酒場で自己紹介
数時間ぶりに見る超怖いおっさんは、超怖いままだった。
「ふん、生きてたか。ほれ、首輪から討伐装置を外して渡せ」
言われるまま首輪から装置を外そうとして、どうやればいいのか分からずいじっていると、ルフが横から手を伸ばしブチっと黒い装置を引きちりおっさんに渡す。
「簡単だろ?付けるときも近づければ勝手に付く。あ、グラントさん俺のも一緒に頼むわ」
なにそれ凄い。メカ的な何かなのか魔法的な何かなのかさっぱり分からんがスゴーイ。
「ネズミ一匹か、なら金は無しだ」
「あ、グランドさんよ。俺のネズミ三匹もアキラが退治したことにしてくれ」
「ふん、いいぜ。なら合わせて銅貨二枚だ」
ふーん。俺の命は銅貨一枚にもならなかったのかぁ。涙が出そう。
そのままグラントさんとやらから銅貨と装置をもらい、ルフの言う通り装置を首輪に近づけると本当にそのままくっついた。うん凄い。
「よし、約束通り仲間に会わせるぞ。ここに居なかったから多分あっちの酒場にいるはずだ」
と指をさされた二階より上が無くなったビルに向かって歩き出した。
ビル、あったんだね・・・。
ルフが「悪ぃ、遅れた」と言うと、筋肉質な小さいおっさんが「遅かったのぅ、もう始めちょるぞ」と言い返す。あれは多分ドワーフなんだろう。うん、イメージ通りだな。
「お帰りー。どこ行ってたの?」と凄く小さな女の子がニコニコしながら返事をする。小人族なのだろうか。守備範囲外だが、小動物を見てるみたいで和むわぁ。
「今日はアンタの奢りね。たっぷり食べることにするわ」
おお、すごい美人!でもなんかとっつきにくい感じがする。あとちょっと土臭い。
「すまんすまん、俺の奢りでいい。こいつはアキラ。今日ハンターになったばかりらしい」
紹介されたので素敵な自己紹介する。勿論、仲間に入れてもらうためだ。
「ご紹介に預かりましたアキラと申します。皆様に出会えたことを心より感謝申し上げます。あと、出来れば役立たずかもしれませんがお仲間に入れて頂けると嬉しい所存です」
と、皆に言うとビックリしたような目で見られた。何かおかしかった?敬語も丁寧語も苦手で分からんからこれで勘弁しれくれ。
「おい、俺の時と違うんじゃねーの?」と笑いながらルフに肩を叩かれた。すげー痛い。
「いや、流石に何も出来ないのに仲間に入れて下さいってんんあら、丁寧に言うべきだろ?」
「あー、分かった分かった。仲間にするかどうかはこいつら次第だから。良いから座ろうぜ。ほら、お前らも挨拶しろよ」
と空いている椅子にルフが座ったので、俺もついでに座る。この流れだとルフは賛成してくれるみたいだな。
まず髭もじゃのおっさんが気のコップに入った酒らしきものを掲げ自己紹介が始まる。
「ワシはカンタ、見ての通りドワーフじゃ。よろしくな坊主」
ドワーフのおっさんはなんだか頼りになりそうだ。
「わらし、私はムイムイです。小人族です、よろしくねお兄ちゃん」
続いてあいさつしたのはポックルと言われるムイムイちゃんだ。やっぱり可愛い。
「私はリリアよ、エルフだけどお婆さんじゃないわよ」
言われたくないんだろうなぁと美人さんを見る。スッと目をそらされた。
「で、俺がルフだ。ってまぁ知ってるな。仲間に入れても良いんじゃねーか?四人じゃそろそろきつくなってきたな。」
見渡すと皆賛成のようで頷く。良かった、俺はこの世界で生きていけそうだ。
「BA操縦できそうならそれも頼みたかったしな」
と、知らない単語があったので聞き返す。
「ビーエー?何それ」
「え?BA知らないってマジ?」
いや知らないよ。なんだよベストアンサーかよ。
軽く聞くと、人間にしか操縦出来ないロボットスーツらしい。何それ浪漫の嵐じゃん。