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地球は人気

作者: 雉白書屋

 ついに地球人類と宇宙人の交流が始まった。

 宇宙人は存在するのか。実はUFOは大国が開発した戦闘機なのでは。すでに地球は彼らに侵略、支配されているのでは。歴代大統領は彼らと密接な関係にあるのか。と、その存在は噂、都市伝説、幻だったのがある日、急にだ。

 当然、誰も彼も驚いたが、さらに驚くべきことにそう、スポーツなどで新記録が出た途端、次々とその記録が更新されていくように続々と地球に宇宙人が現れたのだ。

 ガフ星。スターグ星。ノノイロ星。地球言語で発音できないのも多々あったが、彼らが持つ翻訳機のお陰で、出迎えた政府高官らは彼らとの交渉に励むことができた。

 しかしなぜこうも急に、と首をかしげたがなんてことはない。地球、その存在が発見されまた価値が認められ、みな競うようにやってきたのだろう。田舎者だと足元を見られないよう、彼らが訪れた各国の政治家たちは慎重かつ丁寧に対応にあたった。

 

「いやー、どうもどうもいい取引ができました」


 と、笑顔で握手を交わす地球人側。成果は上々。彼らも中々に良心的なようだった。尤も、他の星の宇宙人も来ているのだ。田舎者だと思ってあまりふんだくっては自分たちの評判が落ちると考えていたのかもしれない。なんにせよ、彼らの持つ技術や地球には存在しない生き物や物質、そして他の惑星で使用できる共通通貨を手に入れることができた。

 

「こちらこそドウモ」


 と、ご満悦の彼ら宇宙人たちが欲しがったのは地球の鉱石や生き物などなど。いずれも動物園や博物館を建てられそうな量を宇宙船に詰め込んでいった。

 

「えっと、そちらはヌイ星人の方でしたね、いやーいつかそちらにお邪魔してみたいものですなぁ。ビューンと速すぎてトイレも必要ないくらいの宇宙船を作って、手土産におたくに新鮮なブツをお届けにねぇ」


「ははははは、それはイイデスナァ。ブッと失礼ついうっかりっ。ははははは!」


「はははははは!」


 と、相手は汚物をこよなく愛するという驚異の宇宙人であったが、なんてことはない。数を重ね、宇宙人との交渉自体に慣れてきたのでそんな冗談も飛ばせるようになった。

 

「いやぁ、しかしあれですな。続々とほかの星の方がお見えになっているんですが、いつまで続くことやら、あ、いえいえ、嫌というわけではないのですが、やはりどうも不思議は不思議ですし、いやぁ、一体どう伝わっているのでしょうか? そちらから見た地球は、地球人の印象というのは……」


 と、やはり他惑星から自分たちはどう見られているか気になって仕方がない。その感情を隠しつつ、さり気なく訊いてみた。

 

「いやぁ、皆さん良い人ですよ」

 

 と、言われて、ほっと一息。顔が綻ぶ。


「ですので寂しいですなぁ」


「ああ、ははは。また是非来てくださいよ。その時にはこちらも勉強させていただいた成果を見せられると思いますよ。きっとどんどん発展して――」


「ははははははは!」


「いや、はははは。冗談ではないのですが、まあ、はははははは」


「ははははは、しかし隕石とはまあ、あ、と内緒だった。これはうっかりブッと失礼失礼」


「……え?」


「はははははは! いやーくさいくさい! ははははは!」


「いや、あの、隕石? え?」


「ええまあ、でもまあ仕方ないですな、ははははは!」


「え、それで、皆さん、こぞって地球に? でも、え、でも」


「まあ、そういうわけですな、ははははは!」


「あ、あの、ははは、それは確定なんでしょうか? どうにか皆様のお力で、それかえっと避難船とか、その、来てくださるわけですよね? ね? 我々の保護を、ね、ね?」


「いやあ、条約がありましてね、ある一定の水準、知性がある生き物は移動させてはいけないんですよ。ほらぁ、おたくにもあるでしょう? 生態系に害を及ぼすとか、そう外来種ね」


「で、でも、そんな……」


「……まあ、こっそりと、ならね。地球人は結構人気あるようですし。まあ、お客様待遇というわけにはいきませんがねぇ、そう、商品としてね、ブッ、ブッはは、ははははは!」

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