96/132
第3章 プロローグ 陽だまりの中で
高木さんとハナちゃんがうちに来るようになって、もう1年たった。
子猫のころ、小さな体で必死に雫の後をついて歩いていたハナちゃん。
いつのまにか、雫より大きくなっていた。
雫が4kgくらい。
ハナちゃんは6kg弱らしい。
だけれども、あいかわらず雫のそばにいることが多い。
今も縁側で丸くなる雫の横で毛づくろいをしている。
「お昼ご飯できましたよ。」
あいかわらず、高木さんはご飯を作ってくれる。
私も手伝ったりするのだが、できるだけ高木さんが作ろうとするのだ。
いわく、誰かのために料理をするのが好きなのだとか。
うちに来る理由については、ハナちゃんが来たがるとか、2人分の食事を作るほうが食費が安いとか。
なんだかんだ言って、もう毎週来るようになっている。
「ありがとうございます。」
そう言ってリビングに向かう。
雫の様子を見ると、まだ縁側で丸くなって寝ている。
最近は寝ていることが前より多くなった。
今は、声をかけるのはやめておこう。
ゆっくり寝かせてあげないとね。




