表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/5

~ 世界のウラガワ ~

クスクス

軽快な笑い声が聞こえる

体が重い。手と足に重い鉛玉が付いているかのように思った通りに動かすことが出来ない。まるで金縛りだ

クスクス

まただ…一体誰の声なんだろう。確認しようと重い瞼を持ちあげる。しかし、目を開けたのか分からないほど視界に入ったのは何も移さない闇だけだった。


キャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ


狂気じみた少女のような笑い声で俺はハッとした。頭の中で素早く今までの事が巡る。


(そうだ…俺…!)

素早く立ち上がりあたりを見回す。何も見えないが、ここにいるのはまずいと感じとりあえず前に進む。

もしかしたら出口があるのかもしれない。


(ほんとは大声を出したいところだけど、さっきの笑い声からしてここには誰か“いる”)


むやみに大声を出して何かあったら逃げられない。用心しながら前だけを向いて歩みを進めた。       

どのくらい歩いただろう。30分?1時間?だいぶ歩いたはずなのに見える景色は最初と変わらない。

光すら見えず四方八方闇でおおわれているこの場所は流石の俺でも恐怖で頭がいっぱいになった。

嫌な思考が横切る。ずっとこのままだったら?誰も助けに来れず、一生この世界に取り残されたら?

歩いていた足は次第に速くなりだんだん呼吸が荒くなる。さらに10分、20分走り続ける。

口の中が血の匂いで広がった。体力の限界が見えていた。


(このままこんなところで死ぬくらいなら)

一か八か覚悟を決め俺は叫んだ


「おい!!!!もう十分だろ!!?早くここから出してくれ!!!」


俺が出来る精一杯の声量でそこにいるはずの“ナニカ”に話しかける。すると、突然それは姿を現した。

洋風なパーマのかかった長い黒髪の人形。たまに聞こえる笑い声の主はこいつだと直感的に分かる。

その人形は空中に浮かんでおり、あきらかにこの世のものではない。

余りにも非現実な現象が目の前に起きている。俺は気を失いそうになるのを必死にこらえ会話を試みた。


「お前か、俺をここに連れてきたのは。」

「フフッあなたすごくいい匂いがするの。とてもあま~くてスイーツのような美味しそうな匂い」

「は…?」

「私、一発で貴方だって分かったのよ?私ってすごいわよね。あの方に沢山褒めてもらえるかも~!」

そう言い人形は空中でくるくると舞った。それだけ見れば可愛らしいものだが、その子の手には刃物が握られていた。


「なにかプレゼント貰えるのかなー!頭撫でてもらえたりするのかなー!あ!もしかしてお友達をくれるのかな!」

「…友達は自分で作るものだろ」


ボソッと俺は突っ込んだ。そう、癖で突っ込んでしまったのだ。それが聞こえてしまっていたらしく人形は可愛らしいドールフェイスからたちまち鬼の形相に変化していく。

やってしまった

そう思ったが遅かった。その人形は怒り狂いなかったはずの家具たちをどこからか出し、投げつけてきたのだ。


「メリーは一人じゃないわ!お友達も沢山いるもの!!人間のくせにお前うるさい!!!」

「いや、別にお前に友達いないとか言ってないだろ?!」

必死に弁明しながら俺は必死に逃げる。

「うるさいうるさいうるさい!!!!」

だめだ、聞く耳をもたない。

「もういい、お前、私怒らせた。あの方にはそのまま持って来いって言われたけど…」

「?」

「私が隅々まで貴方を食べてあげる!!!」


そういうなり、この人形は持っていた刃物を振りかざし俺に飛び掛かってきた。

「うわぁ!!」

情けない声を発しながら俺は間一髪で避けた。が、避けただけだ。逃げるための体力はとっくに尽きていた。ああ、やっぱり話しかけなければ良かった。再度飛び掛かってくる人形を凝視しながら後悔する。


あ、喰われる


俺は目をギュッとつむり覚悟した瞬間、ドンッ!!という音ともに断末魔が響く。暫くすると聴きなじみのある柔らかな低音が聞こえた。

「立てますか?新君。」

「宇賀野さん……!!」


目の前にはいつもの穏やかな笑みを浮かべた宇賀野さんが手を差し伸べてくれている。人形がいた場所には先ほどの人形はおらず代わりに灰らしきものが山になっていた。


「どうしてここに…」


「それは後でお話ししますよ。まずはここから出ましょう。」

うながされ俺は手を取る。が、腰が上がらない。

「あ、あれ?なんで」


安心、恐怖、緊張様々な感情が一気に押し寄せてきただろうか。俺は腰を抜かしていた。

そんな俺を見た宇賀野さんは少し考えこむと、俺に背を向けしゃがみ込む。

「?」


俺が困惑していると宇賀野さんはクスッと笑った。

「おんぶですよ。私が新君をおんぶするんです。」

「え!おんぶですか?!」


この年になって大の大人におんぶされるというのはとても恥ずかしい。でも俺は今も足に力が入らない。ずっとここいるのもダメだという事は分かっている為、少し渋った後「お願いします」と俺は宇賀野さんの背におぶさった。


「じゃあ帰りましょう。」


そういって宇賀野さんは楽々と俺の体を持ち上げ歩みを進めていく。

宇賀野さんはどうやってここまで来れたんだろう。どうして出口の場所を知っているんだろう。あの恐ろしい人形をどうやって消したんだろう。

色々聞きたいことはあったが、宇賀野さんの優しい森のような匂いとほんのり冷たい背中が心地よくなって俺はいつの間にか眠ってしまった。


____________________________________________


チリンッ

軽やかな音を立てスズさんが私の膝にやってくる。膝の上に乗ったスズさんの背中を撫でながら、寝息を立てて横たわっている新君を横目に見る。

「スズさん、今日ついに彼の手下がこの町で姿を見せました。」


スズさんはゴロゴロと喉を鳴らす。


「しかも彼らはなぜか新君を狙っているんです。理由は何なんでしょうか」


結局、私は彼に奴らの事について話すことにした。始めは秘密にしようと考えたが、彼らに狙われているとなると、今後も同じような事があるだろう。

そうなると、ある程度伝え、私の近くにいてもらうのが安全だと考えた。

あの方が戻ってこない限り私も永遠ではない。彼は私の初めての友達。なんとしてでも彼らから守りたい。


使命を果たしながら彼を知り、守る


「あはは…これは少し骨が折れますねぇ」


私はスズさんの背中を撫でながら、彼に話さなければならないこと。今後どう付き合っていくか話すための言葉を彼が目を覚ます間しばらく考えていた。

更新遅くて申し訳ありません…!お待たせしました続編です!この活動を始めてからタイピングが早くなりました。嬉しい限りです。面白かったらぜひ感想など書いていただけると励みになります!

最近はやっとあったかくなってきましたが、まだまだ寒いのでインフルなど皆様もお気を付けください!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ