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異世界恋護奇譚 〜聖女のオマケでバグ転移した私、15歳で天然最強騎士団長と偽装結婚しました〜  作者: 三多来定


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161.報告とその後

「ええと、ケイへの尋問で分かった事を報告しまーす」


 第3エラルダ国の拠点の宿屋の4人部屋で、キダンはバツが悪そうに話し始めた。


 ロイとタリスとホシナは頷いた。


「まず、ケイは闇組織の連絡役、つまり、闇組織準メンバーでした。これは予想通りでーす」


「予想が確定するだけでも、尋問した価値があります」


 ホシナは、ホッとしたように言う。

 キダンも「まぁね……」と呟く。


「ミコトちゃん拉致の依頼を闇組織に通したのもケイでした。ちなみに依頼料は、第3の元国家特別人物のサンドが出してます。国家特別人物はどの国のヤツも金持ちでホント羨ましいでーす」


「報告に個人の感情を入れないで下さいよ……」


 ロイは溜息まじりでキダンに言う。

 タリスは「あの……」と言った。


「ミコトさんの拉致理由をきいても……?」


 キダンは「あー」と言い、ロイを見た。

 ロイは、タリスに向き直る。


「ミコトは第3の国家特別人物に、古代魔法適性があるって言われて、狙われてるんだよ。俺と結婚したのも、それを防ぐためなんだ」


「ああ、そういう……。いや、古代魔法適性って、本当に……?」


 タリスはロイを真剣に見る。

 実は古代魔法は、冒険者の間では、かなり人気の話題なのだ。

 独自に研究をしている冒険者も何人か知っている。


「うーん……。本当かは分からないんだけど、ミコトが古代魔法を怖がっていてね……」

 ロイは曖昧に答えた。


「あ、そうか……。じゃあこの話題は、もういいっす」


 あっさり引き下がったタリスを、全員が驚きを隠せない表情で見る。

 タリスはふいと横を向いた。


「え、タリス君って、なんか、いいヤツ? 照れ屋? 後でいろいろ聞いてもいい?」

 キダンは身を乗り出す。


「報告! お願いします!」

 タリスは横を向いたまま叫ぶ。


 ロイとホシナは笑う。

 キダンは、面白いオモチャを見つけた子どものような顔をして「報告続けますー」と言う。


「ケイは、ミコトちゃん拉致の依頼を通した後は、誰の依頼も闇組織に通していませんでした。他の連絡役のことも、一切知りませんでした。どうやら本人はあまり闇組織に関わりたくないようです」


 それはそうかもしれない、とロイとタリスとホシナは頷く。

 同じ準メンバーのヒマルは殺されているのだ。


「んで、肝心の闇組織との連絡方法ですが……、結論から言うと、手紙、ということしか分かりませんでした」


 ホシナは身を乗り出す。

「どこに手紙を出しているかは……」


 キダンは「んー」と言って、ロイを見る。

 ロイは頷いた。


「ホシナさん。俺の尋問は、質問した事に対しての反応でみているんですよ。つまり、ハイとイイエで答えられる質問でしか分からないんです。場所もある程度絞ってキダンさんが質問したのですが、どれも違いました」


 ホシナは「そうですか……」と呟く。


「ホシナさんは、俺たちを襲った3人をつけましたよね。そっちはどうだったんすか?」


 タリスの質問に、ホシナは体をピクッとさせる。


「さすがですね、タリスさん……」


「二重の囮の話を教えてくれていれば、真剣に奴らを生捕りにしたんですが……」


 タリスの言葉に、ホシナは首を横に振った。


「いえ、捕まえてしまうと、奴らは拠点を変えてしまうので……。私の目的は、あくまで逃げた闇組織の拠点調査でした。それで、奴らが向かった場所なんですが、第3の首都の南端にある宿屋でした。今回のための一時的な拠点、もしくは、単に寝泊まりしているだけの場所と思われます。今現在は私の部下が見張っています」


 ロイは「なるほどね」と呟いた。


「よし、今後の動きですが、俺から提案してもいいですか?」


 ロイの言葉に、キダンは「いいよー」と言い、タリスとホシナは頷いた。


「闇組織の方は、引き続きホシナさんと部下の方でお願いします。俺はケイの自宅と仕事場を調べます。闇組織に繋がる何かがあるかもしれません。タリスはミコトの側で護衛をお願い。キダンさんには、書類を作ってもらいます」


 ホシナは「いえ!」と席を立った。

「ケイには四六時中監視がいるので、自宅の捜査も困難かと……」


 キダンはホシナの肩をポンと叩く。


「ロイ君は、そんなの関係なく捜査できちゃうんだよー。あ、でも、現場近くには行くし、変装はした方がいいよね……」


 驚いているホシナを差し置いて、キダンはニッコリ笑った。


「ウミノちゃんとネルちゃんには悪いけど、もう少しだけここに残ってもらおうか! 仕方ないよね!」


 ホシナとタリスは、顔を上げた。


「そうですね。仕方ないですが、お二人にはぜひ残っていただきましょう!」

「仕方ない……っすよね。ロイ先輩、目立つし、ホント、仕方ないっす……」


 この時の事を、今回の報告で一番意見が合った瞬間だった、とロイはミコトに報告することになる……。





 報告と今後の方針が決まり、ロイとタリスとキダンとホシナが4人部屋を出ると、廊下にウミノとネルが立っていた。


「あ、ウミノちゃんとネルちゃん、ちょうど良かった! 実は仕事の延長をお願いしたいんだけどさー」


 キダンは2人に駆け寄り、事情を説明する。

 どうやら元々延長の可能性は話してあったようで、2人ともすんなりOKをしている。


「それはそうと、旦那様!」

 ネルはロイに、ニヤリと笑いかける。

「お部屋でミコトさんがお待ちかねですよ!」


 ウミノもウフフと笑う。

「もう、すっごく可愛くしておきましたよ! 旦那様好みだと思います!」


「あ、え……と……」


 ロイは、この2人は全員いる場でなんて事を……! とたじろいだ。

 案の定、タリスとキダンとホシナの目線が冷たい。


「あー、そうだったねー。ロイ君は今夜はミコトちゃんと……、だったねー」


 キダンは完全に棒読みで言う。


 ウミノとネルは、その雰囲気を感じ取ったのか、男3人の前に立った。


「私たちじゃ役不足かもしれませんが、良かったら一緒に飲みませんか?」

 ネルはニッコリ笑う。


「もちろん、お疲れでしたら、全然断っていただいても……」

 ウミノは伏目がちに言う。


「ぜんっぜん疲れてないよ! ねえ?」


 キダンの言葉に、タリスとホシナはウンウンと頷く。


「ぜひ、ご一緒させて下さい!」

「俺も、よろしくっす!」


 5人が連れ立って1階へ降りていくのを、ロイは呆然として見送った。


あちらは楽しそうだが、はたして、ロイ好みのミコトとは、一体……。


 ロイはゴクリと唾を飲み込んで、ドアをノックしたのだった。

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