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私の愛する人は、私ではない人を愛しています。  作者: ハナミズキ
第三章 〜魔力覚醒 / 陰謀〜
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綻び





『呪いの術がかかってる』





レオンハルトの発言に、エイダンは平常心を失くして声を荒げる。



「呪い!?それは確かなのか!?そ、それは命に関わる呪いなのか!?」



「今すぐ死ぬって事はないけど、2人の片目に魔力を封じる魔法陣が刻まれてる。本来なら解呪できない強力なヤツっぽいけど、2人の魔力が膨大過ぎて魔法陣に綻びが出来てるんだよ。特にそっちのエイダンの息子君、いつ魔法陣が崩壊して魔力暴走起こしてもおかしくない状態だね。以前から魔力酔い起こしてるんじゃない?」



やはり、長年のクリスフォードの体調不良は魔力が主な原因だったらしい。最近はそれに加えて毒もあった──。


呪いを受けた当初は抑えられていたが、クリスフォードが持つ魔力量が成長するごとに増加していった事により、許容量を超えて魔法陣に亀裂が生じたのだろうという見解だった。


そして呪いの術が綻びた事により、漏れ出た魔力が身体の中で処理しきれず、体調を崩していたらしい。


また1番厄介なのが、今解呪したら膨大な魔力が一気に放出されて暴走し、2人とも命に関わるという話だった。



「2人って・・・ヴィオラもか?ヴィオラは今のところ魔力による体調不良はないみたいだが?」



「それは多分その子自身が光属性の魔力だから、無意識に自分で癒してるんだと思うよ。でも一気に光を解放させたら、それは身を焦がす。それに光の恩恵を彼も受けてるんだよ。術の綻びで魔力が漏れてても、彼女から漏れ出る少量の魔力で無力化されてるんだ。だから暴走させないギリギリを保ててるんじゃないかな。あ、ちなみに彼の魔力は闇属性だよ」




「「「─────は?」」」




次々に明かされる事柄に3人とも頭がついていかない。



「な、何で魔力測定器を使ってないのに属性がわかるんだ?」


「さっき鑑定魔法使ったから。あれは対象のステータスや状態異常を調べることができるんだ。それに俺、今精霊と契約してるから精霊が見えるんだよ。この双子の周りに光と闇の小さい精霊がうじゃうじゃいる。ていうか光と闇って共存できるんだな。こんなにたくさんの精霊を見たのも初めてだ。とても興味深い!これは貴重な研究対象だぞ!」



(どういうこと?父と生みの母の魔力は水属性と土属性だと聞いているのに・・・ていうか精霊が私達の周りにうじゃうじゃいるって何・・・?)



思わず周りを見渡してしまうが何も見えない。精霊とは何か、何故ヴィオラ達が両親とは違う属性を持って生まれたのか、そして、一瞬だけ母の不貞を疑ってしまったその時───、




「まさか、先祖返りか・・・?」




エイダンが呆然として呟いた。





(え──?先祖?)





「父上、どういう事です?」


「・・・・・・オルディアン家の初代は、光属性の治癒魔法士と闇属性の魔法士の夫婦だ。代替わりするにつれて血が薄まり、光と闇の属性の子はずっと生まれていなかった」


「それが僕らの代で生まれたという事ですか?」


「レオンハルトの言うことが本当なら、そうなるな」


「失礼だな!俺の鑑定は外れないし、精霊が見えてるって言ってるだろ。精霊は嘘つかないよ」




魔力封じの呪い、光と闇の魔力属性、呪いの綻びによる魔力暴走の危機。




ヴィオラはただでさえ長旅で疲労困憊なのに、考える事があり過ぎて眩暈がしてしまう。


正直今はただひたすらに寝たい。



クリスフォードも同じ事を考えているようで、特にその後口を開く事なく再びソファの背もたれに寄りかかって瞳を閉じていた。



レオンハルトは瞳をキラキラさせて興奮冷めやらぬ状態でエイダンに詰め寄っている。



「エイダン!俺に双子を預けないか。丁重に扱うから是非双子を研究させてくれ!」



「断る。ウチの子供達はモルモットじゃない」


「お前っ、子供達がどれだけレアキャラかわかってんのか!研究する事によって世の中救われるかもしれないんだぞ?」


「しつこい。断る。子供達だけ他国に置いていけるわけないだろ。しかも国内情勢の不安定な国などもっての外だ。それより、魔力暴走無しで解呪するにはどうすればいいんだ?」



「いや、この子達の状態でそれは無理」


「は?」




「例えるなら、もう破裂寸前の風船て感じかな。破裂を防ぐには空気を止めなきゃいけない。だから魔力暴走を防ぐには魔力を止めなきゃいけない。でもそれって無理でしょ?」



「「「・・・・・・・・・・・・」」」



3人の息が一瞬止まる。




魔力持ちの人間が、魔力を止める。


それは即ち、魔素の核を壊すという事。



魔素の核を壊すという事は、


それは即ち、




───心臓を止めるという事。







それを察して、


レオンハルトの言葉に絶望した───。


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