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春夏秋冬
引っ越し先の家を、雫にずいぶん気に入ったらしい。
2回の出窓から外を眺めたり、和室の縁側から庭を眺めたり。
私も、庭の手入れを楽しんだ。
春には、花にらの花が咲き誇った。
また、フリージアの黄色い花がきれいに彩った。
5月には羽衣ジャスミンが香りとともに花を咲かせた。
6月に入ると、くちなしの花が甘い香りを放った。
その後、アジサイの花が梅雨に青い花を咲かせた。
夏になると、グリーンカーテンにした朝顔の花が咲いた。
そして紫蘇の葉が食卓に色を添えた。
みょうがも取れるのだが、奥さんは好きではないらしく食べない。
秋になると、どうだんツツジや南天が赤く彩った。
そして柿の実が成る。予想に反して、ものすごく甘い実がたくさんとれた。
たくさん取れすぎるので、うちの実家や奥さんの実家にも送った。
冬にはさざんかが花をつける。
庭でいろいろ作業をしていると、窓から外を眺める雫が見える。
そんな落ち着いた毎日を過ごしていた。
数年たった、その時にそれは起こった。




