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うちの猫は早く寝ろと催促してくる  作者: 三枝 優
第2章
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発熱③

夜の9時。

ようやく、山崎さんの容体は落ち着いてきた。

苦しそうだった息は、ようやく押しついた呼吸になっていた。

熱を測ると38.6度。

まだ高いが、下がってきてはいる。


そんな時。

山崎さんは、目をさましたようだった。


「高木さん?」

「はい、山崎さん。体調はどうですか?」

「大丈夫です。」

大丈夫なわけはない。

「ごめんなさい、高木さんに迷惑をかけてしまって・・・」

「いえ、普段私が迷惑をおかけしているので大丈夫ですよ。」

「そんなことないですよ・・・それより、そろそろ帰らないとハナちゃんが心配しますよ・・・」

自分のことより、私のことを心配する。

きっとそうだろうと思っていた。


「そうですね・・・じゃあ、一度帰りましょうか。でもまた来ますね。」

「無理しないでください。私は大丈夫ですから・・・」

「わかりました」


その後、アプリでタクシーを呼んで、自宅に向かった。

便利な世の中である。

----


自宅に戻ると、玄関でハナちゃんが待っていた。

留守番電話を入れていたが、心配だったのだろうか。

「ごめんね、またすぐに山崎さんの家に行かなきゃいけないの。」

「ニャア!」

するとハナちゃんはリビングに走っていく。

リビングに行くと、キャリーの中に自分から入っている。


ほんと、頭の良いいい子になった。


「ハナちゃんも行く?」

「ニャ!」

当たり前でしょ。という感じで見上げてくる。


私の着替えをカバンに押し込んで、ハナちゃんの入ったキャリーをもって。

家の前に待たせていた、タクシーに乗り込む。


「すみません。さっきの家に戻ってください。」

「わかりました。」


山崎さんは、私がすぐに戻って来るとは思っていなかったかもしれないけれど。

病気の人をほっといておけはしないのだ。

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