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01 チャットAIがあれば“なろう”は不要?!

チャットAIを小説執筆の道具として使うのではなくて、チャットAIが出力したテキストをそのまま楽しむという発想はどうでしょうか。前提条件を微妙に変えると粗筋が大きく変わるんです。面白いですよ。

 流行のチャットAIをいろいろ試してみました。うううむ。参りました。知識も、発想力も私より遥かに上です。特に劇的な場面転換は恐ろしいほどです。私のような底辺ライターは、存在意義が全く無いですね。

 ふと思ったのですが、AI小説の楽しみ方は、設定条件を与えてプロットを読むところにある、というのはどうでしょうか。出力を記録するのではなくて、入力の都度、出てくるテキストを読んで、そのものを楽しむというスタイルです。当然ですが、ほんの少し前提を変えると、筋がコロッと変わります。そして、試した大手のブラウザでは、途中で選択肢が提示されて、分岐するのです。

 これ、読むほうは興奮しますよね。条件を作ってやれば、あとは登場人物が勝手に動いてくれる。事件も起こる。書く楽しみと、読む楽しみを共に味わえる。こりゃあ、新しいジャンルの娯楽です。

 ちなみに、私が試した問い掛けを3例、挙げておきます。同じものを時を変えて入力したら、別の結果になるのです。凄いです。


(1)中世欧州風異世界でライトノベルのプロットを考えてください。侯爵令嬢は王太子から婚約を破棄され、父親に老公爵の後妻として嫁がされた。そこには先妻の子の嫡男がいて既に妻を娶って子どももいるが、その嫡男はかつて侯爵令嬢を慕っていた。彼は、彼女が王太子の婚約者となったことにより、泣く泣く別の女性と結婚していたのだ。それを知っている侯爵令嬢は苦悩する。誰もがハッピーエンドとなる結末を与えてください。


(2)江戸時代を想定した小説のプロットを与えてください。主人公は将軍の三女で、十万石の譜代大名へ輿入れさせられます。そして、ふとしたことから、以前は家老の娘が正室だったのに、主人公の輿入れと共に側室となったことを知ります。主人公は苦悩します。誰もがハッピーエンドとなる結末をお願いします。


(3)新作落語の粗筋をお願いします。主人公は女性落語家の二つ目で、腕がピカイチだと自負しています。ところが男性の弟弟子が先に真打に昇進してしまい、苦悩します。主人公の成長を絡めるとともに、ホロっとさせるオチを考えてください。


 まあ、結果に驚かないでくださいね。たぶん、なろうの半分以上の作品を凌駕しています。


 ところで、統計学の回帰分析で、内挿(ないそう)外挿(がいそう)という用語をご存じでしょうか。そんなに小難しい概念ではありません。

 物質の水を思い浮かべてください。水は温度を上げていくと膨張します。そうそう、温度計のようなものです。細かい変化は別にして、おおよそ温度と、膨張した体積とで一対一の関係が成り立っています。10度毎にデータを採ったグラフを使って、その中間の15度とか、47度の体積は正確に予想がつきます。これを内挿(ないそう)といいます。(ご存じのように、実際には4度で最小値をとります)


 チャットAIは既存のデータを学習して出力するわけですから、水の0度から100度の間と考えてください。この間の現象だけを知っていると仮定します。今までに出現した小説の集大成なわけです。そりゃあ、上手であるに決まっています。言い回しや文法は完璧だし、誤字脱字もありません(無いはずです)。


 ところが水は、0度以下では氷で、100度以上では水蒸気ですよね。水の状態の0度から100度の間をいくら調べたところで、それは予想できません。そうです。チャットAIが知らない範囲、すなわち外挿(がいそう)領域というわけです。

 未来予測が難しいのは、概ね外挿となるからなんです。


 ちなみに今回、チャットAIに頼んでみたのは、この「内挿と外挿を門外漢でも理解できるように例えを使って説明してください」という難問?でした。

 そしたら、レストランの曜日毎の売上を例示してくれたんです。いわく、月火水木金の5日間のデータから、水と木の間の中間値を予想できる。それが内挿だ。一方、外挿は、ここに無い土日の予想だというんです。えっ? 水曜日と木曜日の間の曜日って何? ですよね。現在のチャットAIはこの程度でした。まあ、徐々に賢くなっていくことでしょう。


 私は今、新しい連載を構想中です。その中で、このチャットAIを活用しているのです。丸ごとは無理なので、部分部分ですね。全ての返答では無いのですけれど、面白い発想を提供してくれることがあって、取り入れています。例えば、登場人物の風貌描写とかです。まあ、使い倒してやろうと思っています。

 内挿外挿の説明でもお分かりいただけたように、チャットAIが真似のできない小説をモノにすることは、それほど難しくはないはずです。みなさんの作品を期待しています。


 なお、チャットAIが作った小説は、その旨を記すべきだという主張があります。私は、そうは思いません。書いてもいいし、書かなくてもいい。それは設定条件を与えた作者のオリジナリティーに他ならない……と、現時点では考えています。


■上に挙げた三例と、日本の昔話『鶴女房』を書き換えさせた六例を次から連載します。後者は、現代風、タヌキ版、リアル版、中国風、アラビアンナイト風、異世界転生風です。それぞれ、Microsoft Bing AIと、ChatGPTを使いました。サブタイトルの末尾の記号は両者に対する私の評価です。辻褄が合わず、独創性もイマイチですけれど、我慢してやってください。

 どうも、得手不得手があるようです。他にもチャットAIは存在しますので、手に入るなら試してみる価値はあると思います。


 なお、タヌキ版とリアル版は、私の作品があります。R18ムーンライトノベルズの「それぞれの愛欲の果て」という短編集に掲載しています。https://novel18.syosetu.com/n6723if/

本記事は2023年5月10日に投稿した短編を大幅に改稿したものです。1,865文字で、PV 129(パソコン100、スマホ29)、ユニーク119(パソコン94、スマホ25)、総合評価10ptでした。


お読みいただきありがとうございます。

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