引っ越し 雫Side
ある日、ご主人と奥さんがお出かけから帰ってくると、私にこう言った。
「雫、引っ越し先が決まったよ。」
奥さんが嬉しそうにしている。
引っ越しって何だろう??
どうやら違うおうちに移動することらしい。
「これで、ご主人も早く帰ってこれるようになるよ。」
そうか、それはうれしい。
最近、ご主人は家にほとんどいなくて遊んでくれなかったからなぁ。
奥さんは、毎晩寂しそうにしていたし。
そして、引っ越し当日。
ご主人の車の後部座席のキャリーに入って、新しいおうちに移動していた。
「にゃあ~。」(ねぇ、まだなのー?)
「もうちょっと待ってね。」
ご主人に言われる。
「にゃあ~。」(あとどれくらい?)
「もうちょっとだよ。」
そんなやり取りをしていると、新しいおうちについたみたい。
家具も何にもないおうちでキャリーから出してもらった。
広いおうち。とっても広い。
それよりも驚いたのは、窓の外を見た時だった。
今まではベランダのコンクリートしか見えなかった外。
このおうちでは、庭があって木がある!
あ!!鳥さん!!
庭の木に何匹かの鳥がとまって、”チチチ・・”と鳴いていた。
お外の風景に夢中になって眺めてしまう。
私は、このおうちがとっても気に入った。
ちなみに階段というものは初めて経験した。
夜中に足を滑らせて、鼻をぶつけて鼻血を出したのは内緒の秘密である。
どんくさいわけじゃないんだからね!




