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発熱③ 雫Side
あの女。
高木さんと言ったか・・
家を出て行ったと思ったら、一時間くらいで戻ってきた。
あの子猫を連れて。
「山崎さん、大丈夫ですか?」
「あれ・・高木さん、帰ったんじゃなかったんですか・・」
「大丈夫、心配しないでください。ハナちゃんも一緒ですよ。」
「・・・すみません・・」
そう言ってご主人はまた眠りについた。
私はご主人の横で体をくっつけてうずくまる。
ご主人、よくなってくださいね。
あの女(高木さん)は台所にいって、濡れたタオルをもってきてご主人の額のタオルを交換する。
”ししょー、ししょー。大丈夫ですか?”
あの子猫が聞いてくる。
”おとなしくしなさい。ご主人が寝てるのよ”
”はあい”
私だけでは、どうにもならなかった。
ちょっとだけ、あの女・・・高木さんに感謝しているのだった。




