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異世界恋護奇譚 〜聖女のオマケでバグ転移した私、15歳で天然最強騎士団長と偽装結婚しました〜  作者: 三多来定


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166.聖女の部屋への襲撃

 時は、タリスが聖女の部屋を出て行った後に遡る。


「ミコちゃん、ミコちゃーん!」

 セイラは、聖女の部屋のベッドの上で放心しているミコトの顔を、ペチペチと叩く。


「はっ! セイラ!? 私……?」

「ミコちゃんの悪い癖! 現実逃避が発動してたよ!」


 セイラはハッキリとミコトに言う。

 ミコトは「あ……」とうつむいた。

 マリーはベッド上のミコトの隣に座る。


「ミコト、さっきも言ったけど、気にすることじゃないわ。気にされても、ソマイさんも困ると思う」


「う……ん……」


 マリーとセイラは顔を見合わせる。


「ミコちゃん、マリーは5年以上もリントを平気で待たせたんだよ? 私の事好きなのねって、思っておけばいいんだよー」

「そうよ。人の気持ちなんて、気にしたってどうにもならないの」


 マリーの相変わらずの余裕の言葉に、ミコトは思わず笑ってしまった。

 仮面舞踏会に潜入した時に、マリーのようにと頑張ったが、まだまだだったようだ。


「うん、そうだね。セイラ、マリー、ありがとう!」


 実際、ソマイの好きは、不思議な力が効かないことへの興味もあるのだろう。

 ミコトはロイが好きで、そこは変わらないのだから、気にしても仕方ないことだ。


「今夜はロイは来るの?」

 マリーは安堵の表情でミコトを見る。


「うん。前みたいに、1階で護衛をするって言ってたよ」


 ロイは、ミコトが少しでもマリーとセイラと一緒に居られるように配慮してくれている。

 闇組織調査ではロイだけが忙しくて大変だったのに、やっぱりとても優しい……。


「ねえねえミコちゃん! 今日の護衛にハリーいるんだよ! こっちに連行してノエルンとのこと聞こうよ!」


 セイラはかなり悪い顔で言う。

 ミコトは、うーんと唸った。

 正直言って興味ありまくりだけど、聞いてもいいものだろうか……。


「それは、後学のために必要なことね」

 マリーはニッコリと微笑む。


 マリーのこの言葉で、ミコトの心は決まってしまった。

 いろいろな恋愛を聞くことは、大事なことである! と。





 早速、2階の聖女の部屋にハリーを連行し、ミコト、セイラ、マリーの3人で取り囲むようにして座る。

 ハリーは、女性3人に囲まれて、冷や汗を流している。


「ハリー、聖女からの質問だから正直に答えてよ! どっちから言ったの?」

 

 セイラは聖女の権力を振りかざしてハリーに詰め寄る。

 セイラは騎士団員たちを好きなように呼んでいるが、ハリーのことは呼び捨てらしい。


「ど、どっちって、な、なんの事……」

「もう証拠は上がっているのよ?」

 マリーはニッコリと笑う。


 実はマリーはノエルに会ったことはないのだが、ノリノリである。


「ごめんなさいハリーさん。ノエルに聞いちゃって……」

 ミコトは遠慮がちに核心をつく。


「な、あ……!」

 ハリーは青ざめた後、真っ赤になる。


「ほらほら、吐いちゃいなよー」

 セイラがハリーを覗き込んだところで、ミコトは突然ガタンと席を立った。


「敵がくる! 5人! もう窓から2階に入ってくる!」


 ハリーも咄嗟に席を立った。

 その瞬間、窓から、黒ずくめの男たちが5人バラバラと入ってくる。


「襲撃だ!!」

 ハリーは大声で叫ぶ。


 誰狙いだ!?

 ミコトは短剣を抜いて構えた。


「銀髪の女だ!」

 黒ずくめの男の一人がマリーを指差す。


 マリー狙い!?

 闇組織だ!!

 ミコトはすぐに、ロイに助けて! と念じる。

 

「ミコトはマリーさんと聖女様を守って!」


 長剣を抜いたハリーは、言いながら5人の男たちに向かっていく。

 ミコトの脳裏に、結婚式の日の悲惨な光景が映し出された。


「マリーは絶対に守る!!」

 

 ミコトはマリーに掴み掛かろうとした男に短剣を振る。

 男はすんでのところでミコトの剣をかわす。

 だがミコトは隠し持っていたナイフでその男の脇腹を刺す。


「うっがぁっ!」


 その男は倒れたが、ダメだ!

 ハリーは2人を相手にしているが、残りの2人がミコトに斬りかかろうとしている!


 ミコトは初めて、死を覚悟していた。

 この間合いで、この長剣で斬られたら、助からない!

 分かっているのに、体制が崩れていて、手練2人に応戦出来ない……!

 助けて! ロイ! 助けて!!


 カァンという剣がぶつかり合う音が響き、ミコトの前に黒髪の大男が立ちはだかる。


「ソマイさん!?」

「ミコトさん! 大丈夫ですか!?」


 ソマイはミコトを斬ろうとした男2人をアッサリ斬り捨てる。


 ちょうどその時、階下から騎士団員4人が聖女の部屋に入ってきた。


 残った黒ずくめの男2人は、窓から出ていこうとして……その場にドサァッと倒れた。


 ロイの力だ……!


「ミコト!!」

「ロイ!」


 窓から入ってきたロイは、ミコトの方へ駆け寄る。


「ロイさん、捕縛を!」

 ソマイが叫ぶ。


「はい! 団員たちは捕縛して! その後止血を!ミコトはマリーと聖女を!」

 ロイは騎士団員たちに素早く指示を出す。


 ハリーと騎士団員たちは、「了解」と言い、男5人を縄で縛る。


「マリー、セイラ、大丈夫!?」

 ミコトが振り向くと、マリーはカタカタと震えて涙を流している。

 セイラはマリーを抱きしめている。


「マ、マリー!」

 ミコトはマリーを抱きしめた。


 いつも冷静なマリーが、こんなに震えて……!


「マリー、怖い思いをさせてごめんね! もう大丈夫だよ!」

「違……、違う……!」


 マリーは叫んだ。


「コイツら、ミコトを狙って……、は、初めから、ミコトを殺そうとしてたわ!!」


 ……え?


「私もそのように判断しました」

 ソマイはロイを見て断言した。


「そう、ですか……」

 ロイは呟くと、ソマイに向き直った。


「ソマイさん、ミコトを助けていただきありがとうございました」


 ロイは深々と頭を下げる。

 ソマイは目を伏せた。


「ロイさん、話してはいただけませんか? 私は、私の知っていることをお話しいたします」


 ロイは顔を上げてソマイを見た。

 ミコトもマリーから離れて、2人を見ていた。


 リントとタリスが聖女棟に入ってきて、聖女の部屋はかなりの騒ぎになっていたのに、ミコトの視覚と聴覚は、ただ、ロイとソマイのみを捉えていた。

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