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うちの猫は早く寝ろと催促してくる  作者: 三枝 優
第3章
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別れ 雫Side

私は、窓の外から私だったものの前で泣き続けるご主人を見下ろしていた。


ご主人。

悲しまないで。

そう言いたかった。


でも、その声は届かない気がしていた。


あぁ、そうか。

これが死ぬってことなんだ。


ご主人のそばにずっといたかったんだけどな。


「雫ちゃん、ありがとう。」

後ろから呼びかけられる。

「奥さん!」

キラキラと光りをまとった奥さんがそこにいた。

「旦那さんとずっと一緒にいてくれてありがとう。」

「ごめんなさい、私ずっとは一緒にいられなかった。それにあの女の人が・・・」

「いいのよ、雫ちゃん。」

そう言って頭を撫でてくれる。

「雫ちゃんのおかげで、あの人やあの猫ちゃんが来てくれた。そのおかげで、旦那さんは一人で取り残されることがなかったのよ。」


縁側では、ご主人を慰めるように一緒にいるあの女の人。

そうか・・・ご主人は一人ぼっちにさせないですんだのか。


少し安心した。


その横で、こちらを見ているハナ。

あれは絶対に私たちのことが見えているわね。

”ハナ、ご主人のことは任せたからね。お願いね”

”ししょー!わかった!まかせて!”

うん、見えてるわね。


「さぁ、雫ちゃん。いきましょうか。」

「奥さん、どこに行くの?」

「いいところよ、そこで旦那さんを待っていましょう。」

「ご主人とまた会えるの?」

「ええ、いつかまた会えるわよ。」

「わあい!」


奥さんと私は、きらきらと光をまとって、空に昇って行った。

またご主人と会える日を楽しみにして。


それまでは、しばらくの別れ。

ハナ・・・頼んだわよ。

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