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うちの猫は早く寝ろと催促してくる  作者: 三枝 優
第2章
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家族

「雫ちゃん、いなくなっちゃいましたね。」

「ごめんね、雫は人見知りだから。それに、雫だけじゃなく猫は一般的ににぎやかなのは嫌いだからね。」

「そうなんですか。」

「高木さんは、猫を飼う決心はついたの?」

「うーん、なんとなく踏ん切りがつかないんですよね。」

田中君も聞いてくる。

「そうなんだ、見に行くからついてきてって言われたので、てっきりもう買うつもりだと思ってたよ。」

「雫ちゃんを見ていると、なんか思っていたのとちょっと違うというか・・」

「なにが違うの?」

「うーん、わからないんですよね。」

「はぁ」


階段から足音がする。

雫が、階段を下りてきて偵察。

じー・・・

また戻っていく。


田中君が聞いてくる。

「山崎さん。猫の面倒見るのって大変ですか?」

そう聞かれて、ちょっと考える。

「猫の面倒を見る? うちの場合は違うね。」

「何が違うんですか?」


「うちは雫が私の面倒を見ているんだよ。」


------

(高木さん視点)

その言葉を聞いたとき、何に違和感があったのか、わかった気がする。


私は、猫が欲しいって思ったのは、在宅勤務をしているときに好きな時にかまってもらう愛玩動物ペットが欲しかったのだ。


だが、山崎さんと雫ちゃんを見ていると、愛玩動物と飼い主という関係とは違っていた。それが違和感だったのだ。


そう、山崎さんと雫ちゃんは家族だったのだ。

山崎さんは雫ちゃんの面倒を見る。

雫ちゃんは山崎さんの面倒を見る。


お互い信頼しあっている。


ペットがいる生活を想像して見に来ていたが、猫を飼うってそういうことじゃないんだ。

家族ができるってことなんだ。


あぁ。今なら前に山崎さんが言っていたことがよく理解できた。

「猫は長生きするときには20歳以上になるから、その間はずっと面倒を見なければならないってこと。その間は、ずっと家族として一緒に暮らす覚悟が必要だね。」


そう、山崎さんにとって雫ちゃんはペットではないんだ。


そう思うと、何だろう。

とても、山崎さんと雫ちゃんの関係がうらやましくなった。


もし・・もし・・・その生活の中に私もいたらどんな日常があるんだろう・・・


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