……っ!」

 ロイは頭に刺すような痛みを感じ、再び頭を押さえた。


「ロイ……!」

 ミコトはロイの頭に触れた。

 柔らかい金髪がミコトの手を包む。


「これ以上はロイ君の負担が大きいか……」

 キダンは呟いた。


 確かにそうだ、とタリスも頷く。


「ロイ、傷がある……」

「……え?」


 ミコトの呟きに、ロイは顔をあげた。


 頭の奥に、傷がある。

 見えないはずなのに、見える?

 これが、頭痛の原因?

 アリアンの治癒力でも治らない傷?


「ミコちゃん……」

 セイラはミコトの名前をただ呟いていた。


 ミコトは無意識に、この傷を治さなければと思っていた。

 本当はロイに確認しなければいけなかったのに、それはしなくてもいいことで、治療をしなければいけないと思っていた。


 何か、あたたかいものが、ロイの頭の中に入ってくる。

 ロイは、治療されている側はこんな感じなのか、と冷静に思っていた。


 その様子を見ていた、ソマイもリントもキダンもタリスもマリーも、何をやっているか分からなかったのに、ただ見守らなくては、と思っていた。


 どれくらい時が経ったのだろう。

 治療の力を使うといつもそうだ。

 時間がよく分からなくなる。

 それで、治る頃、意識が遠のくのだ。


 後ろに倒れていくミコトを、ロイは受け止めた。


「なるほど……。これは倒れても仕方ない……」


 ミコトは外傷だけでなく、いわゆる心の傷まで治せるのだ。

 相手がロイだから、かもしれないが……。


「ミコトさん!?」


 駆け寄ろうとするソマイをリントは止めた。


「ミコトは大丈夫です」

「大丈夫って……」

「ロイさん、それで治ったんですか?」


 ソマイの言葉を遮り、リントはロイに声をかける。


「うん。頭痛も治ったし、全部思い出したよ。ミコトはすごいね……」


「え、どういう事っすか?」

「どういう事ですか!?」


 タリスとソマイの言葉が重なる。

 ロイは「うーん」と唸った。


「今話すとミコトには後で知らせることになるよね。説明は明日でもいいかな?」


「ロイさん、記憶の話は明日でいいんですけど、2人が知りたいのは、ミコトに何が起こったかだと思いますよ」


 リントの言葉に、ロイは「うん」と言った。


「それも、ミコトに言ってもいいかきくから、明日で……」


「私は、ミコトさんの意思を尊重します。明日この場所でいいでしょうか?」


 ソマイの即決に、タリスも慌てて頷く。


「場所は政務棟の会議室にしない? ここ椅子が少ないよ! オジサンは立ってるの辛いんだよ!」


 キダンは手を挙げながら言う。

 リントは「分かりました」と言って一歩前に出た。


「それでは明日10時に政務棟の会議室で。アレンさんたちにも声をかけます。聖女とマリーは今晩から以前のように騎士団応接室でお願いします。ロイさんは……どうしますか?」


 セイラは「またぁ!?」と文句を言っている。

 ロイはセイラをチラリと見た。


「俺は、ミコトと自宅に帰る……でもいいでしょうか聖女様……」


 セイラはロイをギロリと睨んだ。


「仕方ないじゃん! ミコちゃん回復させなくちゃいけないし! このどすけべ野郎が!!」


 この光景に、唖然としたのは、ソマイとタリスだった。

 リントはコホンと咳払いをする。


「えーと、聖女様はロイさんが嫌いなんです。いつもの事なので気にしないでください」


 ソマイとタリスはかろうじて頷いた。


「なんか、リント君も大変だねぇ……」


 キダンの呟きに、マリーも思わず頷いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ