表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界恋護奇譚 〜聖女のオマケでバグ転移した私、15歳で天然騎士団長と偽装結婚しました〜  作者: 三多来定


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

103/180

103.壊された休日

 リタとセタの家の暖炉の部屋で、ミコトとリタとシェナは明らかに不機嫌だった。


 部屋の隅の椅子に腰掛けたオルバは可哀想なくらい困っていて、その隣に立っている第4の騎士団長スミスは、先ほどからペラペラと喋り続けていた。


「いやぁ、全く誰か分かりませんでしたよー。ミコトさんはアレですね。化粧をしていないと、なんていうか、フツーですねぇ」


 スミスはアッハッハと笑う。

 しかし、スミス以外に笑う人はここにはいない。


 実はこのスミス、第4の代表(もう名前は忘れた)の息子だそうで、そう言われてみれば、そっくりである。


 つまり、コイツはコネで騎士団長をやっているのだ。

 国によって、役職の付け方もいろいろあるらしい。


「しかしミコトさんも大変ですねぇ。旦那さんは、なんとあのサロン・カラスに出入りしているそうじゃないですか! あそこ、若くて可愛い娘が多くて有名なんですよー」


 よりにもよって、とんでもない情報を、スミスは言い出した。

 

 リタとシェナとオルバはギョッとしている。


 この雰囲気、どうしろというのだ。


「いえ、存じてますので」


 ミコトは何とか笑顔をつくる。

 スミスは「おお!」と言った。


「さすが国家特別人物の奥様ですね! まあ旦那さんの気持ち分かりますよ。ミコトさん、ちょっと…、ですもんねぇ!」


 もう、殺しちゃってもいいだろうか。


 ミコトの殺気に気付いたオルバが、ガタッと席を立ち、スミスの腕を掴んだ。


「団長! 派遣団員でいらしたのなら、見回りに行かないと!」


 スミスは不満気な顔をする。


「魔物が出たら、誰か呼びに来るからいいって! 俺が言いたいのはね、俺はミコトさんの旦那とは違うってことさ」


 スミスは、ふっと格好をつける。

 もちろん、カッコ悪いのだが。


「俺は浮気なんかしない! シェナ一筋なんだよ! シェナ、結婚してくれ!」


 どうやら、人の旦那を下げて、自分を上げる作戦だったらしい。

 スミスは、その作戦が大失敗な事に気づいていないようだ。


 シェナは、ハァーと深い溜息をついた。


「何度も言ってますけど、私、あなたとは結婚しません。もう諦めて下さい」


 何度も言っているのか。

 きっとコイツには通じてないのだろう。

 ミコト的オススメの断り方は、「あなたと結婚するくらいなら、死んだ方がマシ(byマリー)」である。


「そんな照れなくていいよ、シェナ。いつまで1人でこんな村にいる気だい? 前の旦那の浮気なんて、俺が忘れさせてやるよ」


 シェナがいつ照れたというのか。


 驚くほど通じていない上に、こんな村とか、前の旦那の浮気話を言ってしまうとか、もう、救いようがない。


 シェナは完全に怒った表情になり、出入り口のドアを指差した。


「出ていって下さい! 今日は私たち、予定があるんです!」


 シェナの言葉に、スミスはニヤリと笑った。


「君みたいなバツイチ出戻り女、求婚してもらえるだけでもありがたいと思わないかい?」


 ミコトが、あ、殺そう、とナイフを出した瞬間、オルバはスミスを担いで出入り口のドアに向かった。


「さ、一緒に見回りに行きましょう!」

「え、いや、ちょ…」


 オルバとスミスは出入り口から出て行き、バタンとドアが閉まった。


 ミコトは出したナイフをくるりと回した。


「殺そうとしたのが、オルバさんにバレたみたいですね」


 ミコトの言葉とナイフに、リタは弱々しく笑ったが、シェナはポロポロと涙を流した。


「ミコトちゃん、ごめんなさい…。あんな、あんな嫌な事…」


 ミコトは首をブンブンと横に振った。


「そんな! シェナさんは何も悪くないです! むしろ被害者ですよ!」


「そうよ、シェナ! あなたも酷い事を言われたのよ!」


 リタはシェナの背中をさする。


「あのスミスっていう人、とんでもない人ですね」


 ミコトは嫌悪感を露わに呟いた。

 リタはシェナの背中をさすりながら、溜息をつく。


「オルバが騎士団を辞めたのも、アイツのせいなのよね…」


「ええっ!?」


 ミコトの驚きの声に、うつむいていたシェナは顔を上げた。


「そうよ。あの時もひどかった…」


 シェナの瞳は濡れたままだったが、怒りに燃えている。


「一体、何があったんですか…?」


 ミコトの質問に、リタとシェナは顔を見合わせて頷いた。





 2人の説明は、こうだった。


 5年前、セタの病状を聞いたリタは、第1エラルダにセタを迎えに行った。


 セタは今ほど痩せてはいなかったが、話しかけても返事ができず、どこも見ていないような目をしていた。

 

 そんなセタを、リタとロイはここに連れてきたのだ。


 ロイは仕事があるため第1に帰り、リタとセタの事を知ったシェナがセタの看病をしていたところ、あのスミスがやってきた。


 なんとスミスは、第1の騎士団の者は、第4には置けないと言い出したのだ。


 リタもセタも元々ここが実家なのに、そんな話があるものかと揉めに揉めて、その仲裁をしたのがオルバだった。


 結果、オルバは騎士団を辞めることになり、この村の護衛をやる事になった…というのも、スミスがこの村の魔物退治はもうしない! と言い出したからなのだが。


 何故スミスがそんなにもセタを目の敵にしたか…それは、セタの評判がとても良かったから、それだけだった。


 ミコトはそこまで話を聞いて、もう一度ナイフを取り出した。


「私、さくっとやってきますね」


 ミコトの言葉に、リタとシェナが、それでもいいか、と思いかけた時だった。


 ガチャリと出入り口の ドアが開いて、オルバが帰ってきた。


「ミコトさん、殺気が外にまで漏れてますよ」


 さすがオルバである。


「すみません、やる気でしたので」


 ミコトは笑顔で答える。

 オルバは、ふふふと笑った。


「私は騎士団を辞めて、この村に来て、とても幸せなんですよ。それだけは団長に感謝しています。それだけですけどね」


 リタもシェナもクスクスと笑う。


「私もよ。浮気されて離婚して散々だったけど、こうして過ごす、今がとても幸せなの」


 シェナは、柔らかく笑う。


「私もそうよ。セタと一緒に暮らせるし、オルバとシェナがいるし、本当に幸せ」


 リタもニッコリ笑う。


 ああ、幸せとは、本人が決めるものなんだ、とミコトは改めて思った。


 ミコトだって、幸せだ。


 異世界にオマケで転移してしまったけど、第1の優しい人たちに出会えて、ロイに出会えて、ロイと結婚まで出来て、本当に幸せだ。


「だからね、ミコトちゃん!」


 感動で涙が出かけたミコトの肩を、リタはがっしりと掴んだ。


「ロイの事で何かあったら、絶対にここを思い出してちょうだい! なんなら、セタからロイを叱ってもらうから!」


 あれ? 何故ロイが叱られる流れに…?


 ミコトはしばらく考えて、「あ!」と言った。

 ロイ、浮気説か!


 ミコトはそこから、小一時間、ロイは浮気をしていないくて、ミコトと仲も悪くないという事を説明する羽目になった。


 リタとオルバの微妙な表情に、信じてもらえていないと感じながら…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ