〔番外編第13話〕おはようございます
番外編ラストです。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
私は痛みを感じている。
再生が終わるまでそれは終わらない。
そして、脳みそを潰されてなお意識がある。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
きっとドーベル•ランを前にした私には、もう助けは来ない。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
——————ギギギギギギギギッ!!!!
体が圧縮されているのを感じる。
痛みが熱さに変わってゆく。
もう痛いという感覚すらわからない。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
怖い。
私は今何をされているんだ。
圧縮感、血管から噴き出す。
気圧を感じる。
私はあの半透明の腕で圧縮されているのか?
それとも、もう…
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
しかし、恐怖とは裏腹に数分程度で頭が再生され視力と聴力が戻った。
「キュゥッ…キュゥッ…キュゥッ…」
私は恐怖で過呼吸になっていた。
しかも、私はなぜか地上の野原で寝転がっていた。
なんだ。
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——————ドゴォォォォォォォォォッン!!!
見覚えのあるスフィア2機が上空で激闘を広げていた。
そこにドーベル•ランはいない。
こうなった経緯を把握していないが、恐らくドーベル•ランに捕まった私は何らかの理由であのスフィア2機に助けられたのだろう。
もちろん偶発的に、だ。
しかし確証は無い。
今の私にそれを知る由もない。
——————キィィィィィッン!!!
鋭い様な鈍い様な不思議な音を快晴に響かせながらスフィア2機が暴れている。
あり得ないほどの速さだ。
もう戦っているのかすらわからない程、速い。
多分、もう約束の10分以上経っている。
ドーベル•ランの魔の手から救ってくれたのは神様でも仏様でも無くスフィア2機様だった。
「…アホらしッ。」
私は大の字に寝転がり快晴の空をボーっと眺める。
スフィア2機は瞬間移動しながら戦っている様に見える。
線では無く点で動いている様な動きだ。
——————トッ。
自分の尻尾を触りながらボーと空を見る。
10分耐え切った事になるのかな。
実際ドーベル•ランの姿は見えないしきっとミッションクリアしたのだろう。
あー、願い事楽しみだな。
何だろう。
さっきまで心があり得ないほどの恐怖で満たされていた。
でも、目を開けるともうそこには何もなかった。
ほんっとうに馬鹿らしい。
結末ぐらいは知りたい。
「ドラゴン…」
私は立ち上がってドラゴン達の元に帰ろうとしたが、どうにも気力が出ない。
はぁ…あれだ。
多分、私…脳みそがオーバーヒートしてるんだ。
色々な事が一気に起こって、もう何もしたく無い。
ドーベル•ランどうなったんだろう。
——————パチパチパチ。
1人分の拍手が後方から聞こえて来た。
「…ッ?!」
さっきの恐怖を思い出し、後ろを勢いよく振り返った。
しかし、そこにいたのはセネカやフブさんの隣にいたニヴァだった。
ニヴァの姿を見た瞬間、私は安心して再び地面に突っ伏せる。
「何よ…なんか私に様なの…。聞きたい事はあるだろうけど、今はやめて…もう、疲れたの…」
「…」
しかし、ニヴァは返事をしない。
ニコニコしたその表情を崩さずパチパチと拍手の手を止める。
私は何と無く体を起こし、ラフに座った。
「ねぇ…なんで無視するの…」
「…。」
ニヴァはニコニコした笑顔を崩さず私の隣に座って来た。
なんというか心地が悪い。
「ニヴァ、さん、確かに貴方とあんまり喋ってなかったけどさ…別に今ぐらいラフに喋ってくれてもいいじゃん。」
「…。」
はぁ…。
私はこんなにも大変な思いをしたのに無視ですか。
はいはい、そうですか。
私は不貞腐れた様な態度で、空で戦うスフィア2機を見上げる。
「ヴェルサイユに大きな穴あけたあのフードの男、どうなったの?」
「…。」
返事はなかった。
私、ニヴァに嫌われる様な事してたっけ…。
「まぁいいや…もう、私生きてるだけで丸儲け…」
「規格外はね。3人いる。」
私はびっくりした。
突然無言のニヴァが1人で喋り出したからだ。
なんて自己中な人なんだろうか。
「その1人、ドーベル•ランの暴走を止めるには同じ規格外の3人の内の1人をぶつけるしか無いんだよ。今回ドーベル•ランを止めたのは“規格外”だね。」
「いや、3人をくくって規格外って呼んでんのに、なんで規格外って人がいるの…」
私のツッコミを無視して話はたんたんと進む。
「今回は良かった。たまたま規格外が近くにいて。もうやってる事ルーラーみたいね。規格外。」
何だかややこしいな。
規格外って3人をくくる名称なのに、その中の1人の呼ばれ方が規格外って…。
しかし、同時に疑問が浮か上がる。
「え…あのスフィア2機、222とサキミネがドーベル•ランを追い払ったんじゃ無いの…」
「…。」
やっぱり無視された。
え、私が頭を潰されている間、規格外の内2人がぶつかってドーベル•ランを規格外が追い払ったっていう事か?
あぁ、焦ったい。早く真相を知りたい。
頭を潰されれば視力だけではなく聴力も無くなる。
それらが再生されるその間、一体どれだけの事が起きたんだろう。
まぁいいや。
もう終わった事だ。
私はただの外壁メンテナンス員だ。
222との戦いもサキミネとか言うやつが勝手にやってくれ。
私には関係ない。
もう、押し付けられた仕事も終えた。
連合も和同も知らん。
もう…関わりたくない…。
「そういえば、フブさん達…と、ドラゴンは今どこにいるの…?」
「…。」
やっぱり無視された。
正直、超ムカつく。
こんなにやる気の失せた私をムカムカパワーでやる気にさせようとしているのか?
ヴェルサイユの陰謀か?
な訳ないか。
私は何の気ない事を考えながらニヴァのやって来た後ろを振り返って見る。
私は絶句した。
「…ッ。な、ななななッ…」
なんだあの積み上げられたスフィアの山。
反対側の空が見えない程、高く積み上げられたスフィアの残骸。
まるで、山じゃないか…。
「この残骸はね。全て222に負けたスフィアなんだ。」
「そ、それがなんだよ…わ、私には関係ない…」
「そして、ドーベル•ランは222と同じぐらい強い。」
「…は?」
私はそんなバケモノと戦わされていたのか。
空でいまだに戦っているスフィア2機を見上げる。
しかし、残骸の山を見てしまったが故に、その見方が変わってしまった。
私はただただorderという存在が恐ろしくなった。
「ふ〜んっ。ふ〜んっ、ふ〜〜ん、ふ〜ん。」
ニヴァが鼻歌を歌いながら私の目の前に来た。
「…な、何よ。えっ、ちょっ…!」
ニヴァは私の頭を両手でゆっくりこねくり回して来た。
まるでペットを愛でる様なもふもふを堪能する様な撫で方をしてくる。
言うまでも無いが私はニヴァのペットでは無いし、ドラゴンにモフモフした部分は無い。
「あぁ、なんてっ…なんて…愚可愛いぃ。」
噛み締める様に言うニヴァのその言葉に私は呼吸が浅くなっていくのを感じた。
届く様で届かない歯痒いところにあった違和感の正体が今はっきりわかった。
「ねぇ、貴方って…ニヴァなのよね。本当に、ニヴァなんだよね…」
「…。」
返事は無い。
が、私はこの流れを知っている。
しかし、時間は止まっていない。
今上空で戦っているスフィア2機、222とサキミネが何よりもその証明である。
わからない。
わからないが、今のニヴァの顔にはモヤやモザイクは掛かっていない。
あの時、夢で見た海辺の病院の少女と髪型は違えど私にはわかる。
雰囲気、空気、存在感。
ドーベル•ランにもあった、あの独特な“威圧感”。
祝辞か?
始末か?
何にせよ怖い。
怖い…。
そして、私は確信を持って言った。
「お、おはようございます…」
——————————————————番外編《完》
この物語の続き、詳細は本編で語られます。




