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私の愛する人は、私ではない人を愛しています。  作者: ハナミズキ
第四章 〜乙女ゲーム開始直前 / 盲目〜
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新たな魔の手 side エイダン




「やはりな・・・。2人らしくない行動でおかしいと思ったんだよ。これは何としても近日中にダミアンの身柄を王家に引き渡してもらうしかないな。仕方ない。使いたくなかったが王命を出してもらう。どこまであの女と邪神教の手が伸びてるか把握しようが無いのが痛すぎるな。神に対抗出来る奴なんて同じ神しかいないだろ」




(同じ神・・・・・・)




アイザックの何気ない一言に、エイダンはハッとする。


いろいろあり過ぎてクリスフォードとヴィオラが未だ自国の教会の洗礼を受けていない事に気づいた。


既に魔力は解放され、行事でもない限り教会に行くのは個人の自由な風潮が仇となった。


2人についている精霊が、闇属性と光属性を2人に与えたのは本来の予定ではなく、神の救済措置だと言っていたのだ。



それは要するに、2人は自国の神の加護を受けているということではないか?



領地のロイドにすぐに2人を教会に連れて行く指示を出す事にしたエイダンは、アイザックに詳細を話す。



「それは本当か!?お前の双子が精霊付きで神の加護を?」


「まだ推測に過ぎません。それを確かめる為にも2人を教会に連れて行きます」



「もし推測が当たったのなら、人間側には何としても秘匿するしかないな。マッケンリー公爵に知られたなら必ず双子の命を狙うだろう。大人になる前に消す。俺が奴ならそうする」


「・・・・・・っ」



「だが俺達がいくら秘匿にしても邪神が気づけば意味がない。それが一番恐ろしい事態だな。そうなったらもう人間がどう足掻こうが太刀打ちできない。神と精霊の戦いになるからな」



あまりにも現実離れした展開に眩暈がするが、イザベラが行方不明になっても2人の身が危険なのは変わらない。


マッケンリー公爵が消えるか、双子の力の覚醒と神の加護がハッキリするまでは、王都に戻すのは到底出来ない状況だった。



「とにかく、ダミアン殿も鑑定しましょう。彼も幻覚草を飲まされていて冤罪をかけられているかもしれない」


「あー・・・、いや、それはないな・・・ダミアンの場合は冤罪ではない」


「は?」



アイザックは眉根を寄せて気まずそうに続きを話す。



「アイツの不貞は確かだ。あの侍女以外にも以前から複数の女と関係を持ち、孕んだ者までいる・・・」



(あのダミアン殿が!?信じられない・・・)




「その気持ちはわかるぞ。俺も調査結果を聞いた時は驚いたからな。軍医によるとアイツは病気らしい・・・。アイツは以前、北の森の魔物が反乱(叛乱)を起こした時に死にかけた。それが原因で性欲が治らないらしい。騎士病と呼ばれるくらいよくあるらしいから、お前も知っているな?」


「はい・・・」




騎士や冒険者など、戦闘に長けた人間は戦闘中アドレナリンが多く分泌されて戦闘が終わっても興奮が治らない。


だから各々が自分なりの方法で性欲処理をするのだ。



だが瀕死の重傷を負って死にかけた者は、子孫を残したいという本能が最大限にまで増幅され、体が頻繁に危機的状況のような錯覚を起こして性欲が止まらない症状が起こる。


これは死にかけた時の恐怖がトラウマとなって染みついてしまっている為に、体がそう反応してしまうのだ。




「ダミアンは退院後、軍医にもらった精神安定剤を飲みながら仕事に復帰したが、薬が合わなかったのか剣を振るうと性欲のコントロールが出来なくなるようで、毎日のようにセレシアを抱き潰していたらしい。時には昼間にも助けを求めて仕事の合間に情事に耽り、症状を何とか抑えていたみたいだな。だがついにセレシアの体が限界を迎え、寝込むようになった」



(それで他の女に手を出したのか・・・)



「ダミアンもせめて娼館のみで発散してれば良かったのだがな。アイツの地位に釣られて寄ってくるバカ女は常に湧いているんだ。精神不安定じゃなければ絶対に誘いに乗らない奴だが、セレシアを追い込んでおかしくなっていたアイツは誘いに応じてしまった」



その先は聞かなくてもエイダンには容易にわかった。


ダミアンは抑えられない症状と、愛する妻の体を壊してしまった事と、不貞をしてしまった罪悪感に苛まれ、どんどん壊れていったのだろう。



そしてセレシアは夫を救えない悲しみと、それ故に夫が不貞に走ってしまった事実と、病のせいだとしても夫の不貞を許せない自分に耐えきれなくて自害したのかもしれない。


幻覚草の服用があったという事は、そんな精神状態のセレシアに更に幻覚を見せて追い詰めていた者がいるということだ。



「あのアメリという侍女を捕らえて取り調べをしているが、イザベラの時と同じだな。ダミアンとの関係は認めるが、背後にいる奴を暴こうとすると口をパクパクさせて声が出なくなるようだ」


「もうそれだけでイザベラと邪神教との繋がりは確定したようなもんでしょう」


「動機は?」



「ヴィオラとルカディオの仲を邪魔する為でしょうね。アイツはヴィオラの事は特に目の敵にしていましたから。それにフォルスター家と縁ができる事は犯罪を犯しているイザベラにとっては脅威ですし、潰したかったんでしょう。私がもっと早くあの女の思惑に気づいていれば・・・っ」


「お前は根っからの研究者で謀に向いていない。こういうのは俺や宰相みたいな悪知恵働く腹黒い奴じゃないと無理だ。とは言っても、いくら俺でも神を相手に勝つのは無理だがな。とりあえずダミアンの鑑定を急ごう」




自宅謹慎とはいえ、フォルスター侯爵家は今王宮騎士達が見張りをしていて王太子でも迂闊に手が出せない。


だからわざわざ騎士団上層部に掛け合っていたが、騎士団長の邸内に容易く邪神教の手が入り込んでいた事実を重く見て、アイザックは王命を使ってダミアンの王宮参内を命じた。




そしてダミアンを鑑定して出た結果は、



幻覚草ではなく、魅了の状態異常だった。





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