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家族 雫Side
ようやく、お客さんが帰っていった。
うるさいのがいなくなって、せいせいした。
「にゃあ~~~!!!」(慰謝料を請求する!!)
「はいはい、機嫌を直してよ」
ケージの上に、フリーズドライの胸肉。
最近気に入っているおやつだ。
「にゃ!」(もっと!)
「はいはい」
うむうむ。ちゃんと量を増やしてくれた。
分かっているじゃないの。
その夜、ご主人は私をなでながら言った。
「高木さんがね、雫と私はペットと飼い主じゃないんですねって言っていたよ。」
何を言っているのだろう?
当り前じゃない。
「猫を迎えるってことが、ようやくわかったみたいだね。」
そうよ。
私とご主人は対等な立場。
というよりも、ご主人は私が守らなきゃならない存在。
何を勘違いしていたのかしら。
「猫を飼うかどうか、もう少し考えるって。まぁ中途半端な考えではだめだから、ちゃんと考えてどうするか決めるのはいいけどね。」
あの女はあの女。
勝手にすればいいわ。
「それまで、また見に来ていいかって聞かれたよ。」
なんですって・・・!!
しっぽをぱたっと振ってしまう。




