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異世界恋護奇譚 〜聖女のオマケでバグ転移した私、15歳で天然最強騎士団長と偽装結婚しました〜  作者: 三多来定


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153/191

153.ヤキモチ?

 仮面舞踏会に潜入する当日の13時、拠点にしている第3エラルダ国の宿屋で、闇組織調査メンバーは準備に追われていた。


「昨夜はさぁ、若い子たちはさぁ、楽しそうだったよねー」


 偽造した招待状のチェックをしながら、キダンは不満げに言う。


 ロイとタリスは顔を見合わせて、苦笑した。

 ちなみに、女性たちは、ミコトの準備で別室だ。


 昨夜は、1階の食堂で、ミコトとウミノとネルの女の子3人と、ロイとタリスは、冒険者の話や北の大地の話などで盛り上がったのだ。


 女の子たちは、何を話しても興味津々に頷いてくれて、ずっと笑顔だった。

 ロイも、女性と話すことが楽しいと初めて思ったくらいだ。

 ミコト以外でロイの近くにいる女性は、睨んできたり(聖女)、死ねと言ってきたり(聖女)バカと言ってきたり(マリー)だったのだから、新鮮である。


「俺、女性を誤解してた……」


 タリスはボソッと呟く。

 どうやらタリスも楽しかったようだ。


「どうしてオジサンたちは誘われなかったのー!?」


 キダンの言葉に、ホシナも頷いている。


「人妻好きや金髪マニアでも、普通の女性と話したいんすか?」


 タリスの質問に、4人部屋がしんとなる。

 タリスは、しまった、と口を押さえた。


 まただ。

 昨夜は気をつけていたけど、気を抜くと、つい、キツイ事を言ってしまう癖が……


「タリス君! 趣味や嗜好は、自分でもどーにもならないんだよ! そんなのとは別に、僕はいつでもどこでも、女性と喋りたいんだよ!」


「右に同じです。若い女性と話せる機会なんて滅多にないんです。何故お誘い願えなかったのかと恨んでいます」


 なんて正直なオジサンたちなんだ、とロイとタリスは目を見開いた。


 いっそ、かなり、清々しい。

 ああ、この二人は同志だったのだ。


 ロイとタリスは、深々と頭を下げて、「すみませんでした」と謝った。





 同じ頃、ミコトは、ウミノとネルの部屋で、メイクをしてもらっていた。


「昨夜は楽しかったですね」

 ウミノはミコトの顔にポフポフと粉をはたきながら言う。


「北の大地の話なんて、知らないことばっかりで面白かったです!」

 ネルも金髪のウィッグを整えながら言う。


「私も初めて聞く話で楽しかったです」

 ミコトも同意した。


 昨夜は、みんな楽しそうで、本当に良かった。

 タリスも、照れ屋なのかと思っていたが、結構ウミノとネルと話していた。


 でも、何より意外だったのは、ロイだ。

 ロイがミコト以外の女性と楽しそうに話すところを、ミコトは初めて見た。


 騎士団は男性しかいないし、セイラとマリーは基本男性には冷たい。

 それが当たり前になっていたが、ロイだって普通に女性と話すのだ、と改めて思っていた。


「あ、ミコトさんは、旦那様が他の女と話すのは嫌なタイプですか?」


 ネルが、ミコトの心を読んだかのように、ニヤリと笑う。


「いえ、まさか、そんな……」


 ミコトは、言いながら、まさか、そうなのか? とハッとした。

 

 ロイが、ミコト以外の女性と楽しそうだったから、何かモヤモヤとするのか!?


 まさか自分が、他の女と喋らないで! と言う女だったとは……。


「ミコトさん!? 顔が死にそうになってますよ!?」

 ウミノは驚いてミコトの肩を揺する。


「すみません……。自分にガッカリして……」


 ミコトの様子に、ウミノとネルは、ウフフと笑った。


「大丈夫ですよ、ミコトさん。そんなの、恋する女の子だったら当然です」

「そうですよ? むしろ、ヤキモチをやかない女の子なんていないんです!」


 そうなのだろうか。

 恋愛経験が無さすぎて、常識が分からない。


 うつむくミコトを見て、ウミノとネルは顔を見合わせる。


「ミコトさん、今日の仕事のメイクは旦那様の好みとは違うと思いますので、夜のメイクを任せてもらえませんか?」


 ウミノの言葉に、ミコトは顔を上げる。


「夜のメイク?」


 ネルは荷物から、黒の夜着を取り出して広げた。

 その夜着は、ミコトが初夜で着ていた物と同じデザインの黒バージョンだった。


「初夜に黒はダメだと思って諦めた夜着です。でもミコトさんは髪も瞳も黒なので、これ、絶対似合うと思うんですよ!」


 ネルは自信満々に言う。


 いや、何でそんな物を持ってきているの?


「旦那様はロリコンですので、メイクはすっぴん風のあどけない感じでいきます」


 ウミノは真面目な顔で言う。

 

 サラッとロリコンって言った?


「髪型は、いつものポニーテールにして、後毛を多めに出します。ロリコンには、たまらないはずです!」


 ネルは、ぐっと手を握る。


 また、ロリコンって言った!


 

 いつものミコトだったら、そんな事しなくていいですよ! と言っていたのだろう。

 ロイはロイだから、ミコトが何を着ても一緒なんだと。


 でも、初夜の時、ウミノとネルの言う通りにしたら、可愛いって言ってもらえた。

 初めてそういうことをした夜も、ロイは初夜の夜着を覚えていた。


 国家特別人物の妻だから、綺麗にしなくては、といつも思っていたけど、今は、ロイが可愛いと思ってくれるようにしなくては、と思っている。

 ウミノとネルの言う通りにしたら、ロイはミコトを抱き上げて、今日は2人で過ごそうね、と言ってくれるかもしれない。


「あの、それでお願いします!」


 ミコトの真剣な表情に、ウミノとネルは笑顔で頷いたのだった。

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