表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界恋護奇譚 〜聖女のオマケでバグ転移した私、15歳で天然騎士団長と偽装結婚しました〜  作者: 三多来定


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

146/189

146.ソルの治療

 ミコトとロイとシーマは、早朝の乗り合い馬車に乗り、隣町に向かっていた。


 ソルの治療をするために、ソルの実家に行くためだ。


「ソルは隣町の出身なんですね」


 ミコトの言葉に、ロイとシーマは頷いた。

 

 騎士団員は地方出身者も多い。

 ミコトもそういう設定だし、リントも地方出身なので首都で一人暮らしをしている。


「ミコト、ソルの実家なんだけど……」


 ロイは、言いにくそうに言葉を濁す。

 シーマはロイを右手で制して「私が言います」と言った。


「実は、ソルさんのご両親は、騎士団に対してかなり怒っていらっしゃいます」


「えっ……」


 ミコトは驚いたが、すぐに、それは当たり前だ、と思った。

 息子が重傷を負い、将来がダメになったのだ……。


「団長も副団長も私と共に2回お見舞いに行っていますが、医者の私は入れていただけますが、お二人は門前払いでした」


 そうだったの?

 二人とも、ミコトにはそんな事一言も話さなかった。


「何を言われても、ミコトさんのせいではありません。決して心を乱さず、治療に臨んで下さい」


「はい!」


 ミコトのせいではない、とは思えないかもしれない。

 だけど、治療は絶対に成功させる。

 心を乱さず、冷静にやるんだ。






「お医者様以外は帰ってください!」

 

 隣町であるジラル町の片隅の平屋の家の前で、ロイとミコトは立ちすくんでいた。


 ソルの母親である女性は、ロイとミコトを睨みつける。

 ソルの父親は母親の肩を支えている。


「お父様、お母様、今日はソルさんに大事な用件がありまして……」

「何をしていただいても、息子は元には戻りません! 帰ってください!」


 シーマの言葉を遮って、母親は叫ぶ。

 

 当然だ。

 でも、日を改める訳にはいかない。

 ソルを早く治したいし、闇組織の調査もあるのだ。

 今日しかない。


 ミコトは一歩前に出た。


「私、ソルさんに護衛をしていただいたミコトといいます。今日は……」


 パシッと音が響いて、ミコトの左頬に軽い痛みがはしった。

 

 え……、叩かれた……?


「あなたね!? 知ってるわ! あなたソルより強いのでしょう? どうして自分より強い人の護衛を息子がしなくちゃいけなかったのよ!? どうして息子が斬られる前に助けてくれなかったの!?」


「あ、ご、ごめ……」

「母さん! もうやめてくれ!」


 ソルの叫び声が聞こえた。

 部屋の奥から、這いつくばったソルが必死に片腕の力だけで入口に向かってきている。


「ソル!」


 母親と父親はソルの方へ駆け寄る。

 ミコトは、ただ呆然と、その光景を見ていた。

 ミコトの肩をロイが支えていたが、それにも気付いていなかった。


「護衛に志願したのは俺なんだ! それにミコトは両親を亡くしているんだよ! こんな、こんなのは……」


 違う。

 ミコトの両親は生きている。

 

 でも、考えた事があっただろうか。

 両親が、こんな風に悲しむ姿を……。

 ミコトが突然いなくなってしまった後の、両親の気持ちを……


「あ、う……」


 ミコトは頭を抱えた。


 今はそんな場合ではない、冷静にならなくちゃ、という気持ちと、何が私は幸せだ、親を不幸にしたのに、という気持ちが、頭の中でぐちゃぐちゃになる。


「すみません! 今日は本当に大事な用件で来たんです! ソルさんと話をさせて下さい!」


 ロイは、ソルの両親とソルに、深々と頭を下げる。

 シーマも「お願いします」と言い、頭を下げる。


 ミコトは何とか残っていた冷静な気持ちで、同様に頭を下げた。


 ミコトとロイとシーマの3人は、何とか、渋々、ソルの部屋に通してもらう事が出来たのだった。






「ソルさん。今日はお見舞いではなく治療に参りました。治療はミコトさんが行います」


「ミコトが……?」


 ベッドに寝かせられたソルは、目を見開く。


「はい。ミコトさんはソルさんとニアさんの治療をするために、かなり頑張って勉強していました。そして、この治療で治っても治らなくても、この件は他言無用でお願いします」


 ソルは「分かりました」と頷いた。

 シーマはミコトを見る。


「ミコトさん、大丈夫ですか?」


 ミコトは頷いた。


「大丈夫です。ちゃんと、冷静にやれます」


 今は、ソルを治す。

 それだけだ。


 ミコトはソルの手を握る。

 ニアの時と同じ様に、感情は入れずに、体の構造と力の方向に注意しながら、集中する。

 ロイはミコトの肩に手を乗せている。




 ニアより時間がかかっていたのかもしれない。

 もう意識がなくなる……という感覚がミコトを襲う。

 でも、もう少し、ロイの手から力を取り入れるイメージで、もう少し……!

 ソルの損傷箇所が、治った! と安堵した瞬間、ミコトの意識は完全になくなり、後ろに倒れていった。





 ミコトが目を開けると、そこは知らない部屋だった。

 6畳くらいの部屋で、シングルサイズのベッドに横たわっていた。

 家具はベッドだけで、部屋の入り口に小さなランプが掛けてある。

 宿屋とも違う雰囲気だ。


 この部屋に近づいてくる足音が聞こえ、ドアが開き、ロイが入ってくる。


「ミコト、起きた?」

「……うん。ここ、どこ?」


 ロイはミコトの隣、ベッドに腰掛ける。


「実は色々あってね……。ここはジラル町の町長の家なんだ」


「……え?」


 どういうこと?

 何で隣町の町長の家で寝ていたの?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ