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異世界恋護奇譚 〜聖女のオマケでバグ転移した私、15歳で天然最強騎士団長と偽装結婚しました〜  作者: 三多来定


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116/196

116.ロイの治癒能力

 ミコトが脳しんとうから目覚めた後、ミコトとロイとリントとセイラとマリーは、聖女の部屋にいた。


 時間は午後9時である。


「こんな感じ?」


 ロイは首を傾げながら、ミコトの後頭部のたんこぶにそっと手を当てる。


 ミコトも正しい方法はよく分からないが、「多分」と言って目を閉じる。


 何か、温かい。

 痛みが引いていく。


 リントとセイラとマリーは、その様子をじっと見ている。


「どうかな?」


 ロイは後頭部から手を離して、ミコトの髪を上げる。


 マリーはミコトの後頭部を覗き込んで、「すごいわ! 治ってる!」と言った。


 リントも覗き込んで、腕を組んだ。


「これ、俺の怪我も治せたりするんですか?」


 ロイはさらに首を傾げる。


「どうかな、治してる感覚自体ないしなぁ…」

「ミコちゃん以外は無理だよー」


 セイラは、ロイから迷惑料として買って貰ったお菓子を食べながら答える。


「ミコちゃんへの思いを体に入れてるだけだから。そもそも、その力、治す力じゃないし。リントがコイツと愛し合ってたら、もしかしたらいけるかもしれないけど」


 ミコトはロイとリントが…を想像しかけて、首を横にぶんぶんと振った。

 セイラってば、とんでもない事を言うなぁ。


「あー、ごめん、リント。後輩以上には思えないかも…」


 ロイは照れくさそうに答える。

 リントは嫌そうな顔をした。


「こっちだって、手のかかる先輩以上には思えないですよ!」


 ロイは苦笑する。

 さすがに、手のかかる先輩、を否定できない。

 マリーはクスクスと笑った。


「でも、治す力じゃないのに、治るなんて不思議ね」


 マリーの言葉に、ミコトは頷いた。


「そういえば、そうだね」


 神様に聞けば良かった。


「あ、それは、元々の俺の治癒力だと思う。俺、怪我の治りが早いらしいから」


 ロイは、あっさりと言う。


「そうなんですか? 結構一緒にいますけど、初めて知りました」


 リントは驚いている。

 ミコトも初めて知った。


「俺もこの間知ったんだよ。怪我しないから気付かなかったんだよね」


 それもある意味すごい。


 突然、セイラが席を立った。

 手にはフォークを持っている。


「試そうよ」


 セイラの目が据わっている!


「だ、だめだよ! セイラ!」


 ミコトはセイラからフォークを取り上げた。

 セイラなら本当にロイを刺しそうだ。


 ロイは袖口から小さなナイフを出した。


「いいよ」

「ロイまで、何言ってるの!?」


 セイラはニヤリと笑う。


「じゃ、遠慮なく。どこにしようかな…」

「セイラ…!」


 ロイはミコトの腕を掴んで、「大丈夫だから」と言った。

 リントとマリーは顔を見合わせる。


 セイラはロイからナイフを受け取ると、ロイの顔にナイフを向けた。


「顔にするか」

「顔はダメぇ!」


 ミコトは大声で叫ぶ。

 マリーはリントに「ミコトはロイの顔が好きなのよ」と伝えている。


 その通りだけども!

 それだけじゃないっていうか!


 ロイは微笑むと、腕を出した。


「この辺で」


 セイラは頷くと、躊躇なく、ロイの腕をナイフで斬った。


 普通、初めて人を斬る時は、もっとためらうものだよね!?


 ロイの腕から血が出た瞬間、傷がふさがる。

 ロイは反対の手で血を拭きとり、何の跡もない腕を見て「うわっ!」と叫んだ。


 ロイ以外の全員は、どちらかと言うと、ロイの声に驚いた。


「何でロイさんが驚くんですか!?」

「いや、すぐ治るから、びっくりしちゃって…」


 なんか、ズレている。

 ロイ以外の全員は、今度は溜息をついた。


「なんかもう、人間じゃないわね」


 マリーの言葉にリントとセイラは頷く。

 人間離れしているセイラまで頷くのは、どうなんだろう…。


 ロイはミコトをチラリと見た。


「俺のこと、気持ち悪くない?」


 ミコトはキョトンとする。


「すごいなぁとは思うけど、気持ち悪くなんてないよ」


 ロイはホッとした表情をする。


 リントは怪訝な顔をした。


「あの、前から思ってたんですけど、ロイさんって、気持ち悪いと思われたくないってよく言いますよね。言われたことでもあるんですか?」


 そう言われればそうかも、とミコトも頷く。


 ロイは「うーん」と腕を組んで考え込んだ。


「実は俺、子どもの頃のことを殆ど覚えてないんだよね。もしかしたら、言われたことがあるのかもしれないけど…」


 そうなのか。

 母親であるレイが亡くなったときの事も、分からないのかもしれない。


「具体的には何歳までの記憶がないんですか?」


 リントの質問に、ロイはさらに「うーん」と言って考え込んだ。


「実は養成所時代も殆ど覚えてない。座学に何の授業があったかはサッパリ知らない」


 ロイ以外の全員は呆れた表情になった。


「つまり、単なる記憶力が悪い人、ですね」


 リントの言葉に、ミコトもマリーもセイラも納得して頷いた。


「ロイさんの過去に一体何があったのか? と思ったんですけど、特に何もなさそうで安心しました」


「あれ? この話終わり?」


 リントは「終わりです」とピシャリと言った。

 ロイはガックリと肩を落とす。


「あ、あのね、ロイ!」


 ミコトは落ち込んでいる? ロイを覗き込んだ。


「2人で話したいことがあるんだけど…」


 神様の話をしなければいけなかったのだ。

 セタの件だから、ロイにまず相談をしなくてはいけない。


 ロイが答えるより先に、リントが「あ!」と声を出した。


「2人で自宅に行ってきたらどうですか? 俺もマリーに話がありますし」


 ロイは、リントに頼んでいた事を思い出して、頷いた。

 今日もミコトと一緒にいられるなんて、嬉しい限りである。


「えー! 私は除け者? ひどーい!」


 セイラは口を尖らせた。

 確かに、これではセイラが1人になってしまう。


 ミコトの話は、神様の事だから、セイラが聞いても問題はない。

 それに、マリーとリントも、たまには2人きりがいいだろう。


「じゃあ、セイラも一緒に自宅に行こうよ」


 ロイは、2人じゃなかったのか!? とミコトを見たが、ミコトはお構いなしに話を続ける。


「一度見せたかったんだよね。ベッドも大きいから、3人でも寝られるよ!」


「やったー! お泊まりだ!」


 ロイは両手で顔を覆った。

 3人で寝るなんて、出来るわけがない。


「あー、残念でしたね…」


 リントは小声でロイに呟いた。

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