出会い②
土曜日、約束通りブリーダーさんの家にやってきた。
ブリーダーさんは私より少し年上らしい夫婦。
「よく来てくれましたね。」
と迎えてくれた。
どれ、まずはうちの子でこの間コンテストに出た子を見てみるかい?
と言って連れてきたののは・・・え?これは猫と言っていい生物?
20kgあるというその子は、いままで見た猫という常識を覆すほど巨大だった。
しかし、その子はゆっくりとこちらに来ると、背中を見せて鳴いた?
「ふるる・・」(なでて)
とっても人懐っこいらしい。なでてあげるとゴロゴロとのどを鳴らす。
「今の声ってかわいいですね」
「ラグドールはほとんど鳴かないからね」
・・・・後になって思う。 嘘ですよね。 うちの子はよく鳴きますよ?
命令口調で・・・
◇◇◇◇◇◇
「では、最近生まれた子を見てくださいね。」
と別室に案内された。
その部屋にはたくさんの猫たちがいたが、静かだった。
そこには、数週間前に生まれたばかりという子猫が数匹いた。
「うわあ、かわいい!!」
奥さんは子猫たちに夢中になった。
子猫たちは人懐っこく、我先にと膝の上にのってきて甘えてくる。
ほんとにかわいい。
そのとき、一匹の子猫が気になった。
ほかの猫とは違って甘えてくることはせず、一人部屋の隅に歩いて行こうとする。
抱き上げようとすると、もがいて逃れようとする。
”離して、私忙しいの”
と言わんばかりだ。
私の手から逃れたその子猫は、トイレに行って用を足した。
その後、ひとりで丸くなって寝てしまったようだ。
ものずごくマイペース。
それでいて毛並みは非常にきれいで、顔だちも整っている。
奥さんが聞いてくる。
「どの子もかわいいわね、どうしましょう?」
「その子はどうかな?」
それが雫との出会いだった。




