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うちの猫は早く寝ろと催促してくる  作者: 三枝 優
第2章
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発熱④

目が覚めた。

明るくなっている。

ここは・・・和室のようだ。

いつの間にか和室の布団で寝ていたらしい。

右の脇に暖かな体温。

見ると、雫がピッタリと寄り添っている。


そして、8畳間の和室の向こうの端では高木さんが服を着たまま寝ていた。


昨晩、たしかに高木さんと話した気もするが、朦朧としていてぼんやりとしか覚えていなかった。


「ニャー」

縁側からハナちゃんが呼びかけてきた。

いつの間にかハナちゃんも来ていたらしい。

その声を聞いて、高木さんも目を覚ましたらしい。

「高木さん、おはようございます。すみませんご迷惑をおかけして。」

「いえ・・・体調はどうですか?」

「おかげさまで・・・昨日よりかなりいいです。」

体温計を渡されたので測ってみる。

37.4度。良くなってきている。

「安心しました。昨日は救急車を呼ぼうかと思ったくらいでしたから。」

「申し訳ありません。ご迷惑をおかけしてしまって。」

「大丈夫ですよ、困ったときはお互い様ですし。ご飯を作りますね、念の為おかゆでもいいですか。」

「はい、すみません・・・」

その間も、雫はピッタリとくっついて離れない。

こちらをじっと見てくる。

「雫ちゃん、昨日からずっと離れないんですよ。お水も飲みに行ってないんです。」

そうか・・心配させたんだね。

雫の背中をなでてやる。

ゴロゴロと喉を鳴らす。

「雫、もう大丈夫だよ。ご飯を食べておいで。」

こちらを心配そうに見てくる。

「大丈夫。ご飯を食べて、お水を飲んできてね。」


雫はしかたないと行った感じで立ち上がり、和室を出ていく。入り口で、振り返ってまた見る。

「大丈夫だよ」

声をかけると、仕方なく出ていった。


しかし、しばらくするとすぐに戻ってきて、またピッタリとくっついて来る。


「ほんと、雫ちゃんも私も心配したんですよ。」

高木さんは笑いながら言う。

「じゃあ、ご飯を作ってきますね。それまでは寝ていてください。」

横になって、雫の背中をなでながら、ぼんやりと天井を見る。

「雫。心配させてごめん。」

「にゃあ・・・」(心配させないでよ)

小さく鳴く雫。

するとハナちゃんが元気に鳴いてくる。

「ニャー」

怒られたのだろうか?でもなんとなく嬉しそうな声にも聞こえる。


しばらくすると、高木さんがお盆に器とレンゲを載せて運んできた。

「かんたんなもので申し訳ないんですけど。」

「いえいえ、美味しそうです。」

おかゆなんて久しぶりである。


「美味しいです。」

「それはよかったです。」

「布団を敷いてくれたんですね・・大変だったでしょう。ほんとに迷惑をかけてごめんなさい。」


「いえいえ、良くなったてきて良かったです。」

「ありがとうございます。」

「念の為、今日は一日寝ていてくださいね。」

食べ終えた器を運びながら高木さんが言う。

「はい、そうします。」


「じゃあ、お昼ごはんに食べたいものがあったら言ってくださいね。」

「え、いやそこまでしてもらったら申し訳ないですよ。」


すると高木さんは笑いながら、有無を言わさぬように

「病人はおとなしくしていてくださいね。大丈夫ですから。」

と言うのだった。


するとハナちゃんも嬉しそうに鳴いた。

「ニャー。」

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