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預かる 雫Side
その日、見慣れないキャリーをもってご主人は帰ってきた。
なにやら、あの女のにおいがする。
最近、ずいぶん多いんじゃない?
気になる。
すると、なにやら2階の洋室を閉め切ってしまった。
いままで、そんなことはなかったのに。
2日ほど、そんなことが続いた。
毎日、なにやらご飯を持っていっているようだ。
何かの気配がする。
あやしい・・・
3日目。
ご主人が洋室に入ろうとするのを、向かいの寝室でみていた。
すると、空いた扉の隙間から、黄色い何かが飛び出てきた。
それは、まっすぐ寝室のほうに走ってきた。
「あ!ハナちゃん!ダメ!」
ご主人が止めるのも聞かずそれはこっちに走ってきた。
そして、私の前まで走ってきて、驚いた顔をしてSTOPした。
黄色い顔した子猫。
あの女のにおいもするわね。
気に食わない。
だけど、その子猫はよりにもよって、私にとびかかってきた。
「ふるる~!」(カクゴしろ~!)
あぁ、昔はお母さんに同じことしたなあって思いだした。
だからお母さんと同じことをした。
バシッ
猫パンチを頭に。
その子は涙目になった。




