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私の愛する人は、私ではない人を愛しています。  作者: ハナミズキ
第四章 〜乙女ゲーム開始直前 / 盲目〜
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オルディアン兄妹 side ノア


ノアはグレンハーベル帝国の皇弟だが、前皇妃の子供ではなく、庶子だった。


前皇帝がお手つきした侍女が産んだ子供で、母はノアを産んだ後すぐに皇妃によって城を追い出された。



それから彼を育てたのは乳母と専属の侍従、そして年の離れた兄である現皇帝と、気まぐれに遊びに来る従兄弟のレオンハルトだった。


ノアは生まれてから10年間、生まれ持った魔力の高さが災いして何度も皇妃が放った刺客に殺されかけ、それを憂いた兄である現皇帝が、即位と同時にノアを叔父であるオーガスタ公爵家の養子に出した。


それは母である皇太后から弟の命を守る為、身を守る術を学ぶ為の兄の配慮でもあり、『裏皇家』の次期当主にノアを据えることで庶子だとノアを侮る高位貴族を黙らせる目的もあった。



あの戦闘狂で暴君の前皇帝の父や、地位と権力にかじりつき、野心を満たす為なら平気で人を陥れる苛烈な母親にウンザリしていた皇帝ジェフリーにとって、信頼できる家族はノアだけだった。


だからこそ、最も信頼する部下である暗部の『裏皇家』にはノアを置きたかったのだ。



そしてノアが16歳になった年、叔父は爵位を甥に譲って暗部の育成にまわり、ノアは若くしてオーガスタ公爵家の当主となった。



叔父は全てのスキルをノアに教え込み、その時点でノアの実力は『裏皇家』のトップと名乗ってもおかしくない実力になっていた。


16歳にして暗部としての実力も、公爵位という権力も手にしたノアに、負の感情を持つ者は少なくなかった。



愚か者達はノアを16歳の子供と舐めてかかり、これを期に暗部を潰そうと頻繁に刺客が送られてきたが、ノアは全て葬った。


イラついた時は敵の後ろ暗い事を暴き、次々と罰せられる者達が続出したため、次第に誰も手を出さなくなった。



ノアは実力で海千山千の高位貴族達を黙らせたのだ。



その後兄から裏皇家の仕事として各地の変死体の調査と邪神教の動きを探る命令を受け、国内各地を回る。




そうして出会ったのが、オルディアン兄妹だった。


ノアより6歳下の子供達が、最上級精霊と契約している事に驚いた。そして魔力量もかなり高い。



兄のクリスフォードはシスコンを拗らせていて、ヴィオラに近づく男に誰かれ構わず威嚇してるのが面白い。


伯爵家とはいえ高位貴族の子息なのに、感情を表に出し過ぎではないのか。



妹のヴィオラは何故か雰囲気が大人びてみえる。

そして時々、切ない表情で考え込んでいる時があった。



その表情の原因が、婚約者だというルカディオ・フォルスターの事を想っての事だったと気づいたのは、バレンシア王国に着いてからだった。



ルカディオに再会した時の、花が満開に咲き誇る瞬間を捉えたような、そんなヴィオラの笑顔に思わず目を瞠った。


いつも大人しく、控え目なヴィオラのあんな嬉しそうな笑顔を初めて見たのだ。



「へえ。ああやって笑うと、恋する乙女って感じで可愛いらしいですね。大人になったら儚げな美人さんになりそうだなぁ」



隣で部下のマルクが感心したように呟いた。



「お前がロリコン趣味だとは知らなかったな」


「そんなわけないでしょ。私は巨乳が趣味です。ただめずらしくノア様が異性に見惚れていたようなので、将来美人になりそうですよっておススメしてるだけですよ」


「なんじゃそりゃ。つーかお前の性癖なんて知りたくないね」


「巨乳は男のロマンです」


「それセクハラ発言だかんな。―――それにしても、クリスフォードは婚約者にまで敵意と独占欲剥き出しなんだな。シスコンが過ぎるだろ。あ、今シスコンは引っ込んでろって言われてるよ。はははっ」


「にぎやかですね。お子様達」





まだ少年といっていい年のノアは、まともな子供時代を送っていなかった為、こうして何の含みもなく付き合える子供の知り合いは、オルディアン兄妹が初めてだった。


その事にマルクは気づいていたが、ノアには自覚がない。


そして、自分の境遇とオルディアン兄妹を重ね、警護対象に妙に肩入れしていることにも気づいていない。



親の愛情を知らず、命すら脅かされた子供達。


そして、重い枷をその身に背負っている。



何か通じるものを感じ、重ねて見てしまっても仕方ない。


無意識に拠り所として彼等との関りを求めていたとしても仕方のないことだろう。


ノアも周りから見れば、まだ子供なのだ。



どこかしら羨ましそうに3人の子供達のやり取りを見つめる幼い上司を、マルクは改めて支えて行こうと決めた。




ノアの瞳が、ルカディオと笑い合うヴィオラを見つめる。



あの花のような笑顔を自分にも向けて欲しい。




未だ自覚のないノアが、そう思ってしまうのにさほど時間はかからなかった。




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