表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界恋護奇譚 〜聖女のオマケでバグ転移した私、15歳で天然最強騎士団長と偽装結婚しました〜  作者: 三多来定


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

136/194

136.ノエルの告白

 騎士団の救護班で、昼休憩時、班員たちが買ってきてくれた食堂のランチボックスを、ミコトとセイラは、きゃっきゃと話しながら食べていた。


「これ、給食だ!」

「割と美味い!」


 勉強していた机で、そのまま食べる。

 これが給食でなくて、なんなのだ。

 この、まあ、美味しい? くらいの味も、給食っぽさを出している。


 すると、ランチボックスを持ったノエルがおずおずと救護班に入ってきた。


「あ、あの、何故か僕もここで食べろって言われて…?」


 ミコトとセイラは、顔を輝かせた。


「クラスメイト!」

「友だちきたっ!」


 困惑しているノエルを、ミコトとセイラはお構いなしに、向かい側に座らせる。


「ノエルンは何歳ー?」

「ノ、ノエルン…? 14です」

「そっかぁ。でも今日は、同い年の女の子設定ねー」

「え、ええっ!?」


 セイラに無理矢理女の子にされたノエルは、半泣きになる。


「聞いてよ、ノエルン! ミコちゃんの彼氏、サイテーなの。早く別れればいいのにね?」


 その話題にのるのか!? とノエルはミコトを見る。

 ミコトはアハハと笑った。


「別れないよー。ねえ、ノエルは好きな人いる?」

「ええっ!?」


 ノエルは本気で驚いている。

 セイラはニヤリと笑った。


「だれだれ? 教えてー?」

「い、いませんよ!」




 少し離れたところから3人の様子を見ていたロイとコランとシーマは、溜息をついた。

 ちなみに、ノエルを行かせたのは、シーマである。


「試みは成功しましたが、少々ノエルさんが気の毒ですね…」

 シーマは小声で呟く。


「少々か?」

 コランも呟く。


「試み?」

 ロイは首を捻った。


 シーマは頷いた。


「勉強は、1人でやると結構ツライのです。ライバルや仲間がいるだけで、効率がかなり違います。そして、休憩時間は仲間と雑談をすると良いのですよ」


 なるほど、とロイとコランは頷いた。


「年は出来るだけ近い方がいいです。私たちではダメなのです」


 コランはさらに頷いているが、ロイ的には、40歳くらいの2人と一緒にされるのは若干心外である。


「しかし、あれでは、ノエルは休憩にはなりませんね」


 コランは苦笑しながら言う。

 ノエルは元々コランの部下だった。

 心配になるのは当然だろう。


「後で別途休憩を取らせますよ」


 ロイも苦笑しながら言う。

 依然として、ミコトとセイラの話題は、ノエルの好きな人(何故か男性)を、当てることだ。





「分かった! リントだ!」

 セイラは、ノエルにビシッと言った。


「な、違います! 副団長は尊敬していますし優しいですけど、そういう感情はありません!」


 ミコトとセイラは顔をしかめた。


「優しいー!?」

「私にはいっつも意地悪だよ!」


 ノエルは、そうだろうか? と首を傾げる。

 昔から、リントとミコトは仲良く見える。


「でもリントには超美人の彼女がいるからなぁ。じゃあもう、アイツにしなよ。だんちょー」


 セイラはランチボックスのポテトを食べながら言う。


「団長はミコトさんと結婚してますよ!?」

「ちょっと、セイラ!」


 ノエルは慌てふためき、ミコトも目を丸くする。


「アイツ、ロリコンだから、ノエルンなら、2番目になれるよー。金持ってる以外いいとこないけど、どう?」





「団長、やっぱりそうだったんですね…!」


 コランは目を丸くして、ロイを見る。

 やっぱり!? とロイはショックを受ける。


「違います! ていうか、コレ、もう止めて下さいよ! ノエルが普通に女子っぽく対応していて、意味が分かりませんよ!」

 ロイはシーマの肩を揺らす。


「興味深いですね…」

 シーマは真剣に3人を見つめながら呟いている。


「何が!?」





「ロイは2番目の奥さんは持たないって言ったもん!」


 ミコトは結構本気でセイラとノエルに言う。


「そんなの今だけだよー? 大体ロリコンは、ミコちゃんみたく胸ボーンは苦手なんだよ。ノエルンみたいにぺったんこじゃなくちゃ!」


「な、それ、ホント!? コッチなの?」

 ミコトはノエルの胸を見る。


「ぼ、僕は男です!」

 さすがにノエルは叫ぶ。





「俺は、ミコトの胸が一番好きです!」

 ロイは慌ててシーマとコランに宣言する。


「団長、ロリコンを否定しようとして、とんでもない発言をしてますよ…」

 コランは呆れて指摘する。


「団長、2番目の奥様は持たれないんですか?」

 シーマは真面目な表情でロイを見る。


「え? あ、はい。これはアレンさんにはもう言ってあります」

「なるほど、それで…」

 シーマは意味深に呟く。

「それでって…」


 ロイがシーマの言葉を聞き返そうとした時、あの場から走って逃げてきたノエルがロイにドンとぶつかった。


「すみませ…だ、団長っ!?」

「ごめん、ノエル! あれ、ロイ?」


 ノエルにも、追いかけてきたミコトにも、立ち聞き3人組はアッサリと見つかってしまった。


 ノエルは、ロイとコランとシーマを見て、赤面する。


「僕は決して団長のことは…っ! 事務やってきます!」

 それだけ言うと、ノエルはダッシュで逃げ出した。


「待って、ノエル!」

 ミコトもノエルを追いかける。


 2人を呆然と見送るコランとシーマに、ロイは「どうしよう…」と呟いた。


「何故か、ものすごく気まずくないですかっ!? 俺、ノエルと二人きりが多いんですけど!?」


 コランとシーマも「うーん…」と腕を組む。


「私、ノエルンに謝ってくる。立ち聞きのオッサンたちも来て」

 セイラはロイの横を通り過ぎながら、スタスタと歩いて行く。


「立ち聞きのオッサン…」

 3人はガックリと肩を落として、セイラの後について行った。





 ミコトは騎士団長室のドアの前で、とても困っていた。

 ノエルが騎士団長室に内鍵をかけて、立てこもってしまったのだ。


「ミコちゃん!」


 振り向くと、セイラとロイとコランとシーマが歩いてくる。


 ミコトは4人に、事情を説明した。

 コランは内鍵の存在自体に驚いている。


「内鍵なんてあったんですね。団長、今度からミコトに何かする時はコレを…」

「コランさん! 今その話題はナシで!」


 ロイは、コランの口を手で押さえる。

 セイラはロイをジロリと睨んだ。


「アンタなら開けられるでしょ? 謝りたいからコレ開けて!」

「ハイ…」


 ロイは袖から小さなナイフを出すと、ドアと壁の隙間に入れる。

 カチャンと鍵の外れる音がした。


「スゴイ! ロイは鍵も開けられるんだね!」

 ミコトは感心したように言う。


「うん、まあ…」

 ロイは曖昧に答える。


 ミコトは気付いていないようだが、大体の鍵を開けられる男性なんて恐怖の対象でしかない、とコランとシーマは思っていた。


 セイラは「私が行くから」と言うと、騎士団長室に入り、事務席の方へ歩いて行く。


 ミコトとロイとコランとシーマは、一応中に入ったが、ドア近辺に留まった。


 ノエルは席に座り、下を向いている。


「ノエルン、ごめんなさい」


 セイラの謝罪に、ノエルは慌てて席を立った。


「せ、聖女様が謝ることなんて…」

「ノエルン、私ね、男がダメなの」

「…え?」

 ノエルは目を見開いた。


 ミコトは、自分の手を握りしめた。


「セイラ…」


 セイラはミコトをチラリと見る。

 ミコトはセイラの横に行く。


「私ね、聖女になるずっと前に、男にイタズラされたの。ソイツは私の先生だった」


 ノエルとロイとコランとシーマは、愕然とする。


「コレは別に隠してない。リントも知ってる。だからリントは私には触らない」

「聖女…様…」

 ノエルは何とか声を出す。


「女の子は好き。だから、ノエルンを女の子に見立ててお話ししたかった。でも嫌だったよね。ごめんなさい」


 セイラは頭を下げた。

 ミコトも「ごめんなさい」と言って頭を下げる。


 ノエルは、首を横に振った。


「違うんです! 聖女様もミコトさんも悪くないんです! 僕、バレるのが怖くて…!」


 セイラとミコトは、頭を上げて、顔を見合わせた。

 ロイとコランは、嫌な予感しかしない、と目を伏せた。

 シーマは興味深そうにノエルを見つめる。


「ノエルン、言わなくていいよ。オッサンたちもいるしさ」


 セイラは諭すようにノエルを覗き込んだ。

 オッサンにロイも入っているのだろうか? とミコトは目を泳がせる。


「いいえ、聖女様にだけ言わせるなんて、僕には出来ません! 僕は、僕は、ハリーさんと付き合ってます!」


 その瞬間、コランは膝から崩れ落ちた。


「コランさん!」

 

 ロイとシーマは、咄嗟にコランを支える。

 

 無理もない。

 直属の部下だった2人が付き合っていたのだ。


「元々尊敬はしていましたが、何回もお見舞いに来てくれて、それで…」


 ミコトはノエルの手を握った。


「ノエル! 私、断然、応援するよ!」

「ハリーって、アイツの同期の真面目君だよね? ロリでショタか! いいね、応援する!」


 セイラは親指をグッと立てる。

 ノエルは目を見開いた。


「気持ち、悪く、ないんですか?」


 ミコトとセイラはアハハと笑った。


「全然! 誰を好きでもいいんだよ!」

「私も女の子が好きだよ!」


 ロイとシーマは、女子3人組(にしか見えない)を見て、苦笑した。


 騎士団は男しかいないため、実は男同士…というのもある。

 それに関しては、個人に任せている…というと聞こえはいいが、実際は隠していることが多いため気が付かないし、気が付いても関わらないだけなのだが。


「聖女様はさすがですね」


 シーマは、誰に言うでもなく呟いた。

 ロイは、これが各種相談の中身か、と直感した。


 なんにせよ、ハリーに女性を紹介しなくて本当に良かった…と、ロイは思うことにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ