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第04章 宇宙農耕仮説

この物語は、我々の世界とよく似た、別の世界の話である。


 宇宙は、なぜこのように途方もなく面倒な手順を用意したのだろうか。

 なぜ、生命はこんなにも不確定で、危うく、予測不能な誕生を辿るのか。

 

 結論からいえば、宇宙そのものは誕生に関与できないのだろう。

 生命の誕生には、必ず偶然が入る。

 遺伝子の結合は、数学のように「1+1=2」では終わらない。

 無数の変異と逸脱が混ざり合い、想定外の可能性が生まれる。

 

 つまり

 宇宙でさえ制御できない領域が生命である。

 

 物質には法則がある。

 だが、

 物質から派生した生命はしばしば物質法則を超える振る舞いを見せる。

 目的を持ち、未来を考え、自ら環境を作り替える。

 物質から生まれたのに、物質を支配する側へ回ろうとする存在。

 

 その本質は、遺伝の法則に似ている。

 混ぜてみなければわからない。

 どの性質が現れ、どの文明が育ち、どの価値観が発芽するのかは、

 星を一つ撒くたびに違う。

 

 だから、我々は種なのだ。

 宇宙に蒔かれた無数の種。

 

 宇宙にとって良く育つ種、文明として光を放つ種、他者と共存し、

 新しい価値を生む種

 そうした良い種は増え、さらに宇宙へと撒かれていく。

 

 逆に、争いしか生み出さず、自己破壊へと至る育ちの

 悪い種は自然と淘汰される。

 

 このサイクルはあまりにも巧妙で、まるで宇宙そのものが

 巨大な畑になっているかのようだ。

 

 となれば、ひとつの仮説が浮上する。

 

 宇宙を畑として、生命という種を蒔き、育ちを観察している

 存在がいるのではないか。

 

 それは神か。

 高次文明か。

 あるいは我々が理解できない、宇宙そのものの別の側面なのか。

 

 ただひとつ確かなのは、生命の誕生が偶然であるほど、

 宇宙はその結果に依存しているということだ。

 

 どんな種が芽吹き、どの文明が光り、どれが黒に沈むのか。

 

 宇宙はじっと見ている。

 次に撒くべき良い種を選びながら。

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