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私の愛する人は、私ではない人を愛しています。  作者: ハナミズキ
第三章 〜魔力覚醒 / 陰謀〜
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幻覚草⑴ side エイダン

誤字脱字報告ありがとうございます。とっても助かります(>人<)


 



「僕とイザベラ様は、学園で同じクラスの同級生だったんですよ。義姉上も一つ上の学年にいたので、兄上と婚約する前から彼女の事も知っていました」


「───は?」




アルベルト達からそんな話を聞いた事がなかったので、エイダンはとても驚いた。



「はあ・・・知らなかったんですか?・・・まあ、兄上は昔から、基本的に医療研究と義姉上以外の人間に興味のない人でしたからね。義姉上も卒業待たずに結婚して学園を辞めてしまいましたし。でも、義姉上から聞いていてもいいくらいなのに、2人は一体どんな会話してたんです?」



アルベルトは呆れたようにエイダンを見た。





───王立魔法学園はエイダンにとって馴染みの薄い場所だった。



昔から人付き合いが苦手で医療研究にほとんどの時間を費やしていたエイダンは、学園に行っても自分の容姿に釣られて寄ってくる令嬢達にウンザリしていた。


幼い頃から薬学や医学を学んでいるエイダンには魔法以外の座学は簡単過ぎて必要とは思えず、学園の制度を利用してニ年目に卒業試験を受け、飛び級で卒業したのだ。



だから、三年次に新入生として入学してきたマリーベルには会えず、面識がなかった。


そしてそのまま王宮治癒魔法士になって邸を留守にしがちだったので、アルベルトの事を気にする事もなかった。



学園での接触ならこちらは立ち入れない。


次代を担う若者達が集う学園は標的にされやすい為、国全体で鉄壁の守りを固めている。



当時は王弟殿下も通っていた事から王家の影もつき、情報を得る為に近づくのは無理だ。


それ以前に、公爵令嬢が幻覚草を学園内に持ち込むなんて、誰が想像できるのか。




アルベルトの話によれば、イザベラとは顔合わせの日まで一切関わりがなかったらしい。


それが顔合わせ後、今後は親戚になるのだからと学園内でよく声をかけられるようになり、カフェでお茶したり等、親戚として親交していたのだとか。



その時に話題に上がるのはやはりエイダンとマリーベルの話で、エイダンの話をするとイザベラの表情が蕩けるように綻び、アルベルトがイザベラの気持ちに気づくのにさほど時間は掛からなかった。


そしてアルベルトが気づいたように、イザベラもまた、アルベルトのマリーベルへの想いに気づいた。



そこからイザベラは『叶わぬ恋をしている同士』などと味方のように、理解者のように振る舞い、言葉巧みにアルベルトを自分側へ引き込もうとした。



当時一つ上の学年にいたマリーベルを何度誘ってもイザベラとの茶会に来ない事から、姉妹関係がうまくいっていない事をアルベルトは知る事になる。



その理由も、すぐにアルベルトは理解した。


その頃からアルベルトはイザベラと兄の逢瀬を目撃するようになったのだ。そして、それに比例してマリーベルがどんどん憔悴していった。



だから学園でイザベラを問い詰めたのだ。


『いくら好きだからって姉の婚約者に手を出すなんてどういうつもり?兄上達はもうすぐ結婚するんだよ?』


『・・・人の道に外れている事は知ってるわ。でも、あの人に求められたら私は拒めない。だって好きなんだもの・・・っ』


『兄上の方から!?まさか・・・っ』



『エイダン様は私を好きだと言ってくれた・・・嬉しかったわ。お姉様とは私の父が勧めた婚約だから公爵に逆らえなかったと』


『兄上がそんな事を!?』



アルベルトはこの頃、とても混乱していた。


邸内で見るエイダンは誰がどう見てもマリーベルを愛している。なのにその足でイザベラとも逢瀬を重ねているのだ。一体どういうつもりなのかと。



アルベルトの中でエイダンへの兄としての尊敬や、家族としての愛情がどんどん崩れ去っていく。



残ったのはただ、『愛する人を苦しめる憎き男』という嫉妬と憎しみの感情だけ。



いつしか、苦しめるなら自分が彼女を幸せにしたいとアルベルトは思うようになった。ずっと奥底にある抑えきれない恋情が膨れ上がっていく。



だが目の前の愛する人が焦がれるのは別の男で、それを間近で見せられるアルベルトが精神的に追い込まれるのも無理はなかったのかもしれない。


現に同じように、エイダンもアルベルトへの嫉妬で狂っていったのだから。



その様子に、裏でイザベラがほくそ笑んでいたのも知らずに───。






ここまで聞いて、ようやくレオンハルトが口を開いた。



「恐らくそのイザベラは、学園内で幻覚草で作った紅茶をアルベルトに飲ませたんだろう。幻覚草による精神作用が顕著に表れてる。しっかし、手段を選ばないとは、彼女余程エイダンに惚れてたんだな。学生のガキんチョでその性悪ぶりは恐れ入るね」



「おお~怖っ」と、わざとらしく自分の体を抱え込んで震えて見せるレオンハルトに殺意が湧いた。



「だ~!魔力漏れてるよエイダン!嘘嘘っ、まじめに話すよ。ちょっと空気が重いから軽くしようとしただけじゃん!」



「そんなものはどうでもいい。幻覚草の精神作用についてさっさと話せ」



「わ~かったよ!だから威圧すんな!──幻覚草の作用は幻覚を見せるだけじゃなく、脳を収縮させて幻覚によって生じた負の感情を増幅させるんだ。疑心、嫉妬、恐怖、憤怒、あらゆる負の感情が増幅されて、やがて精神を崩壊させる。それで過去に帝国の部隊が内部抗争を起こしていくつも潰された経験がある」




疑心、嫉妬、恐怖、憤怒。





それらの感情は、



当時、まさにエイダンを狂わせたものだった。




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