ロリ……婚約者との平穏なデートは卵の殻で海を渡ることだ。
卵の殻で海を渡るとは「不可能な事」である。
「楽しいね!レンくん!」
「そ…そうだねエマ」
「挙動不審でどうしたの?」
そう心配そうに僕の顔を覗くのは婚約者であるエマ。
ビクビクしている理由は周りの視線が突き刺さるからだ。
簡潔に言うと、通報されそうだから。
誓って犯罪をしているわけじゃない。
僕たちは好きあっている正真正銘の婚約者だ。
今日はデートをしていた。
『ねぇあれ人攫い?』
『衛兵呼ぶ?』
『幼女に愛してるって』
コソコソと話される。
理由は金髪碧眼の童顔の彼女の身長は130センチに満たない。
そのせいでーー。
「君……ちょっとこっちに来てくれるかい?」
「……はい」
誰が通報したか知らない。
衛兵さんに肩を掴まれる。
婚約者に助けを求めようとするが移動する準備をしていた。
……行きましょうか。
手慣れているのは日常茶飯事だからである。
僕は彼女の内面に惚れ込んでいるのは本当のことだ。
尋問を受けること数分。
衛兵さんは誤解だと納得したらしい。
エマの住民票や証言。
貴族の紋章など見せたら納得してくれた。
「慣れてますから」
「は、はぁ」
衛兵さんに慣れた手つきで説明した結果、苦笑いされる。ま、気を取り直そう。
それに、せっかくのデート日和、世間体はこんなんでも御天道様は味方をしているデート日和。
時間も有限だし、行こう。仕切り直して詰め所を出た。
「いつも私のせいでごめんね」
「いいさ、それも僕たちの愛の宿命なんだから」
「……レンくん」
「……エマ」
愛の宿命、そう考えれば大したことないさ。
世間体などどうでもいい。彼女さえ居れば良い。
僕とエマは互いに見つめ合う。
僕はゆっくり腰を下ろして彼女の視線に合わせる。
ゆっくりと瞳を閉じ、彼女のプルプルの唇に迫る。
「きゃぁぁぁ!」
だが、突然の悲鳴にビクッとする。
すぐに彼女を抱き寄せ周囲の警戒。
何もないことを確認した後、悲鳴が聞こえた方を向くと……何故か僕とエマを指差し震える婦人がいた。
「へ……変質者ぁぁ!」
「いや、ちが!」
「違いますよ!」
僕とエマは慌てて反論するが意味がない。
気がついたら野次馬ができていた。
「衛兵さん!こっちです!」
悲鳴をあげた婦人が駆けつけた衛兵を呼ぶ。
……ああ、またか。
そう諦めたーーその時だった。
「またあなたたちですか」
なんと駆けつけた衛兵さんはさっき尋問していた人だった。
誤解だとその衛兵さんが取り持ってくれたおかげで今回は詰め所に行かずに済みそうだ。
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