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うちの猫は早く寝ろと催促してくる  作者: 三枝 優
第2章
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ひとめ惚れ

(高木さん視点)

私のうちは、母子家庭だった。

母親は働きに出ていて、あまり家にいない。

一人っ子の私は、一人で家にいることが多かった。

もちろん、母親は一生懸命私を育ててくれていることはわかっていた。

だけれども、世の中で言うところの家族というものがあまり理解できずに育ってきた気がする。


私が大学を出て就職したころ、母親に再婚話が持ち上がった。

おそらく、私が独立したので安心したのであろう。

私は一人暮らしを始め、母は再婚した。

母親は再婚相手と家庭を持ち幸せそうだ。再婚相手には子供もいた。

なんとなく、母とは違う家族になった感じがした。


一人の生活がもう何年も。

家族ってなんだろう。

この先、ずっと一人でいるのだろうか。

そういう時、ペットを飼ったらどうかとなんとなく思いついた。


でも、山崎さんと話しているうち、ペットも家族なんだと思い知った。

いまさら、私に家族なんてできるんだろうか。

でも、山崎さんと雫ちゃんを見ているうちに、うらやましくなっていた。

まぁブリーダーさんに行って、見てみるだけならいいかな。

------

「いらっしゃい、さぁ上がってください。」

山崎さんに車で送ってもらって、ブリーダーさんの家にやってきた。


思ったより、たくさんの猫たち。

そして、雫ちゃんよりはるかに大きい。その大きさに驚く。

「雫はラグドールの中では小さいほうだからね。」

「ラグドールを飼っているんですか、何Kgくらいですか?」

「4㎏ですよ」

「それは小さいですね」

「雌ですからね」

どうやら男の子より女の子のほうが小さいらしい。

座布団に座って、ブリーダーさんや山崎さんと会話していると、膝に何かが触れた。


見ると、小さな子猫が私の膝に手を乗せていた。

「ふるるる・・・」

え・・・今のは鳴き声?

山崎さんは笑いながら言ってきた。

「その子は、高木さんに”あなたはご主人になってくれるのですか?”って聞いてますよ。」


私の膝に前足をおいて、真剣なまなざしで見つめてくる子猫。

顔にオレンジ色の模様が彩っている。

雫ちゃんとは色も模様も全是違う。

でも、そのまなざしは私を見つめていて・・・

私も、その子から目が離せなくなってしまった。


「あぁ・・・あなたは・・・私の家族になってくれますか?」

思わず聞いてしまった。

「ふるる・・・」

首をかしげて、その子はまた鳴いた。



あぁ。こういうのを一目惚れというのだろうか。


オレンジ色のかわいい女の子。

まるで花びらのような模様。


この子の名前も、もう決まった。

”ハナ”ちゃん。


今日。私に家族ができることになった。

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