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うちの猫は早く寝ろと催促してくる  作者: 三枝 優
第1章
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引っ越し

雫がうちに来て、数年がたったころ

私は転職をした。

40歳を過ぎて転職先があるかどうかは不安だったが、幸いすんなりと決めることができた。

問題は、通勤時間。

それまでは車通勤で1時間程度だったのが、2時間の電車通勤。

当然朝早く、帰りは遅い。

中途採用を募集するくらいだから当然職場は人手が足りてなく忙しかった。


「引っ越しをしましょう。」

ある日、奥さんが言った。こうなったら頑固である。

それからしばらく・・・半年ほど引っ越し先を探しことになった。

やはり猫を飼っていると、なかなか良いところは見つからない。

賃貸だけでなく、購入も含めて探しているのだが・・・

インターネットで見て、何件も見て回った。

ある売却予定の家を見にいった時のこと。そこには猫が3匹いるとのことだった。


壁紙はボロボロ、カーテンやソファも爪とぎのあとがたくさんあった。

うちの雫は壁紙やソファを気づつけたことがないんですけど・・?

世の中の、猫は雫とは違うということを知ることができた。




そんな風に、ある引っ越し先候補を見に行ったついでに、ふと職場の最寄の駅近くにある不動産屋さんにはいってみた。


自動ドアを入ってすぐに、猫が座っていた。

白い猫。金と緑の瞳。オッドアイだ。

美しい猫である。


賃貸でも購入でもいいので探していることと、猫がいることを告げると不動産屋さんは一つの紙を持ってきた。

「ちょうど、昨日から募集することになった家なんだけどね、この近くだから身にいてみませんか?」

築25年の2階建て1戸建て。3LDK。探していたサイズよりもかなり広いが金額は比較的安い。駐車場もついているとのこと。

不動産屋さんから歩いて2分ほどというその物件にすぐに行くことになった。

「うわぁ、庭が広い。」

「裏には物置もありますよ。」

庭がかなり広い。柿の木や立派な植木がたくさん植えられている。

しかも、外壁は塗装されたばかりのようで築年数より非常にきれいだ。

「では、中もご覧ください。」

中も、相当に広い。そして、古びてもなく非常にきれいである。

リビングに、和室8畳に洋室2つ。日当たりもよく2階の窓からは富士山も見える。

「みてみて、縁側もあるよ。」

奥さんは和室が気に入ったようだ。

「私ね、老後は縁側で猫をなでながらのんびり暮らすのが夢だったんだ。」

そんなことを言う。

「それが、もう叶っちゃいそうだね。」


職場にも非常に近く、駅からも近い。

難点は、奥さんの通勤時間が今より増えるところ。

それでも奥さんは言った。

「ここにしましょう。」


なんとなく、不動産屋さんの猫に導かれて引っ越し先が決まったような気がした。

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