〔番外編第4話〕でも今は…死ぬか生きるか、だから。
フルネーム
サキミネ→咲嶺兎。
パッションで進めてOK
——————ゴォォォォォォォッン!!!
「あの2機ッ!私の事追いかけてきてないよねぇ?!」
「今はッんな事言ってる場合じゃねぇ!トワイライト5000より安全な場所目指して先進むぞ!!!」
「安全な場所ってどこ!カンネ•ロードって人も言ってたじゃん!ここは比較的ゾンビが少ない場所って、つまり、他の所に進めば進むほどゾンビや怪物がうじゃうじゃ居るって事だよ!」
「上で暴れてるスフィア2機に押しつぶされるよかましだろ!!」
「この広い街の隅に隠れておけば大丈夫かもしれないし…」
「馬鹿野郎!スフィア2機の破壊力しらねぇからそんな事言えんだよ!」
「で、でも!…じゃ、じゃぁ!やっぱり、六防の人に保護して貰おうよ!」
「…ちょっと待て、少しどうすべきか考えさせてくれ!」
「時間ないよッ!」
「30秒だけ!」
——————ガッシャァーッンッ!!!
街に張られた太い糸が千切れる勢いで上を飛び回るスフィア2機。
その光景を目の当たりにし、流石に一時撤退を選んだ“和道”と呼ばれていた祭り集団。
すると和道の居た方角から拡声器を通した声が聞こえてきた。
——————《チッ、兎ちゃんあん時に意地でも始末しとくべきやったわー。》
そう言い残し和道国の連中は下の方の階段を降り、完全に姿を消した。
一方、ヴェルサイユ陣営のヤンキーが拡声器を通して叫んでいる。
——————『“おい、テメェ何処で戦ってんだァ!!!”』
うぉっ!!うるrrrっさ!!!
拡声器で叫ばないで欲しいッ!
やばッそんな事より早く逃げな…
——————ドゴォォォォォォォォォンッ!!!
ヤンキーの声もまま成らず、スフィア2機が空中でダイナミック取っ組み合いをし、お互いが天井へ叩きつけられた。
その天井の破片や瓦礫が凄い勢いで四方八方へ飛び散る。
——————ヒュゴゴゴゴッ。
「やばいッドラゴンッやばいよ!隕石みたいな瓦礫落ちてくるよぉ!!!」
「早く屋根がある建物に逃げんぞ!!!」
「ボロい家ばっかじゃん!!!」
——————『“ゴラァrrrrrrァ!!!いらん流星群降らすなやァ!!!テメェ帰ったらお星様にしェやんからァなァ!!!”』
ヤンキーが荒ぶっている…。
私達はいつも建物の影に隠れているからお祭り集団以外は目視で確認出来ていないのだが、味方は一体何処にいるのだろうか。
今の状況だけ切り取って見ると…なんだか冗談を言える余裕もある様に感じるが、多分そんな状況でも無いのだろう。
——————ガッシャァァァァァアッ!!!
天井の瓦礫が地面や建物に激突する音が響く。
こんな所にいたら命がいくつあっても足りない、何とかして六防のカンネ•ロードに保護して貰わねばならない。
制限時間は確実に迫り始めている。
「ドラゴン!きっとカンネ•ロード達もここからすぐに撤退するはずだ、今動かないとまた味方から孤立する!今、命を賭けて動くべきだ!」
「ハァ…行くか死ぬか…だな、嬢ちゃん。ここ数分で随分キモ座ったな…」
「別にキモなんて座ってないよ、でも今は…死ぬか生きるか、だから。」
「…いい事言うじゃねぇか。」
「拡声器の声の方に全力で走る。危険だけど、シンプル且つ最短ルートだと思う。」
「そうだなぁ。お互い生きてたらまた酒でも飲もうぜ。」
「じゃあ、行くよ。」
——————ダッダッダッダッ!!!
天井の瓦礫が流星群の様に、はたまた隕石の様に降ってくる街を全力で駆け抜け始める。
全速力で走った。
息切れなんて知らない、今この瞬間少しでも気を抜けば瓦礫に潰されてこのつまらない生涯が終わる。
「はぁッはぁッはぁッはぁッはぁッ!!!」
「うぉぉぉぉぉおお!!!」
——————バゴォォッン!!!
——————ドゴォォッン!!!
「あぁッ!!!クソォッ、なんでッなんで私Death runしてんだよ!!!」
「何だ!?!このデスゲームみたいな状況に良い名前付けんじゃねぇか!!!」
——————ドゴォォッンッ!!!
「はぁッはぁッはぁッはぁッはぁッ…!!!」
足元が一瞬、暗くなった。
私は降ってくる瓦礫の影だと思い、少し横へズレた。
しかし、その影は降ってくる瓦礫にしては余りにも大きく巨大だった。
「嬢ちゃん!!!危ない避けろぉぉぉおおお!!!」
「はぁッはぁッ…。あっ…」
私は気づいた。
———これ、スフィア達の影だ…。
——————ゴォォォォォォォォォォッ!!!
毎度の事、もう恒例行事かって程だが…上から取っ組み合いをしているスフィア2機が降ってきた様だ。
———あっ、私死…
「どっりゃぁぁぁぁぁぁあ!!!京ッ!!!」
——————ドカッ!!
ドラゴンは京の体を全力で吹っ飛ばした。
そして自分もスフィア2機に巻き込まれない様、京と共に地面へ転がった。
——————ドゴォォォォォォッン!!!
舞う砂埃、それを照らす青白いスフィアの光。
流れる鮮血がそれに照らされて緩く頬を伝う。
ドラゴンは京を突き飛ばして救う代償に、肩に瓦礫が深く刺さった。
「ドラゴンッ!大丈夫ッ?!出血がッ!」
「…ぐッ、チクショウ…。なんて事はねぇこんな傷ぐらい…んな事より…」
——————ゴーーーーッ、シューーーンッ!
砂埃から垣間見える青白い光と赤グロい光。
目の前でスフィア2機の眼光がギラリと光る。
触れれる程の近さ、外壁の時とは違いその怪物めいた巨大な破壊力に背筋が凍りつき、体が思う様に動かせない。
「な、何で!私に着いてくるの!!!」
咄嗟に声が出ていた。
完全に無意識だった。
このスフィア2機に声が届くわけ何か無いが、気付けば叫んでいた。
「嬢ちゃん、んな事言ってる暇はねぇッ…早く離れるぞ!!」
ドラゴンが京の腕を掴みその場から逃げようとしたその時、2機のうちの1機のスフィアから声が聞こえた。
——————【“邪魔ッ…抑え…に…必ッ…死で…”】
「?!」
返事が返ってきた事に驚きを隠せないが、そんな私を無視するかの様にドラゴンは京の腕を引っ張る。
「パイロットさんが喋るとか喋らないとかどうでもいい!早くここから離れるぞ!!!」
「う、うん。」
——————ググググググググガキッン!キィィィィィィィィィイイイイ!!!
再び地面の上でも取っ組み合いを始めたスフィア2機、やばいこのままじゃ私達が潰されるッ!
走れ!
——————ドカンッ!!!
走れッッ!
——————ドスンッドスンッ!!!
走れェッ!!!!
——————ズドォーンッ!!!
走れェェェェェェッ!!!
筋肉の全部が死んでも構わないどれだけ疲れていても構わない走れ!!走れ!!!走れ!!!
「やっぱ、むりぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃいいいい!!!」
——————ドタッ!
命に関わる数々の状況のせいで私の体力は限界を迎えていた。
(足が攣った!!!!)
「嬢ちゃん!!!」
「あっ…」
地面で取っ組み合いをしているスフィア2機に巻き込まれる。
ダメだ。
終わった。
この距離からだとドラゴンの助けも絶対、間に合わない。
ん?私なんで助けてもらえる前提なんだろう。
傲慢過ぎだろ…てか、いつからこんな人に頼る様になったんだろう。
あぁ、そうか。私も弱くなったな…。
走馬灯の様に流れるゆっくりとした時間。
うん、多分走馬灯だ…でも過去の事なんも思い出さないな…うっすい人生だったなぁ…本にすれば2ページも無さそうだ。
私は覚悟を決め、そっと目を閉じた。
やっぱり…死にたくない。
刹那、まだ死にたくないという気持ちを乗せ、腕を全力で前に伸ばした。
都合良く誰も助けてくれないってわかってるけどッ…
「私死にたくない!!!!あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」
——————シュンッ!!!
瞬きをする間も無い程の速さで誰かが私の腕を引っ張った。
私の肩はその勢いで脱臼し、気づけば痛みに襲われていた。
「がぁ゛ッ!」
脱臼の痛みとは別に、体が宙に浮き上がりフワッと内臓が踊り出す。
次に私を宙に釣り上げた“誰か”は、私の頭をしっかりと手で包み込み、お姫様抱っこの様な形をした。
恐らく衝撃で背骨が折れない様にしてくれているのだろうと瞬時にわかった。
その行動を鑑みるにこの人は味方だろう。
いや、助けてくれた時点で味方なんだけど…。
そんな激しい流動の中、私は必死に目を開ける。
薄暗い不気味な街にスフィア同士の激突音が響き渡る中、明るい声が私の視線を動かした。
——————『ひゃっふぅー!危なかったね、へっ!』
↓【】は後々出てくるセリフ達です。
【ねぇ゛ーーー!!!兎もなんか言ってぇ!!!】
【…マンボウゥ。】




