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私の愛する人は、私ではない人を愛しています。  作者: ハナミズキ
第三章 〜魔力覚醒 / 陰謀〜
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闇の精霊



「魔法士団団長、やはり強烈なキャラでしたね。あの空気の読めなさ、あの人こそレアキャラだと思うんですけど」



昼食の場でケンウッドに昨夜レオンハルトに会った時の事を話すと、どうやらレオンハルトが押しかけてきた時点でいつでも護衛に入れるようにどこかで話を聞いていたらしい。



ケンウッド自身もやはり現実味のない話で混乱しているようだった。


気持ちはわかる。当事者のヴィオラ達でさえ現実味がないのだから。



ただ、呪いをかけた人物について話すと「やるとしたらあの女しかいないでしょう」とあっさり肯定していた。


それくらい傍目から見てもイザベラのエイダンへの執着は出会った当初から異常だったらしい。



「で、魔力判定はいつやる事になったんです?」


「それはまだわからない。それについては何も言ってなかったしな。とりあえずレオンハルトが闇属性の魔法士を連れて来るまで待つしかない」



「闇属性の魔法士ですか・・・」


「・・・・お前も気になっているか」


「まあ・・・、当時いくら調べても洗脳の類の魔法残滓は見つからなかったですし、違うとは思いますけど。でもこの国はバレンシアより魔法技術が進んでいるみたいなんで疑う気持ちは捨てきれないですね」



父達の話についていけず質問しようとしたその時、また部屋の外がドタドタと音を立てて騒がしくなった。


『困ります!主を呼んで来ますのであちらでお待ちくださいっ』と誰かを引き留めている侍従の声が聞こえてくるが、『心配ご無用だ!』とその人物が叫んだ途端、自分達の部屋の扉が勢いよく開いた。



「やあやあやあ!待たせたなエイダン!双子達!」



やはり声の主はレオンハルトで、その後ろには昨日は見なかった黒髪黒目の美青年が呆れたような顔で立っていた。



「団長・・・いくらレアキャラの研究対象が見つかったからって、他国の来賓に無礼が過ぎるのでは・・・」


「気にするな!俺とエイダンは親友だからな!」


「おい、いつ俺とお前が親友になった。そして昨日も言ったが勝手に人の部屋に入るな」


「文通する程の親密な仲じゃん」


「気色悪いこと言うな!」




相変わらずのテンションで一気に部屋が賑やかになる。


しかしヴィオラ達もケンウッドもやはりこのテンションについていけず疲労感を感じたその時──、


強い視線を感じてその方向に目を向けると黒髪黒目の美青年がこちらをじっと凝視していた。



そしてレオンハルト同様にその瞳をキラキラと光らせ、



「本当に団長の言っていた通りだ!小さな精霊が沢山いる!しかも僕と同じ闇属性の人初めて見たよ」


「そうだろう!珍しいだろう!研究魂に火がつくよな」


「ええ!団長がレアキャラ見つけた!っていい年してはしゃいでるの見た時は『何この残念な大人』って若干引きましたけど、確かにこれはレアですね」


「ほう・・・お前あの時そう思ってたのか」




「あ、あの・・・、2人とも近いです。ちょっと離れてもらえますか」


クリスフォードはヴィオラを庇うように背に隠し、興奮している2人の前に手をかざして距離を取る。



昨夜レオンハルトに死の宣告を受けたようなものなのに、何故この人達は陽気でいられるのか理解に苦しむ。


他人事だと思って楽しまれているのだろうか。



「ああ、精霊がちょっと不機嫌になってる。ごめんごめん、不躾だったね。離れるよ」


「どうだジル、解呪出来そうか?」


「いや状態異常ならともかく、呪いを解くのは本来無理ですからね。でもここまで綻びがあるなら何とか出来そうな気もしますけど、どうかな~。とりあえず精霊がこれだけ寄り添ってるなら、彼らに方法聞くのが1番手っ取り早いんじゃないんですか?」


「ああ、なるほど。その手があったか」


「人智を超える事柄は人智を超えた存在に聞くのが1番です」




勝手に話を進めていく2人にエイダンが待ったをかける。


「おいお前達、さっきから何を言っているんだ。わかるように説明してくれ」


「ああ、ごめんごめん。双子の呪い解くにはどうしたら良いか精霊に聞けばいいって話してたんだよ。」



「精霊?お前達は精霊と会話ができるのか?」


「いや、この子達の精霊と話すのは無理。話せるのは自分と契約してる精霊だけ」


「???」



混乱するエイダンに対してレオンハルトは「百聞は一見にしかず。ジル、呼べるか?」と闇属性の魔法士に問いかけた。




「了解。グラディス、いるか?」



ジルが誰かの名を呟くと、彼の影が揺れ出し、その中から艶やかな毛並みの体長1.5メートル程の黒豹が現れた。



レオンハルトとジル以外の人間は皆驚き、ケンウッドが双子の前に出て戦闘の構えを取る。



「違う違う。こいつは魔物じゃなくて闇の中級精霊でグラディスっていう名だ。ジルの相棒だよ」



「精霊?それは普通人には見えないんじゃないのか?何で契約者じゃない俺達にも見えるんだ?」



エイダンが信じ難い光景に目を見開きながらレオンハルトに説明を求める。


「精霊の中でも中級以上の精霊は可視化の力を持つから人に姿を見せる事ができるらしい。まあ、それなりに力を持つ精霊はほとんど精霊界にいるから滅多にお目にかかれないらしいけどな」



「貴重だから思う存分拝んどけ」と親指を立ててグッドポーズを取り、白い歯を見せて笑うレオンハルトに、やはり周りは疲労感を見せた。



「団長、相変わらず空気読めてないみたいですよ」




大人達が取り留めのない話をしている最中、クリスフォードは闇の精霊に釘付けになった。


とても綺麗で、何故だか懐かしい。そんな既視感を覚えた。精霊が纏う空気が心地良いと思った。



グラディスはそんなクリスフォードに近づき、その腕に頭を擦り付けて親愛の情を見せる。



その仕草にクリスフォードが頭を撫でて返すと、突然周りに沢山の小さな光が見えた。





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