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周回移動都市ヴェルサイユ  作者: 犬のようなもの
《セカンドオーダー編》            [番外編]京伝
57/66

〔番外編第6話〕あんたぁ何パタパタ騒いでんのぉほんま可愛いなぁこのお人形さん。

京頑張れッ…( ´•̥̥̥ω•̥̥̥`)

 



 夢を見た。

 私はベッドに寝ころがり、窓を見ていた。

 そこからは海が見え(しお)の匂いが鼻を撫でる。



 ——————夏だ。



 ——————————————————

 ———————————————

 ————————————

 —————————

 ——————

 ———



 ——————ズキッ!



 痛みで現実に引き戻される。

 それと同時に目の前に居る女と目が合う。


『おぉ?起きたん?あんたぁ〜、えらい悲惨な目に遭ったらしいやんか〜。』



 ——————ギィッ、ギィッ、ギィ。



 まだ残る夢を払うかのように目を見開きその女の顔を見る。


『あんたぁ〜お人形さんみたいで可愛いねぇ〜。』



 ——————ギィッ、ギィッ、ギィ。



 さっきからヤケに視界が揺れるし、この女、私の髪の毛を掴んで離さないッ痛いッ。


「やっ…やめ…」


 私は女の手を振り払おうとするが、うまく力が入らない。

 あれ?

 なんか感覚がない…



 ——————ギィッ、ギィッ、ギィ。



「えっ…」


『キャキャキャキャキャッ!あんたぁ何パタパタ騒いでんのぉほんま可愛いなぁこのお人形さん。』


 私は視線を自分の四肢に落とす。



 ——————ギィッ、ギィッ、ギィ。



「アッアッ…アッ…ァァ…」


 四肢がない。

 ということは、つまり…


『人間四肢無いとこんな軽い様に感じるんやねぇ〜!』


 私は目の前の女に髪の毛を掴まれ持ち上げられていた。

 やっと状況を理解したのも束の間、目の前の女が誰か気づいた。


「あんのッ…時の…」


 連合のメイトンだ。

 ヴェルサイユ側と拡声器を使って口論してたあのチャイナ服の女だ。


『んー…ウチはあんたの事知らんけど、どこかで会ったっけのなぁ〜。まぁどうでもええわ。』



 ——————ギィッ、ギィッ、ギィ。



「おろッ…してッ、痛ッ…」


 ショックで舌が思う様に回らない。



『ええよぉ。』


 メイトンは黙ってその髪の毛を離す。

 必然的に私は床に落ちる。



 ——————ドサッ。



「ア゛ッ゛…」


 受け身が取れず頭が床と激突した。



 ——————ニャァ〜イヤァ〜ニャァ〜。



 微かに聞こえる甲高い歌声。

 祭りの音だ。

 私はメイトンが居る和同国の巨大な神輿(みこし)の中に居るのだ。

 メイトンは私を冷酷(れいこく)な目つきで見下ろし言った。


『あらぁ〜、そんな怖がらんといてぇなぁ〜。あんたは殺さんよぉ。大事な捕虜(ほりょ)なんやからその可愛い体で私達の目の保養になってねぇ〜。じゃぁまた会おうね。バイバイな。』



 ——————ガチャン。



 メイトンは私を一人部屋の中において、どこかへ行った。

 肘から下、膝から下が失われた自分の体を眺める。

 絶望という2文字では表せない感情が心を掻き立てる。


「ァ゛ァ゛…アァ…」


 四肢がジンジンと痛い、心臓が脈を打つごとに鈍痛が私を襲う。


「…逃げなきゃッ…逃げなきゃ…」


 私は知っている、過去に捕虜になった人の末路を…

 ヴェルサイユ陣営は市民権を持たない市民を市民と認めない。

 つまり、私は捕虜としての価値が無いそれが連合にバレれば殺される。



 ——————ズズズッ…ズズズッ…



 四肢がないため、うまく前に進めない。


「ん゛ん゛ん゛ん゛ッ。」


 ドアを開けようにもドアノブまで体が届かない。


「ぁッ、あッ…」


 無い足で長身を伸ばそうと限界までバランスを取る。

 包帯を通した傷口の痛みに耐えながらドアノブに必死に手を伸ばす。


「ア゛ァ゛ッ!!!」


 バランスを崩し後ろに倒れる、必然的に受け身は取れない。



 ——————バタンッ。



「う゛……う゛ぅ゛…ぁ゛…」


 無様に(むせ)び泣きそうになる。

 しかし、私は知っている。

 人生で1番辛い時に助けてくれる人なんか居ない事を。


 倒れた体で無気力に天井を眺める。



 ——————ニャァ〜ヤァ〜ニャァ〜。



 耳を澄ませば聞こえてくる和風な歌声。

 3分程ボーっと天井を眺めているとドアが開いた。



 ——————ガチャッ。



『生きてっか〜?』


 聞き覚えのある男の声がした。

 私はなぜこの声を知っている…?


『俺の一撃、不意に喰らって原型留(げんけいとど)めてんのお前ぐらいだぞ?その命に感謝するんだな。』


 私を…いや、私達を叩き落とした男だ。


「ひぃ゛ッ…」


『あー、ビビっちまってるかぁ〜?まぁ四肢ぶっ飛んだらビビるわなぁ。』



 ——————ズズズッ…ズズズッ…。



 四肢が無い為、頭を支点にして必死に後退(あとずさ)りする。


『おいおい、逃げんな。』


「ひぃ゛ッ…」


 男は私を抱き抱えドアの外へ出る。


『捕虜奴隷の社会科見学だぁ。』


 ドアを出るとそこに大きな部屋があった。

 更にその部屋を出ると少し小さな廊下がありそれを更に抜けた先に外があった。

 私は脱走の為に通路を覚えた。

 しかし、神輿(みこし)の中は広かったまるで一つの家かの様だ。

 遠くからこの神輿を見た時はあまり大きいと感じなかったが実際入ってみるとこの規模感。

 この大きさの物をヴェルサイユの下からここまで運ぶのに相当な苦労を強いられたであろう。

 つまり、【連合】と連合属国の【和同国】はこの作戦に相当数の人員を割いているという事だ。



 ——————ニャァ〜ヤァ〜ニャァ〜ヤァ〜。



 神輿を広く囲む様に人外が周りを囲み歌っている…。

 その規模感は凄まじく、ざっと目視しただけでも100匹…いや、200匹…それ以上…か?

 それら人外が近寄ってくるゾンビを蹴散らしている。

 それに今いるこの神輿、何階かあるな…今いるこの場所は3、4階か…?


『おいおい、外見んのもいいがぁこっちも見ろや。』


 抱っこされながら顔の方向を無理やり変えられる。

 見せられたそれは赤い水槽だった。

 しかし、水槽にしては水が赤い何か固体の様な物も浮いている。

 見た感じ恐らく下からミキサーの刃の様な物で常にかき混ぜられている様だ。

 本当に何だ…?



『さぁ何だろうぉなぁ〜?』


 おょくる様に男は私に問いかけた。

 しかし、私は答えない。


「…。」


 その時、神輿(みこし)を囲む人外達に向かって、遠くから一匹の巨大なバケモノがこちらに向かって走ってきた。

 そのバケモノは四足歩行で走っており、背骨が剥き出しになっていた。



 ——————ブラァァァァァァアッ!!!



『メイトン先輩が居ない時に限ってこれかよ…おい!アイツを何とかしろ和同の連中!!!』


 神輿(みこし)を囲む人外が四足歩行のバケモノに蹴散らされて行く中、神輿の一階から和服に身を包んだ目つきの悪い男が毛色の違う人外女を連れて出てきた。


『チッ、指図(さしず)すんなや連合のカス。』


『早よ始末しろぉやぁ和同のカス。』


 一階とこちらで男達が言い合いをしている、仲が悪いのか…それとも軍事同盟を結んでいるが関係は宜しくないのかもしれない。



 ——————ブラァァァァァァァァァァァァアッ!!!



 四足歩行のバケモノが神輿を囲む人外達をとうとう押しのけ、一階に居る目つきの悪い男に飛び掛かった。



 ——————ズドォォォンッ!!!



 目つきの悪い男の隣に居た人外女が飛び掛かってきた四足歩行のバケモノにカウンターの様な形でアッパーをかまし遠くまで吹き飛ばす。

 目つきの悪い男はキセルをポケットから取り出しそれをふかし出す。

 それとは別にキセルを持っていない方の手で、人外女と恋人繋ぎをした。

 すると、それを見た私を物のように持つ男は、目つきの悪い男を挑発する様に言った。


『ギャハハッ!いつ見てもテメェの人外趣味は笑えるぜぇ!』


『チッ…』


 私を持ち上げている男がこちらに再び話しかけてきた。


『相変わらず目つき悪りぃなぁアイツはぁ…。おいおいこっちのお人形さんちくしょうは死んだ目つきしてんじゃねぇか?』


「…。」


 私は答えない。

 そんな私を嘲る《あざける》様にニヤニヤし話を続ける男。


『ところでよぉこの水槽の中のもん何か知ってっかぁ?』


 私は咄嗟にすぐ横にあるミキサーの様な赤い水槽を見た。


「…。」


 私は何も答えない。


『確かお前を抱えて逃げようとしていた奴がいたよなぁ〜。』


 奴…?

 フブさんの事か?


『アイツはぁ不死身でなぁほっといたらすぐ再生しちまうんだぁ。』



 ——————トントンッ。



 指を水槽の方に指す。







 え、じゃぁ…これって、フブさんの体の…一部…?


 つまり、再生が始まらない様に常に潰しッ…







「オ゛ェ゛ェ゛ェ゛ェェェ…」






 そう気づいた瞬間、私は吐いていた。


『あ゛ぁ゛!!!おい、テメェゲロで服汚れたじゃねぇかよ!!!』



 ——————ドスッドスッ!



 私は無抵抗の状態で複数発、腹を殴られた。

最近忙しくて投稿超遅くなっているんですが、作品自体のプロットは完成しているので早く続きを書きたい…。

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