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異世界恋護奇譚 〜聖女のオマケでバグ転移した私、15歳で天然最強騎士団長と偽装結婚しました〜  作者: 三多来定


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167/194

167.女性と話したい

「はい。コレで話せるよ」


 黒ずくめの男5人からの襲撃にあった聖女の部屋で、ソマイの額に手を当てていたセイラはそう言った。


 セイラはあらゆる力を抑えることが出来るので、ソマイの女性を惚れさせてしまう力も抑える事が出来るらしい。


 マリーはソマイの目の前に立つ。

 リントはマリーの肩を支えている。


「ミコトを助けてくれて、本当にありがとうございます。私、一歩も動けなくて……」


 マリーはソマイに深々と頭を下げて声を震わせた。

 リントも頭を下げて「ありがとうございます」と言う。


「いえ、聖女様とマリーさんにお怪我がなくて良かったです」


 ソマイも頭を下げる。


 襲撃の場面で、普通の女性であるマリーが一歩も動けないのは当たり前の事である。


 それでもマリーは、ソマイにどうしてもお礼が言いたいと言い、セイラがソマイの力を抑えたのだ。


「私からも……、ミコちゃんを助けてくれてありがとうございました」

 セイラもペコッと頭を下げる。


 ソマイはたじろいだ。


「せ、聖女様! 頭を下げるなんてやめてください! 私の力も抑えていただいたのに……」

「あ、ソレ、明日になったら元に戻るよ」

「……え?」


 ソマイはポカンとする。


「私の抑える力は、継続力? がないんだよ。毎日教会で祈るのもそのためなの。まあ、馬鹿……、んんっ、ソマイちゃんが明日もいて、私が起きてたらまたやったげるよ」


 今、確実に、馬鹿イケメンって言おうとしてたよね?

 言い直してもソマイちゃんだし……。


「聖女様……、なにか、雰囲気が……?」

「聖女様はこれが素なんですよ。ちなみに、明日、聖女様は確実に起きてないので、やってもらえないです」


 リントは横から説明をして、ついでに明日の希望をも打ち砕いた。


 ソマイはガクッと膝をついたのだった。




 

 現在聖女の部屋には、ロイとミコト、セイラとマリー、ソマイとリントとタリスとキダンがいる。


 捕縛した黒ずくめの男5人は、いずれも息があり、後から到着した騎士団員たちに連行された。

 

 ハリーには報告のため政務棟に行ってもらっている。


「落ち込んでるとこ悪いんだけどさ、ソマイ君はどうしてここにいたの?」

 キダンは腕を組みながらソマイに質問する。


 ソマイは顔を上げてキダンを見た後、ミコトを見た。


「ミコトさんに謝ろうと思い……、でもどう謝っていいか分からなくて、聖女棟の周りをウロウロしていたんです。すると気配を隠した不審者が2階の窓から侵入するのを目撃しまして、咄嗟に私も中に入ったのです」


「え、謝る?」

 ミコトはソマイに聞き返した。

 何か、謝るようなことがあっただろうか。


 ソマイは少し目を伏せた。


「私は、この力のせいで、10年以上、姉さん以外の女性と話をしていないのです。でも、ミコトさんにはこの力は効きませんでした。そんな女性は初めてでしたので、つい必要以上に話しかけてしまい……。そちらのタリスさんに言われて、気付いたんです。ミコトさんに、いつでもこの力が効かないという保証なんてないのに、危険な事をしていたのだと……」


 ミコトは少しホッとしていた。

 ソマイの気持ちは、やっぱり力が効かないという物珍しさだったのだ。


「だいじょーぶだよ! ミコちゃんも特異体質で誰の変な力も効かないから!」


 ミコトの代わりにセイラが得意げに答える。

 ソマイは安堵の表情を浮かべた。


「そうですか……。でも、やっぱり、すみませんでした」

「あ、あの……!」


 ミコトが答えるよりも先に声を出したのは、意外にもタリスだった。


「10年以上、話してないんすか? その、女性と……?」

「はい……」


 ソマイは再び表情に影を落とした。

 キダンは「えー!?」と声を上げる。


「惚れさせてもいいから、話せば良かったんじゃないの? 僕だったら、その能力使いまくる……」


 マリーからの刺すような視線に気付き、キダンは黙る。

 ソマイは弱々しく笑った。


「そんな訳にはいきませんよ。騙しているようなものです。でも、私も男ですので、たまには女性と話したいなどと思ってしまい……」

「……分かる……!」


 タリスは目頭を押さえて頷いている。

 

 え、泣いてるの?


「ソマイさんも、同志だったんですね!」


 何故かロイが同志とか言い出した!?


「僕も入れてよー! 僕もいつでも女性と話したい派なんだって!」


 キダンは嬉しそうに手を挙げる。

 まあ、これはいつも通りである。


 その様子を見て、マリーは溜息をついた。


「リント、おバカな人たちを止めて話を進めてくれる?」


 リントはハッとなり、慌てて頷いた。


「あの、気持ちは分かりますけど、ソマイさんの知っていることについて話しませんか?」


 マリーバカのリントであっても気持ちは分かるんだ、とミコトは男性たちをボンヤリ見つめていた。

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